共同体からはじまるデザイン

先日、design school koldingでゲストリサーチャーとして研究されている平野さんのご紹介で、Design@Communities Awardのシンポジウムに参加してきました。

現代社会において、デザインはビジュアルやプロダクトやサービスだけでなく法律・システムといった社会へ、デザインの射程が拡張しています。そうした時に、それぞれ固有の文脈に存在する当事者が自身で周囲の関係性を変容させて心地よさを創造していくことが豊かさに繋がるとも思っています。

社会が対象となった時、デザイナーの役割とは

Design@Communities Awardでは、そうした背景のもとで情報デザインのパイオニアでもあり東京藝大で教えられてる須永先生が「"社会"をデザインの対象となった時、いったい何がデザイナーにできるのだろうか」という問いを探求するために、専門家としてのデザイナーと社会課題へ取組む実践者が「伴走」してデザインする場作りと体験から得られた実践知により学びを得ようと組み立てられたプログラムです。

ぼくの探求したい問いとして「どうしたら自身の生きたい社会を自身で形作る仕組みをデザインできるだろうか」というものがありますが、今後デザインが民主化していき、デザイナーのみならず社会をより良くする意志をもつ人のメタスキルとなることが、大局観のマクロ的要因からも必要になると思います。そうした総人類デザイナーとなる時代に、専門家としてのデザイナーはどういった役割を担うのか?を本プログラムにて探求しようという試みです。

共にデザインする状況を形作る

アワードプログラムによる実験で見出されたのは「社会で実践する人々が共にデザインしはじめる状況」を創造するという価値でした。デザイナーとの邂逅や問いかけによって、今まで無意識の中で行ってきた活動がデザインの枠組みで捉え直され、実践の意味が再構築される。実践者とデザイナーとの"あわい"から、意味が生成され新たなまなざしを獲得する。それを言葉やビジュアルで表現することで、より多くの人と人のつながりが生まれていき、表現社会を形づくるデザインが始まる。

そうした、意味の再構築と表現によりデザインするための状況が立ち起こる"関係性づくり"を担う、伴走者としてのデザイナーという在り方を見いだせました。

根源的な人間の営みから立ち起こるデザイン

また何故このプログラムがDesign for communitiesではなくて、「Design@Communities」となっているのかという意味に気付かされました。社会を形作るデザインは、共同体の中から立ち起こってくるものなのだという再認識ができました。

ぼくはデザインとは何か?という問いに対して、関係性を形作るものだと捉えています。対象が何であれ、この本質は同じなのではないかと思っています。例えば、体験をデザインするとはいいますが、体験自体は客体であるサービスと主体である顧客の相互作用の結果、主体側に見いだされるものでしかありません。デザインできるのは、その相互作用を生み出すための関係性です。組織デザインも同じことで、組織自体をデザインできるわけではありません。社会システム理論を説くニクラス・ルーマンは、「社会とはコミュニケーションの連鎖」であり社会を設計するとは、コミュニケーションの可能性をデザインすることだと説いています。組織も小さな社会と捉えると同様に、デザインできるのはコミュニケーションの流れ、コミュニケーションの中身に影響しうる関係性です。

そうしたあらゆるヒトとヒト、ヒトとモノ、ヒトと世界における関係性をつくることすなわちデザインだと思っていました。

しかし、このDesign@Communitiesで気づいたことは、社会におけるデザインは本当に本当に根源的な人と人の関わり合いからしか始まらないのではないか、ということです。本アワードの大賞を受賞した、奈良県のあたつく組合の理事長、山内さんの、

「人間の本質なんて、飯をともにして話す、それだけじゃないですか」

というお言葉に、ぼくは衝撃でした。これは当たり前のように思えるけれども、果たしてどれだけ普段自分はそれに向き合っているのか?と突きつけられました。例えばチームビルディングなんて言葉で片付けていないか?と。すごい表面的でちっぽけに扱っていないか?と。(チームビルディングという概念を否定しているわけではなく、向き合い方の問題です)

うまい言葉が見つからないですが、英語でいうとHumanityというんでしょうか、そうした本来の人間の営み、再三当たり前のことだと前置きしますが、同じ釜の飯を食うということがいかに大切なことか。その本質的なかかわり合いなくして社会の中でのデザインなどありえないのではないかと。

資本の枠組みに閉じ込められているデザインが、本当に今必要なのは秩序や合理性ではなくそうした人間性や野生への回帰なのでは、となんだかここ最近の課題意識とのつながりもあり、多くを考えさせられました。

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m.kawachi

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