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【テレビ出演】をするとどうなるのか?

私は仕事以外でテレビに出演したことが5回有る。(芸人枠)
内、全国放送が3回。
テーブルテレビなどを含めると10回以上だ。
今回は、テレビ出演した時のリアルな舞台裏とその後に起きたことについて書き綴っていく。


出演前の様子

地方の番組、テーブルテレビは緩い。
事前に数回メールをやりとりする程度だった。

特に「取材に来る」というスタンスの情報番組は緩い。
しかし「スタジオで収録する全国放送のバラエティー番組」は相当の熱量だ。

ADとのやりとりが長い。
毎日のようにメールが届く。
「これってどうですか?」からはじまり
「こんなことはできませんか?」へ入っていく。

そして
「こういう設定(ストーリー)にできませんか?」となり
それが続くと、次第に面倒になってくる。
「もう、設定は任せます。自由にしてください。」
と私の心は折れた。

出演直前の様子(ロケ収録)

テーブルテレビは、緩い。
簡素にまとまった進行表をもらい、30分後に収録開始。
その程度だ。

取材に来るタイプの番組の場合。
その取材場所は、完全にジャックされる。
ロケバスから7,8人が降りてきて、現場をバタバタと歩き回る。
近所の人たちは、何事かと表に出て、ジッと様子を眺めはじめる。

カメラマン、音声、マイク持ち、照明持ちが準備をはじめる。
AD、ディレクターの他、何の担当か分からない偉そうな人もウロウロしながら大きな声で笑っている。

全てのモノは撮影の都合で動かされる。
引っ越し屋のようだ。
スタート位置や登場後の立ち位置が決められていく。
そして、的確で強引な指示が出される。
そんな感じだ。

出演直前の様子(スタジオ収録)

まず、必要以上に早く呼ばれ、待合室で待つ。
そこで、誓約書にサインを求められる。

・ギャラは出ないこと
・完成した番組の内容に文句を言わないこと
・完成した番組は局が自由に使うこと
・著作、肖像などの権利を主張しないこと

乱雑だが、誓約書の内容はこんなところ。

待合室でADから台本を渡される。
小学生の頃に見た、学芸会のものと似ていた。

事前にADとメールでやりとりした内容。
それが、尋常じゃないくらい変わり果てていた。
放送作家がつくったそのストーリーは、客観的な事実に嘘はない。
しかし、私の脳内の主観的な部分は、もはやファンタジーだ。
簡単に説明すると、面白おかしく盛り盛りに膨らんだキャラクター設定になっていた。

番組に出演するのは、私であって、私ではない、と気づいた。
俳優のように、自分のキャラクター設定を演じることが求められていた。

やがて待合室でADに呼ばれ、スタジオへ入る。
逮捕されるように周囲を囲まれ、ワイヤレスのピンマイクを付けられた。
女性のADだが、何の躊躇もなく、慣れた手つきで私の服の中に手を入れて来る。
最後に、受信機をズボっとポケットに突っ込まれた。
準備完了、「オッケーで~す」とのこと。

リハーサルが始まった。
しかし、メインの芸能人はまだ来ていない。
その代わりをディレクターが行い、淡々と台本と進行を確認した。

収録時の様子

取材に来るケースの場合、収録はあっさりと終わる。
一発撮りだ。
出演者たちがアフタートークをはじめた頃、撮影スタッフたちが物凄い勢いで撤収作業をする。
そして、テロリストのように素早くロケバスに乗り込み去って行く。
おそらく、次の取材地へ行くのだろう。

スタジオで収録する番組の場合。
撮影がはじまった瞬間、出演者の表情が変わる。
暗いスタジオの中、照明は眩しく、セットの外は殆ど何も見えない。

メインの芸能人は、台本を守るとは限らない。
台本から外れたアドリブの対応が求められる。
声を出すタイミングが被るとメイン芸能人に怒られる。
撮影用の笑顔を崩さないまま「今、僕が喋ってるんですよ」とのこと。

余談だが、プロはシーンが繋がらなくなることを避ける術を身につけている。
ミスしても、動かず、表情を変えず、やり直す。
こうすれば、動画をカットして繋げても不自然なシーンにならない。
それでも繋がらなければ、別角度で撮影したカメラの動画を使う。

ある番組で女性芸能人と収録時に会話が上手く繋がらなかった時がある。
その時、お互いに表情を変えず、フリーズしたまま小声で
「今、会話が嚙み合ってなかったですね」
「私もそう思います」
「それでは〇〇の話からもう一回いきましょう」
といった会話をしたことがある。

プロたちの収録は、熱量がある。
テレビ関係者は、強引で横柄で我儘が多いが「良い番組をつくりたい」という想いは、確かに伝わってくる。

放送されるとどうなるか?

放送日は事前に聞いていた。
ただし、放送日が変更になることもある、とのこと。
案の定、放送日は聞いていた日と違った。
変更された放送日は、通知されなかった。

ある日、番組の予告CMを見た知人から電話が掛かってきた。
それで、放送日が分かった。

放送がはじまると電話が鳴った。
切っても、また次の電話が鳴る。

知人たちのFacebookのタイムラインにテレビのスクショが投稿され、私がメンションされる。
メッセージもたくさん届く。

さて、ここからが問題だ。
私のTwitter(2023年12月現在は、X)アカウントには、応援のメッセージがいくつも届いた。
しかし、Twitter上には、テレビのスクショと共に罵詈雑言が投稿されていた。
ばか、あほ、うざい、きもい等々、おおよその王道レパートリーが出尽くしていた。
芸人枠での出演だから、当然と言えば当然だ。
おそらく、テレビ越しの私は、実在している人物だと思われていない。

随分経った後、深夜にSNSの通知が鳴りまくった。
何事かとスマホを覗いてみると、各SNSのフォロー、メンションなどの通知の嵐だった。
なぜか?
どうやら、ネットで番組が配信されたようだった。
そして再び、動画のスクショと共に罵詈雑言が流れている。

芸能人は凄い。
こんなことが、おそらく日常なのだ。
エゴサーチをすると、きっと病む。


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