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化粧品販売員さんとの時間

私はレ・メルヴェイユーズ・ラデュレのコスメが大好きだった。
パウダリーな香りも大好きだったが、ある化粧品販売員さんとの出会いが大きい。
ブルベ、イエベという言葉が今より広がっていないとき。血色の悪さを悩む私は可愛いマットなパッケージに惹かれ、チークを見ていた。
その時に対応してくれたマシュマロみたいな頬をしたIさんだった。Iさんに相談をしながら、タッチアップをしてもらったことで、ブルベという言葉を知り、自分に合う化粧品に興味を抱いた。

Iさんの人柄は、決してテンションは高くなく普通。笑顔は柔和という言葉が似合う。ふふふ、というように笑う。知識が豊富で、似合う似合わないを客観的に伝えてくれるし、全く関係ない話をする私の話を聴いてくれる。買わないと不機嫌になるような人ではなく、ある意味営業には向かないように見えた。でも、繰り返し足を運ぶ私は、もともと可愛い商品の付加価値としてIさんを見るようになった。この付加価値は地域密着型のお店ではよくある看板娘(看板猫)のようなそういう類のもの。デパートの一角で、こういう付加価値をつけたのは自分だが、その価値をつけたくなるような、Iさんの魅力。この魅力は「お似合いですよ」の言葉だけではなく、会話や返答の中にあった。

仕事帰り、美容院の帰り。Iさんとの会話がとても楽しかった。確定ガチャが好きな私は、元気補充癒し補充の意味でIさんからエネルギーをいただいていた。Iさんは大体ニュートラルな状態で店頭に立っていた。店長になっちゃったんです、といった時だけプレッシャーが顔に出ていたけど、自分で自分の機嫌を取ることができる人だった。

こういう販売員さんと出会えることは、とてもとても貴重だった。

2〜3年この関係が続く中、私はアイドルに夢中になっていたり、音信不通の友達を想いつづけて再会できたり、Iさんに恋人ができたり、私は失恋のようなものをしたり、その都度色々お話をしながらタッチアップしてもらった。友達のプレゼントにここの商品を贈ったりしていた。(推しに貢ぎたい精神が発揮されている)
可愛いレ・メルヴェイユーズ・ラデュレの化粧品を生活の中に取り入れながら、数年が経ち、Iさんが販売員を辞めることになった。最後のお礼がいえないままになってしまったが、私の人生で出会った最高の化粧品販売員だった。

可愛いレ・メルヴェイユーズ・ラデュレの化粧品はあと少しで日本での販売が終わってしまう。キラキラな世界観というより、ルノワールの絵画のような世界観。この世界観とブルベの自分を繋いでくれたIさんに、とっても感謝している。

元気で過ごされていますように。

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