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アールト授業; INTRO; 未来のデザイン組織を描く-2-

前回、アールトの修士のデザイン学生は必須のイントロ授業の前半プロセスについて説明しました。今回の記事は残りについて。

0.基調講演や各スクールの教授からの未来の兆し/パースペクティブを得る
1.デザイナーの未来に関するリーディングを読みA4でまとめる
2.未来に旅行するなら持っていく私物/デザインツールを5つずつ選ぶ
3.大きく3つの未来シナリオから関心のあるものを選ぶ
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4.関心が近い人とチームを組み、チームのグランドルールを対話で決める
5.グループで未来のデザイン組織をプロトタイプする
6.エレベーターピッチを行う

チームの関係性を築く

3で選んだ未来シナリオを元に、ランダムにグループに振り分けられます。1グループが8人前後で、これは少し大きめのサイズの印象。チームにわかれたら、まずチームビルディングやコラボレーションについての簡単なインプットを受けました。

有名なタックマンモデルが紹介されたり、なぜコラボレーションが必要なのか?という問いかけや対話の意義の視点を得ます。その後、最初のチームでの対話のテーマとして、チームのグランドルールを5分ほどで話し合いました。このあたりはありきたりですが、ひとまず話して決めるスピード感。

ただ、このルールもプロトタイプだから、途中途中で評価をしっかりしてね〜!という掛け声にはハッとさせられました。いかにルールが形骸化しやすいか。形だけになってないか。実際にメンターの上級生から中間フィードバックの際にコンテンツのみならず、ルールはワークしてる?と問いかけられ見直す機会ができました。全てプロトタイプだという意識が徹底されてるのが印象的。

組織の未来を描く

ビジュアルから発想を得る
その後、ステップ2で考えた未来に持っていくアイテム印刷したものををチームでシェアし、コラージュメイキングをしながら未来を描くために必要な切り口を直感的に発想していきます。

コラージュメイキング、初めてやったのですが、ビジュアル刺激法の力を思い知りました。一見関係なさそうなものが突然スパークして繋がっていきます。まずデザインツールとして誰もが選んだ”パソコン”と”ノート”を、デジタルとアナログの対比軸を作り、抽象度を上げてデジタルは人を離しているがアナログなものはリアルなインタラクションの媒介になりやすいのでは?というところから入りました。

その後、”サウナ”(やっぱフィンランド人は未来に持っていきたいらしい笑)は人をつなげる空間よね、とか”犬”は非人間的なものや生態系に繋がるよね、といったように方向性を大きく発想。

それらが対話の活性剤となり、Virtualityが台頭する世界で、人との関係・モノとの関係・自然との関係を繋ぐカタリストを担う組織のイメージを作り上げてきました。

マニフェストを作る
そして、マニフェストWSでは、組織が何を目指していくのかというミッションステートメントをマニフェストという形で表現しました。

If〜Then〜

というのが最もシンプルなテンプレートです。If〜の箇所にアンチな言葉をいれ、Then〜の文章にそれに対しての自分たちのスタンスを提唱します。(例; アンチファッション宣言)

アンチなものを並列することで、自らのポジションをより浮き彫りにできるために、このフォーマットは入り口としてはとても強力だなあと感じました。組織の立ち位置だけでなくて、サービス設計時や自分自身のデザイン観を示すのにも使える汎用性が高いものかと思います。

組織を具体化する

大きな方向性は決まり、組織のディテールを詰めていきます。
どんな組織形態なのか、どのような役職が必要なのか、など。僕たちは民間企業のテクノロジーから端を欲し、仮想世界が主流となりかけていることに危機感を抱く政府が新設した政府基金の独立系デザインエージェンシーみたいな感じ。正直この辺は時間なさすぎて、ちょっと無理ある感じになってます笑

実際に提供するサービスとしては、マテリアルを使ったワークショップデザインを通した、コミュニティビルディング。例えばRe_make swappingと称して古着を持ち寄り、新しい素材を活用しながらリメイクをして参加者通しで交換するなど、マテリアルと人を繋げていくなど。
デザイナーはツールを作成し、人々のアクティビティを支援したり、自身のもつ専門性(上記例だとマテリアルに関する知識やパターンメイキング等)を活かしてスキルを提供したり、それら全体プロセスをつなげるファシリテーションをしたり、という役割を担います。実際にはメンバー全員が自身のジョブタイトルとジョブ・ディスクリプションを作成する必要がありました。現実味はありますが、飛躍した未来シナリオを活かしてもうちょっと探索的なアウトプットが出ればよかったなあ...

そして、実際に組織が成果を上げたときのimaginationを得るためのプレスリリースを作成して大体のコンテンツが完成。

エレベーターピッチ

8/29にイントロが始まり、計5日程の時間で上記を完成させ最後にグループごとに1分間のピッチ。

とはいえ、形式は完全フリーでして各チームいろいろな方式を取っていました。歌うとこもあれば、インタラクティブなものなど。まあ最初の授業なのでわりとパフォーマンス重視な色が強かったからか、結局なに?というのも多かった気はします。笑

まとめ

とはいえ色んな視点を学べたこと、グループでの議論も自分で思ったよりは英語でできたなあという最初の成功体験にはもってこいの授業でした。

またカリキュラムデザインの視点としては、レクチャー、グループディスカッション、ワークショップ、文献のリーディング/ライテイング、プレゼンなど、これからの2年間で受講するだろう授業の構成内容を網羅しています。すべてを最初に体験をすることで今後どのように学びを進めていくのかイメージを深め、本格的な学びへの導入につなげており、2年間の修士取得までの全体の時間軸で考えてうまく位置づけている設計としても参考になります。

ということでイントロを終え、先週から本格的な授業が始まっています。User Inpired DesignというCo-DesignからExperience Design、はたまたDesign & Justiceといった広いテーマの基礎を1.5ヶ月で学ぶコース。スピード感がえぐいですが楽しくやってます。

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