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参考文献:学習能力目標の設定と関連する、グループ学習の分類

大山・田口(2013)は、グループ学習実践事例を、「事前作業」の有無と「事後作業」の在り方に着目し、「(A)交流型」「(B)意見獲得型」「(C)課題解決型」「(D)主張交換型」「(E)理解深化型」「(F)集約型」の6つに分類している。

(A)交流型

〈事前作業:なし、事後作業:なし〉
グループ学習課題が授業内容と関係が薄く、グループメンバーとの交流を目的に行われている

(B)意見獲得型

〈事前作業:なし、事後作業:個人〉
事後に個人課題が設定されていることから、課題に対して、他者から意見を獲得することを通して自分自身の考えを明確にすることを目的としている

(C)課題解決型

〈事前作業:なし、事後作業:グループ〉
事前作業を行わず、コースの中で設定された課題を、グループ学習によって取り組み解決策を提案させることを目的としている

(D)主張交換型

〈事前作業:あり、事後作業:なし〉
自分の意見を他者に広く伝え、それに対して新たな意見を求めることを目的としている

(E)理解深化型

〈事前作業:あり、事後作業:個人〉
一貫した個人課題の作業プロセスの中で、他者の意見を聞くことにより、自分の考えを再構築し、理解を深めることを目的としている

(F)集約型

〈事前作業:あり、事後作業:グループ〉
各自の意見を1つにまとめながら最終的にグループで作品を表出することを目的としている

抄録
本研究では,大学のアクティブ・ラーニング型のコースにおいて教員が自らのコースの中で,グループ学習をデザインするための手がかりとなる枠組みをグループ学習の類型化とプロセス分析を通して提示することを目的とする.まず,大学における32のグループ学習実践事例を「事前作業」の有無と「事後作業」の在り方に着目して整理したところ(A)交流型,(B)意見獲得型,(C)課題解決型,(D)主張交換型,(E)理解深化型,(F)集約型という6類型が抽出された.さらに本類型が学生の学習プロセスに与える影響を検討した.具体的には(C)課題解決型と(F)集約型に関して,異なるグループ学習課題を遂行した同一グループを対象に,1コースの授業観察を行い,学生の学習プロセスを分析した.その結果,グループ学習の「事前作業」の有無は学生の既有知識,「事後作業」の在り方はコースの学習能力目標の設定と関連することが明らかになった.

参考文献:大山牧子,田口真奈(2013) 大学におけるグループ学習の類型化 – アクティブ・ラーニング型授業のコースデザインへの示唆. 日本教育工学会論文誌 37(2):129-143

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