【かがわ探訪記】昭和にタイムスリップしたのかと錯覚した牛島。
丸亀市にある丸亀港が2月いっぱい運賃無料キャンペーンをしていたので、ふらっと牛島へ。※2024年2月現在。
どうして牛島なのか。
近くて、子供の下校時間にぴったりだったから。
ただそれだけだったので、
さんぽ気分で船に乗ってまいりました。
***
12:10発の小さな客船に乗ろうとすると、
「はじめて?」
と切符をきるおじさんに聞かれた。
「はじめてです」
どうしてそんなことを聞くのだろうと笑顔を浮かべながらも訝し気に言うと、船の頭から出ることになるので前に座ってほしいとのことでした。
12:22着岸。
上陸したのは4名。
島民の方1人、郵便局のおじさん、私を入れた観光客2人。
足を踏み入れ感じたのは「昔」。
古げな日本家屋が港から見え、見渡す限り「静」と「沈」だった。
赤い灯台が見えたので、まずは赤い灯台を目指します。
廃墟を横目に赤い灯台へ。
地図を見ることもなく、
ふらふらと歩いて行く。
すると郵便局のおじさんに出くわした。
「観光な?」
「はい」
私の返答に笑い飛ばした郵便局のおじさんは「ここは、なんもないでぇ!」と言い、もう島に住んでいるのは6~8名だと教えてくれました。
確かに上陸してすぐ、
島を管理するのに人手が足らないのだろうなと思った。
島のあちこちにはゴミも落ちていたし、廃れていく建物もそのままだった。
だけれど、有名なお寺があると郵便局のおじさんは言う。
「誰もおらんけどな」
お寺の境内には釣鐘だけが残っていると。
釣鐘だけを見に来る人もいるくらい有名なそうだ。
私は教えてもらった方角へ歩く。
道を聞かなくても方角を頼りに行けるくらい道も少ない。
お寺はすぐに見つかり、釣鐘も見つけることができた。
丸亀市の指定文化財になっている釣鐘だそうで、「無間の鐘」伝説が残ると書かれていましたが、初めて聞く言葉だったので私はあとで調べることに。
釣鐘を見上げながら、
ゆっくりと静まり返った境内に歩を進めた。
お賽銭箱の横にはお花が生けられていて、お住職さんはいなくなっても島民の方たちは気にかけているよう。
境内を歩いているときに、
ふと脳裏に過る映像があった。
子供たちが境内を駆け回っている姿。
夏なのか、緩い白いタンクトップを着た少年っぽい。
トトロに出てくるカンタみたいな笑
昭和の男の子と女の子。
もしかしたら、昔は遊び場のひとつになっていたのかな。
きっとお祭りも行われていただろう。
活気にあふれた島民の笑い声が聞こえるようだった。
私のただの想像ではあるけれど、
島には賑わいを見せていたあの頃の記憶が残っているのかもしれない。
わずかに残る生活の匂いを感じていると、
突如としてまあるいオレンジ色が現れた。
時間が止まっている、というよりある意味時間の流れに沿ってゆっくりと廃れていく空間を彷徨い、出逢った「実り」。
なんて瑞々しくて鮮やかなんだろうって眩しく感じた。
船を待っている間、
一緒に上陸した観光客の男性とお話をした。
十年ほど前までは、猫もいたけれどいなくなってしまったこと。
釣りをしにくるけれど、釣れないこと。
釣りを楽しむだけでなく、静かな空間を味わいに来ていること。
途中で郵便局のおじさんとも合流し、
少しだけお話して3人でまた船の船頭から乗り込みました。
お互いに名前を聞くこともないし、
もしかしたら会うこともないかもしれない。
ただ、牛島という小さな島に同じ日、同じ時間に訪れた人たち。
それぞれの人生が少し交差して重なっただけ。
それでも、出逢いがこうして記憶として残り、
私の経験の一部となっていることには変わりはない。
船に乗って帰っているときにお寺に残っていた「無間の鐘」を調べてみました。「無間の鐘」とは一度鐘を突くと栄華を極めることができるが無間地獄に落ちるというもの。
ぞっとしますね笑
そして、江戸時代に牛島に住んでいた豪商・丸尾五左衛門(もしくは一族?)がその鐘を突き、巨万の富を得たけれど没落したと言う伝説が残っているらしい。
「内海の海運王」と呼ばれていたほど栄えていたらしいので、牛島も賑わっていたのでしょう。
昔ながらの空気感が残る牛島は観光地……というより映画や動画撮影場所に良さそう。実際に昔に映画の撮影場所になったことがあるそうです。
偶然訪れた牛島は、名残のある島でした。
※牛島には民宿があるそうですが、飲食店はありません。
☆参考サイト
塩飽(しわく)の島々|香川の島旅に出かけよう!|島旅|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット (my-kagawa.jp)
牛島|スポット・体験|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット (my-kagawa.jp)
*最後まで読んでくださりありがとうございました*
以上、丸家れいでした。
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