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【OGGYWEST】言葉が好きな人にはラップユニットOGGYWESTをお薦めしたい

ラップ、ヒップホップは、不良のものだとずっと思っていた。
そういう偏見があって、私は今までの人生で、ほとんどラップやヒップホップを聴かずに生きてきた。
偶発的に私の人生に紛れ込んできたラップは、小沢健二の「今夜はブギーバック」のスチャダラパーのパートと、クレイジーケンバンドがライムスターとコラボしている楽曲数曲くらいのものだった。

「ラップって、全然聞いたことないから見てみたい。ライブやるなら見に行くよ」
と言ったら、バーで偶然隣席したLEXUS君は、次のライブの日程を教えてくれた。

吉祥寺ネポで行われたそのイベントは、ラップをしている1~2人の人たちが何組か出るヒップホップイベントだった。
どんな裏路地の治安の悪いクラブで催されているんだと予想していたイベントが、普段よく足を運んでいる明るく清潔なライブスペースで行われていることにも驚いた。
ネポは小さいけれど、見やすく、音も聴きやすく、過ごしやすく、快適な箱だ。

ラップのライブは初めて見る。
どこに焦点を当てて見ればいいのだろう?とその場で悩む。
作ってきた背景の打ち込み音楽(トラック)。
マイクを持ってその場で言葉を乗せるラップ。
歌詞の言葉なのか。本人のパフォーマンスなのか。音楽としての総合点なのか。
そういえば、私は本当にラップ・ヒップホップに知見がない。
聴き方がわからない。こんな経験はそう言えばひさしぶりだと新鮮に思う。

出てきた人たちは、メロディーのない言葉を、トラック音楽の上に乗せていく。
淡々と、時に暴力的に、ただ聞き取りやすさは死守しないと何も伝わらない。
ポエトリーリーディングに近いものかもしれないな、と昔参加していた詩作のイベントを思い出す。
そういえば、ポエトリーリーディングのイベントというものは死に絶えた文化になってしまったけれど、音楽と融合する形で今はヒップホップとして存続しているのかもしれないと思う。

説得力の強さ、言葉の意味の強さ、印象の強さ、が大事なのかもしれない。
それらを補強するための背景の音楽で、存在感で、パフォーマンスなのかもしれない。
そんな事を考える。

トラックは一般的に耳馴染みのいいシンプルなDTMが中心だった。
自然なリズムで拍を取りながら、乗せられる言葉の意味に注目してステージを眺めていると、すこしずつ楽しみ方が分かってきたような気がする。
アンビエントテクノを聴いていた時期もあるので、ゆるやかな速さのラウンジテクノのような音像は基本的に好きである。

OGGYWESTは、先述のLEXUS君と、もう一人ヤングキュン氏の2人ユニットである。
ということも、私はこの日、イベント会場に赴いてみて初めて知った。

この日に何の曲をやったのか、どんな感じだったか、正直もう忘れてしまったので、代わりにOGGYWESTの曲をいくつか紹介しようと思います。
聴きやすくて驚いたことだけ憶えている。
素直に意味が入ってくる言葉は、ちゃんとシニフィエを実像として抱くシニフィアンとして、信頼できるし好感が持てます。

メヒコ

彼らの曲で最初に呆気にとられたのは「メヒコ」だった。
勢いよくまくしたてられる「メヒコに行くなら~~」「シーフード食ってその後~~」に
圧倒されるものの、「メヒコ」が何なのか全くわからない。
「メヒコって何?」と訊くと、
「北関東にあるフラミンゴのいるシーフードレストラン」だそうです。
確かに歌詞で「フラミンゴ」って言ってるわ。
「カニの身ほじるのもう無理」で毎度笑ってしまう。

ヘルハワイ

いきなり「俺は行ってない Oh Yeah」は笑う。
「ここから4千マイル」って言ってる割に、背景に「熱海」って映っちゃってるのに笑ってしまう。と思ったら
「マジでここはでかい熱海」とその後に言っててさらに笑った。
緩やかな曲に、低めの声でけだるく載せられる言葉が、ラップと言うか、聴きやすくて驚いた。何を言ってるのか初見で分かる。
穏やかな音像が静かできれい。けだるい声がメロウでリラクシンですらある。

South Penguin - gadja [Crazy Love remix] feat. OGGYWEST, 没 a.k.a NGS (Official Music Video)

これはSouth Penguinさんの音源にOGGYWESTが参加しているビデオ。
声が入るだけでいきなり雰囲気が変わるのがすごい。

Maldives Sky feat. 入江陽 (OFFICIAL VIDEO)

入江陽さんとの曲。
前半ヤンキュンさんの独壇場。発声が聴きやすく説得力があって良い。
この曲だったような気がするんですけど、高円寺のイベントに遊びに行った時、前半3曲の大暴れで体力を使い果たしたLEXUS氏が「もう無理」とへたり込んだところに、ヤンキュンさんが「次の曲、前半おれだから(大丈夫)」と励ましていたのがとても良かったです。
後半入るLEXUS氏のメロウな歌声もリラクシンでとても好い。歌詞で「金もない夢もない」って言ってるけど。

YouTubeでいろいろ聞けるので、興味出た人聴いてみてください。
言葉が好きな人は好きになりやすいと思う。延々と聴けます。

言葉が変に格好つけずに、等身大の言葉を素直に載せているところが好きです。
日常の切り取り方がとても上手だと思う。
映画のワンシーンや映像作品見てるみたいな気分になる。
折々で入る「レクサスやっぱかっこいね」っていうのにヤンキュンさんからの愛がある。

アンバサみたいに白い君の歯
真夜中に見る角川映画
オフにしてるプッシュ通知、一人で食うステーキ(アンバサ)

今日はもう働くのナシ、食ってる飯はうまい(メヒコ)

北口改札出たらすぐある西友
落ちてこないノストラダムス(メテオライト)

なりたかったロッカー
いつの間にかラッパー、このビートもおれが作った(Fake Love)


「OGGYWESTって、どういう意味なの?」
「西荻窪ですよ(町田出身と日立出身だけど)」


彼らについて、見つけた記事を貼っておきます



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