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接触がなければ「ファウル」にならないのか?

皆さん、こんにちは。家本です。

今回はX(旧ツイッター)で以下のご意見を頂いたので、8月26日に行われたJ1リーグ 第25節「川崎フロンターレ vs コンサドーレ札幌」戦の岡村大八選手の退場について、簡潔に解説しようと思います。

この件に関して僕は、DAZNの「ジャッジリプレイ」で「映像では接触があったかどうかはっきりしない」とコメントしました。

それは本心ですし、何度見ても「正直分からない」と今でも思っています。

そうなると「接触がなければファウル(反則)ではないだろ!」と多くの方が思うと思います。それは感情的によくわかります。ですので、個人的(主観的)見解ではなく合理的な見解、すなわち「競技規則はどうなっているのか」をまずは確認したいと思います。

競技規則は、次のように記されています。

競技規則第12条 ファウルと不正行為
1. 直接フリーキック
競技者が次の反則のいずれかを相手競技者に対して不用意に、無謀に、または過剰な力で行ったと主審が判断した場合、直接フリーキックが与えられる。
◦ チャージする。
◦ 飛びかかる。
◦ ける、またはけろうとする。
◦ 押す。
◦ 打つ、または打とうとする(頭突きを含む)。
◦ タックルする、またはチャレンジする。
◦ つまずかせる、またはつまずかせようとする。

身体的接触を伴う反則が起きたときは、直接フリーキックまたはペナルティーキックで罰せられる。

・不用意とは、競技者が相手にチャレンジするときに注意もしくは配慮が欠けていると判断される、または慎重さを欠いて行動すること。懲戒の罰則は必要ない。
・無謀とは、競技者が相手競技者にとって危険になる、または結果的にそうなることを無視して行動することで、警告されなければならない。
・過剰な力を用いるとは、競技者が必要以上の力を用いる、または相手競技者の安全を脅かすことで、退場が命じられなければならない。

日本サッカー協会 競技規則より抜粋

太字で示した通り、「ける(打つ、つまづかせる)、またはけろう(打とう、つまづかせよう)とする」行為が「不用意に行われた」と主審が 判断すれば反則と "認定" されるということです。

言い換えれば、「接触した事実はない」としても、ける、打つ、つまづかせる、という行為が "未遂(接触はない)" であっても行われたと主審が "主観的に判断" すれば「反則」ということです。

たとえば、A選手がB選手に対して感情的になって殴りかかったとします。幸い、殴りかかった右パンチはヒットしませんでした。この場合、A選手は「ヒットしなかったからノーファウル」と判断されるでしょうか。

あるいは、C選手の激しいチャレンジをD選手が受けました。結果、思わず感情的になってD選手はC選手を蹴ろうとしましたが当たりませんでした。この場合、D選手は「当たらなかったからノーファウル」と判断されるでしょうか。

なかなか難しく、かつ「浸透していないポイント」ですが、今回の最大の論点です。

これらを踏まえて、今回の岡村選手とマルシーニョ選手の状況を、もう少し丁寧に解説しますね。

VARが介入した50分17秒のシーンは、以下のような状況でした。

1-1. 岡村選手のタックルは、間違いなくマルシーニョ選手に向かっている
1-2. 接触の有無が、DAZNの映像でははっきりしない
1-3. マルシーニョ選手がタックルを受けた状況は、以下のとおりである
  ・タックルを受けた瞬間、半径10m以内に札幌の選手は誰もいない
  ・タックルを受けた瞬間、半径15m前後に札幌の選手が2人いる
  ・マルシーニョ選手は、全体的に札幌ゴールに向かっている
  ・マルシーニョ選手は、すぐさまボールをコントロールで状況にある
  ・マルシーニョ選手は、"不用意なタックル" をギリギリでかわした(接触している可能性もある)

「今回の状況」を競技規則とすり合わせると、岡村選手のタックルが「不用意」かつ「相手に悪影響を与えた行為」だったことはご理解いただけると思います。その結果、「DOGSOの4要件を高い確率で満たしている」というのが僕の見解です。

よって、僕は「接触の有無ははっきりしない」ものの岡村選手の行為を「 "ファウルタックル" が行われた」と解釈してその後コメントしています。

「決めつけ」と言われると悲しいですが、個人的には事実(映像+競技規則)に基づいてコメントした、ということをご理解いただけると嬉しいです。

もちろん僕の見解が「絶対解」ではありませんし、主張するつもりもありません。JFA審判委員会が、別の見解をする可能性は十分にあります。

ですが、

1.たとえ接触がなくても「ファウル」と判断されることはある
2.それは競技規則にも明記されている
3.最終的に決めるのは主審

という事実を、多くの方に知っていただけると嬉しいです。

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