ゲームとノスタルジー

 これまた以前にツイッターに上げたやつのひきうつしですが、今回はかなり手が入っています。

◆ゲームとノスタルジー

 「ぼくのなつやすみ」をプレイ中。原風景に郷愁を刺激されて仕方ない。降りしきる蝉の声、青空に居座る入道雲、夜半に風鈴を揺らして吹き抜ける風…… この原風景というやつは面白くて、新しい何かを与えるのではなく既にあるものを掘り起こすだけなのに、その感動はダイレクトで強烈だ。
 ほかに原風景を感じた作品と言えばペルソナ4。そもそもが原風景をテーマにした作品だとぼくは思っていて、それはノスタルジックな「いなか」や「真のテレビの世界」にはっきり表れている。自分の中にかつてあった大事なものを確認するような感覚を味わえるように全編が構成されているのだ。エンディングテーマにも歌い込まれているぞ。感動とはその人の中にすでにあるもので、書き手はそれを掘り起こすだけなのかもしれない、などと思った。
 最近遊んだゲームなら「FRAGILE~さよなら月の廃墟~」。人っ子ひとりいなくなった街を彷徨う少年のゲーム。とにかく風景が美しくて、しかも郷愁を刺激するものばかり。虹色に輝く朝焼けの光、まっくらな駅の地下街、ぎらぎら輝く月に照らされた遊園地や天文台。蝉の鳴き声と草いきれが吹き込んでくる廃ホテルに、光をまとってそびえ立つ東京タワー。
 子供の頃に見たことがあるってわけじゃないのに懐かしさを感じるのは、それがどこか原風景に重なるところをもっているからなのだと思う。地下街だったら廊下の暗がり。夜中に迷い出た屋外で見上げた異様に大きな月。セミの鳴き声は言うまでもなくノスタルジーの代表格か。東京タワーは……うーん、わからん!でもなぜか懐かしい!
 実はこのゲームには裏設定があって、大人になった主人公セトが幼き日を回想している、という体になっているのだ。だから月は現実味がないほど異様に大きくてギラギラしてて美しい。そもそもが「ノスタルジーの美しさ」を組み込んで風景がつくられている。
 この作品についてはあとあと感想をまとめるつもりなので、よかったら読んでね。

 原風景とはちがうが、なつかしさを感じさせてくれる作品ならまだまだ好きなのがある。
 MOTHER2は「少年期の冒険」をテーマにした話。幼い日の恋、ひと夏を共に過ごした友人との別れがストーリーに盛り込まれている。ゲーム内に歌は入っていないが、メインテーマ「Smile and Tears」の歌詞はまさしくノスタルジーだ。
 ドラゴンクエストⅤは主人公の幼少から始まる一代記。かつて父の背を追った少年から、大きく育った二児とともに世界を救うまでを描く物語。エンディングに至ったプレイヤーは感動とともに、激動の半生をなつかしく思い出すことだろう。ネタバレは避けるが、妖精の城のあのイベントではいつも郷愁の涙を禁じ得ない。
 幼年期を過ごしたサンタローズの村を青年期に訪れると、実はちょっとマップが小さくなっているのもノスタルジーを誘う仕掛けだ。かつてはあんなに大きく見えた世界が、今は小さく見える。
 こう見てみると、ことゲームにおいてノスタルジーというのはぼくの琴線の第一等のようだ。おそらく「自分が主人公である」というゲームが持つ特徴が、主人公のノスタルジーをぼくのものとして感じさせてくれるのだろう。
 しかし不思議なことに、後者二作は小学生以来のお気に入りなのだ。いったいいつからノスタルジーを抱えていたのか。考えてみれば、物心ついた時には既にあったような気はする。原風景といっしょで、なつかしさというのは「最初から」持っているものなのかもしれないなあ。ユング的に言うと元型みたいに。

 ノスタルジーだの原風景だのの背景にあるのは「無常観」というやつなんじゃないか?すべては流転し、同じままではいられない。ゆえに今という瞬間が惜しいし、現在にさえ一種のノスタルジーを感じることができる。昔からそんな感覚がぼくにはあるし、とくに夏は強い。だから夏が好きなんじゃないかな。夏は死を孕んでいる……というのは詩的すぎか。
 さらに言うと夜は更に死の気配が強い。さっき挙げたフラジールはわかりやすい例で、季節は夏、舞台の大半が夜だ。
 「永遠に続くもの」というのにあまり興味がないのかもしれない。今にも死にそうなもの、こと…… 死を孕んだものに魅かれる。「もったいない」というやつだろうか?

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