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参考文献(英語):アクティブラーニング:フォーマル協同学習グループでの教員の役割

Smith(1996)は、「フォーマル協同学習グループでの教員の役割」について述べている。(下記は要約である。)

1. 授業の目標を具体的に設定する(Specify the objectives for the lesson.)

全ての授業には「授業目標」があり、具体的な「授業のコンセプト」「方策」「手順」と、授業を通して使い習得する「チームワーク目標」を、設定すべきである。

2. 教育のための決定事項を作る(Make a number of instructional decisions.)

教員は、「グループのサイズの決定」「学生をグループに割り当てる方法」「グループでの作業時間」「学生の役割」「授業教材」「教室のアレンジ」など決定しなけれればならない。
(1)特にはじめは、グループを小さく(最大2〜3人)する。
相互依存と責任の判断力を生み出すことを助ける。
(2)グループを選定する。
ランダムな割り当ては、多くの教員にとってうまく機能する。
関連する基準に基づき、例えばコンピュータスキルや経験などで学生を層化し、各カテゴリーから無作為に学生をグループへ割り当てる。
(学生にグループ選択の許可を与えると、課題以外の私語が多くなる友達同士や、いくつかの学生は仲間はずれになる。)
(3)課題が終了するまでグループを維持する。
定期的にグループを変更することは、学生たちにすぐにグループを稼働させるスキルの習得を助ける。
(4)学生の役割を設定する。
通常、記録係を設定するだけだが、過程記録係、グループ調整係、理解調査係などを割り当てることで、全ての学生が異なる役割に参加する機会を得られる。

3. 課題と積極的な相互依存について説明する(Explain the task and the positive interdependence.)

教員は、課題を明確にし、コンセプトと方策を教える。
相互依存と、個々の説明責任を明確にし、成功のための基準と、期待されるチームワークスキルを説明する。
積極的な相互依存と、個々の説明責任は、様々な適合する方法で体系化されなければならない。
成績評価は、大規模な協同学習コースの場合、たいてい個々の課題評価とグループ課題評価を組み合わせて使用する。個々の課題評価が95%から70%、グループ課題評価が30%〜5%の分布になっている。PBLコースの場合、グループ課題評価が100%になる。

4. 学生たちの学びを観察し、グループに介入することで、課題支援や学生のチームワークスキルを向上させる(Monitor students’ learning and intervene within the groups to provide task assistance or to increase students’ teamwork skills.)

教員は、グループワークの間、学生を観察し、データを収集し、必要であれば介入する。学生たちがグループワークをしている間、教員は様々なことを知ることができる。
代表的なものとして「課題に集中しているか」「誰が何を発言したのか」「相互交流の質と種類」「学生の関与レベル」「グループが使用している方策」「課題や困難なグループ機能の扱い方」などがある。
教員は、グループを巡回し、チェックリストを使用し、相互交流のタイプを記録する。

5. 学生たちの学びと、学生を支援する過程が、どのようにうまく機能したのか評価する(Evaluate students’ learning and help students process how well their group functioned.)

学生たちの学びは慎重に評価する。
目標基準の評価手順を使用しなければならない。採点は曲線であってはならない。よくある評価手順は、グループワークで目的を達成するためによくできたこと、そして改善することのリストを学生に作成させることである。
(フォーマル協同学習グループの5つの基本要素より:グループワーク後に、少なくとも3つのうまく行ったことと、1つの改善点をあげることである。)

引用文献:Karl A. Smith(1996) Cooperative Learning: Making “Groupwork” Work

(投稿日:2019年3月22日)

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