見出し画像

スタートアップに必要な、たった一つのこと ~鎌倉インターナショナルFCの挑戦~

突然ですが、『OWL magazine』のロゴマークを作成しました。

フクロウと地球儀をあしらったデザインです。「クラウドワークス」というサイトに登録し、デザインを募集して、わずか1週間で出来ました。費用も21600円と格安でした。

基本パターンのカラーリングは日本代表カラー(#202F55という色だそうです)にしました。一方、メンバーごとにJクラブバージョンも用意しました。並べてみると色鮮やかです。

今回はこのロゴを作成した経緯について、旅とサッカーという観点から説明していきます。


・「まず形にする」ことの大切さ

2月1日から「OWL magazine」が始まり、そろそろ半年が経とうとしています。Webマガジンの文章としては、それなりに良いものが出てきていると自負しています。

中村さんが謎にYoutubeとか始めた時はどうなっちゃうんだろう?と思いましたが、意外にというか事業としては貢献しているのです。僕の常識では全く思いつかないプレーだったのですが、天才(中村さん)の考えることは次元が違いますね……。チャンネル登録者が1000人になるといいことがあるらしいです。現在は927人とあと一息なので、皆様チャンネル登録よろしくお願いいたします(笑)!ちなみに今日も、W杯二次予選組み合わせ抽選会を宇都宮徹壱さんと解説する番組(7月17日17:45~)があります。


さて、いろいろ事業を展開していくに当たって、ネックになっていたのが「ビジュアルデザインが統一されていない」ことでした。特にYoutubeのバナーのビジュアルが弱く、ブランドイメージを作りにくいと悩んでいました。『OWL magazine』はキーになる人が3-6人ぐらい集まって共同運営しており、いろんな意見が出るという強みもあるのですが、テーマによっては進行が遅い、という事態に陥りがちでした。「ロゴを作ろう」と当初から言っていたのが、半年も経って全然できていなかったのです。

これが7月に入ってから、急にスピード感が上がり、わずか1週間でロゴマークが出来ました。前述のように僕が「クラウドワークス」に登録して依頼した、というだけのことです。とはいえ、「0を1にする」というのは結構な一大事でした。そして、とりあえず形になるものを作るというのはスタートアップでは重要なのです。

この考えに至ったきっかけに、あるサッカークラブの存在がありました。


・四方健太郎について

四方健太郎(よも・けんたろう=ヨモケン)という、僕のサッカー観戦友達がいます。2010年の南アフリカW杯に向けて、村上アシシと「世界一蹴の旅」というプロジェクトをやっていたので有名かもしれません。

僕は2008年の北京五輪に行った際に知り合いました。当時のヨモケンは中国のプロジェクトで働いていたため、中国語はペラペラで、北京では同行者として最強に役立ちました。

「世界一蹴の旅」は、アシシ・ヨモケンの二人が会社を辞め、1年間かけてW杯出場32か国を巡る旅をする、というプロジェクトでした。旅が終わり、アシシとヨモケンは違う道を進みます。アシシはドメスティックなサッカーの方に。ヨモケンはシンガポールに引っ越して企業研修などを請け負う仕事を始め、そこそこ順調なようです。

そんなヨモケンですが、どうやら日本でサッカークラブを作ったらしいと噂されていました。それが、今年は神奈川県2部に所属する「鎌倉インターナショナルFC」です。


・鎌倉インターナショナルFCという挑戦

ヨモケンは2018年1月に「鎌倉インターナショナルFC」というサッカークラブを作りました。そして2018年の夏、ヨモケンから僕に「鎌倉インテルに協力してほしい」と連絡があり、ミーティングをすることになりました。そこで聞いたビジョンがなかなか壮大でありながら実現性もありそうで、僕は興味を持ちました。なんと、鎌倉にサッカー専用スタジアムの構想があり、しかも結構現実的に動いていく可能性が高いのだそうです。

結局、協力と言うほどのことは出来ていないのですが、この年は県3部の試合を5試合も見に行きました。そしてこのクラブのスタートアップ時の話に、僕は非常に感銘を受け、今回ロゴマークを作るきっかけになりました。その創立初期の話を今回紹介します。

なお、鎌倉インテルの沿革については、実はすでに書籍化されています!


2014年に、ヨモケンは仲間と一緒に「アジアサッカー研究所」を設立し、Jリーグのクラブに対してアジア戦略のコンサルをする事業を行っていました。しかし、その活動が思ったほど広がらなかったそうです。

ブラジルW杯直後から「アジアサッカー研究所」を開設。Jクラブのアジア戦略を支援する活動を始めていた。

例えば、ホームタウンの若者や地域の大学や専門学校に通う学生、サポーターの子たちが、東南アジアに短期留学やインターンシップをする手助けをすることで、クラブと東南アジアの企業にパイプをつくる。
四方の敷いたレールを走ることで、Jクラブは「国際教育」と「国際ビジネス」の両方の成果を得ることが出来る、というスキームだ。

Jリーグがアジア戦略を掲げていることもある。
アビスパ福岡や川崎フロンターレ、FC琉球が、このアジア戦略に乗ってきた。

しかし、他のJクラブにはこの輪は広がらなかった。
各クラブに営業に出向いても「試合が続いていて忙しい」「集客が厳しくて、それどころではない」という返答が続く。


(『ビジョナリーサッカークラブのつくり方』鎌倉インターナショナルFC)


そんなことを愚痴りながら、シンガポールのガード下的な店で飲んでいたところ、このような話の流れになったそうです。

「じゃあ、そういう国際化に向いたサッカークラブを自分たちで作っちゃえばいいんじゃない?」
「いいね!場所はどこだろう?」
「日本の国際都市で、サッカーチームがないところは鎌倉かな?」
「僕の地元は鎌倉ですけど、ちょうどスタジアムも建設できそうな空き地がありますよ」
「マジで?じゃあ絶対やろう!」

その時の話がきっかけで、鎌倉インテルが誕生しました。


・ロゴマーク一つで、世界は変えられる

しかし僕が感心したのはそこからです。アイデアは素晴らしいのですが、ヨモケンはこのままだと「飲み会でその日だけ盛り上がった話」で終わってしまう可能性が高いと考えました。そこで、クラウドソーシングでその日のうちにクラブのロゴマークを発注したそうです。その結果出来上がったロゴマークがこちらです。


「世界のどこかにいる誰かが30000円で作ってくれた」と聞きました。このロゴマークが決め手となって、鎌倉インテルに関するいくつかの重要な出来事が動いていくのですが……。エピソードについては字数の関係で残念ながら割愛しますが、詳しくは書籍をご覧ください。

「思い立ったらすぐに行動に移すこと」「まず何か、形になるものを作ること」。それがこんなにも事態を大きく動かすのか、ということに非常に感銘を受けました。自分でも知っていたつもりでしたが、具体的な例を目の前で見せられると説得力がまるで違います


先月、6月26日に渋谷ヒカリエの特設会場で「鎌倉インテル・タウンミーティング@Tokyo」が行われました。初めは選手一人から始めたクラブだったのに、ずいぶん立派になりました。

この日の講演でも、ヨモケンがロゴマークの経緯に関して話しました。僕は何度か聞いた話でしたが、タイミング的に「今の自分たちに足りないのはこれだ!」と刺さりました。スタートアップで必要なのは「思い立ったらすぐに動き、形になるものを何か作ること」だと考えたのです。その日帰宅して僕もさっそく、『OWL magazine』のロゴマークを発注しました、という話です。


ロゴマークについての話は以上になります。鎌倉インテルの試みや、四方健太郎という人、県リーグの実態などの話は非常に面白いと思うので、後日インタビューを行い近日中に記事化する予定です。お待ちいただければと思います。

この先は2018年、僕が鎌倉インテルの試合を見に行った時の観戦・旅行記になります。サッカー・神奈川県リーグというのはどういうものかの説明もしています。有料記事なので、OWL magazineを月額購読して頂く必要があります。月額700円で、旅とサッカーをテーマとした15〜20本の記事を毎月読むことが出来ます。ちなみに昨日の石井さんの記事も素晴らしかったです。迷っている方はこれを機に、是非ご購読ください!!

・神奈川県3部という世界

2018年12月23日、僕は八王子にある日本工学院グラウンドにいました。その日行われる、神奈川県社会人サッカー選手権大会、2部昇格トーナメントを見に行くためでした。

ここから先は

2,676字 / 9画像
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?