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「深煎り入学式」

「お前だけ受かるとかどんだけ空気読まないんだよ」
そう言われて、約3年間付き合った彼氏と別れを告げられたのが約1ヶ月前。

「一緒の大学に行きたいな」って
伝えた時の彼の笑顔
目指すものが決まって朝4時に起きて勉強する度に学力は上がっていった日々。

今からでも、入学を伸ばして
そうだ!あと1年あれば
上の大学すら目指せるかもしれない!
と思い、彼の家まで来た私が
彼と別の女性と過ごしているのを見たのが昨日。

絶望と失望のどん底に居た私は
入学式に参加せずに
大学の近くの喫茶店に居て
何気なく頼んだ深煎り珈琲を飲む。

「…?」
苦味の効いた珈琲だった。でも
苦みの中に濃厚な甘みがあり、余韻に響く濃縮された旨味
エスプレッソとは異なる、濃厚な珈琲、
知らなかった。
そうだ、私はコレから色んなモノと
出会うのだ。出会うはずなんだ。

私は入学式に遅れて参加した。
もう、元カレの事も気にしない。
新しいモノや未来の誰かと出会う楽しみに希望を抱えて。

そう「深煎り入学式」なのだ。

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