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この世界はこわいものに満ちている・・・橘ぱぷか

 果てしなく怖がりなので、こわいものにはなるべく近寄らないように生きている。

こわいもの① 家具と壁の隙間

 そんなところに人が入れるわけがないのに、その隙間から人がこちらを見ていたらどうしよう、と怖くなる。夜中にトイレに起きたときにはありとあらゆる隙間を見ないようにしている。その前をなるべく早足で駆け抜ける。


こわいもの② 階段と階段の間にあいている隙間

 たまに階段の各段の間に隙間のあいているタイプのものがあるが、それが怖い。うっかり足をすべらせると下に落ちてしまうのではないか。この隙間に足をとられてしまうのではないか、という恐怖心でいっぱいになる。特に上り。一段一段、足元をしっかりと確認しながら気を張り詰めて上る。同じような理由で、ベランダなどの柵の隙間も怖い。


こわいもの③四時四十四分

 この数字にまつわる怖い話を幼い頃から散々聞かされてきたからだろうか。この時間になるのが怖い。もっと言うと、この時刻の表記に遭遇してしまうのが怖い。
 特に明け方。四時台に目を覚ましてしまったとき、それが四十四分を過ぎた後だとほっとし、それより前だった時は緊張する。四十四分前に起きてしまったときは、その時刻に近づいたら目を閉じてスマートフォンも時計も見ないようにし、時が過ぎるのを待つようにしている。たとえどんなにトイレに行きたかったとしても、かならずこの時間を過ぎてから行くように気をつけている。自分でもなぜだかわからない。

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