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Co-Design; 期待するメリットおよび価値とは?

前回、Co-Designを中心としてUser Involvementに関わるアプローチのご紹介をしました。今回はBenefits of Co-design in Service Design Projectsという論文で述べられている、Co-Designの利点を事例を踏まえながら考察したいと思います。

例えばどんなメリットがあるのかというと

■顧客理解/アイデア創造
・多様なアイデアを創造し、新たな編集(掛け合わせ)の可能性を高められる
・深い顧客理解の元、認知モデルとシステム設計の整合性を担保できる
■カスタマーリレーション
・ロイヤリティや満足度を向上させられる
・ステークホルダーのサービス理解を深めたりと、教育/啓蒙に繋がる
■組織変革
・イノベーション開発のための能力/創造性およびカルチャーを耕せる
・あらゆるサイロを壊し、領域を横断したコミュニケーションを促せる
■コストの削減
・顧客と密に結びつくことで、長期的な失敗を避け費用を削減できる
・すばやくアイデア検証を行うことでイテレーションサイクルを早められる

のようなものが挙げられてます。とはいえ、本論文に述べられているのは主に"事業会社視点によるメリット"のように感じます。

例えばこれが前回のアプローチでいうUser Independet Communityのような、自助・共助のコミュニティを目指しているのだとすれば

・コミュニティメンバーの自発性/主体形成を可能にする
・各人が課題を解決できるスキルを養える
・役割の付与により社会参加を促せる

などがあり、また異なる効果が得られると思います。もちろん、その文脈や領域において得られる副次的効果には多様性が存在していると思います。例えば病院の患者・医者を巻き込んだ治療のあり方を見直す、といったようなテーマであれば、例えばプロセスに「参加する」ことで退屈な病院生活における楽しみの1つとなり、病院生活におけるwellbeingの向上に繋がるかもしれません。個人的には、アウトプットのためのCo-Designはもちろん重要なのですが、動的なプロセスにおける「関係性の変化」およびそれによりもたらされる「個人の内的変化」を深めていきたいです。

これらCo-Designから期待できる価値を、サービス⇔コミュニティおよび時間軸によってまとめ直してみました👇

これもあくまでプロトタイプです。色んな切り口の中からまずサービス⇔コミュニティで切り分けたのは、ぼく個人が探求していきたい箇所を明らかにしやすかったからです。サービス提供者と自立するコミュニティというDesigning forの色が強い前者と、Desined by の意味合いが強い後者、といったニュアンスが含まれてます。

時間軸という切り口は、プロジェクト設計時にダイレクトに活用できる切り口。全体プロジェクトの中で、短期的な価値と成果を生みつつもそれが中長期的に目指したい価値へつながるような設計時、およびアプローチを導入する際の説得にも用いることが可能かと感じたため、この切り口を使ってマトリクスを作成してみました。

次回は、実際にこうした効果を期待してCo-Designを活用した事例にどんなものがあるのかを簡潔に見ていければいいなあ


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