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「自分の人生」を取り戻す旅路①


『やっと、終わった…』


先月の終わり、2年間続けた会社をとうとう手放した。
長い、長い2年間だった。

縛り付けられていた鎖から解き放たれた、そんな気分だった。


いまから4年前のこと。


「正直に生きたーい!!」


という思いが沸々と湧き上がり、僕はFacebook上でゲイであることをカミングアウトした。それまでもカミングアウトは仲のいい友人にはしていたが、そこまで大々的にしたのははじめてのことだった。

そこから、僕の人生は少しずつ変わっていった。だが、『他人の顔色を窺い、他人に自分の人生を明け渡してしまう』という大きな大きな癖(結局のところ、それを選んだのは僕自身なのだが)。それになかなか気付けなかった僕は、そこから脱却するのに、実に4年以上もの歳月を費やすことになるのだった(いまなお進行中)。

そんな癖やプログラムを持ち合わせていないひとにとって、この話はまるで異次元での話のように聴こえるかもしれない。それを持ち続けていた当の本人でさえ、それに気付くまでは他人事のように思っていたぐらい、そのプログラムは身体にも日常にも、深く、深く知らぬ間に入り込んでいたのだから。


話を最初に戻そう。
僕は2年前に会社を立ち上げた。

「これだけ売上上がってたら、会社にした方がいい」

そう『言われて』。


会社をつくりたいなんて、この人生の中で一度たりとも思ったことはなかった。父親は自営業だったし(一応有限会社なのだが)、自分自身も専門職を続けてきたので、いわゆる『会社』というものがなんだかわからなかったこともある。

だけど、


「専門的な知識があるひとがそう言うならそうした方がいいか」


ココロのどこかに何か引っかかるものを感じながら(あとあとこれがとても重要なサインだったと知ることになるのだが、そのときの僕はそれを無視してしまった)、自分が会社をつくりたいのか、つくりたくないのか、それを自分に問うこともせず、ただその言葉にしたがって、手続きを済ませ、株式会社を立ち上げたのだった(ちなみに、株式会社以外にも会社の形態があることを手続き中に知ったのだが、それについて質問することもせず、ただただ指示にしたがってしまった)。

いざ会社をはじめたところ、めんどくさいことだらけだった。会社をつくることのメリットしか聴かされていなかった僕は(デメリットも聴かされていたけど、聴いていなかったのかもしれないが)、プレッシャー、そしてそのめんどくささに嫌気がさし、徐々に「辞めたい」という思いが募っていった。


「会社、もう辞めたいんだけど」


サポートをしてもらっていた税理士さんの奥さんにはじめてこの言葉を口にしたのは、会社を立ち上げて半年も経たない頃だったと思う。だけど、


「(赤字が累積してるから)いまやめたらもったいない」


そう『言われて』、僕はまたもやその言葉にしたがった。

その後、何度も何度も「辞めたい」と漏らしたが、ほぼ同じ回答、さらには友人に相談したりもしたが、「会社をつくったってことは、まるちゃんには何か大きなことをやる使命があるんだよ」や「ここまできたらもう前に進むしかないよ」の声かけをそのまま受け入れ、それにしたがい、「何かやる」べく、足掻いた。もがいた。

足掻いて足掻いて、もがききった先にあったのは、


【どこまで自分を後回しにしたら気が済むんだい?】


という、自分から自分への問いかけだった。

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