疲れた女性

削減すべきは会議や資料作成の時間ではない

現場に潜む「当たり前」になってしまった非効率を改善するためのヒント からの続きです)

削減すべきは会議や資料作成の時間ではない

管理部門の人はつい

会議や資料作成などの社内作業の時間が取られているから、お客様対応の時間が取れていないのではないか?

と考えがちです。
ホワイトカラー、デスクワークが中心の人が多い職場では、よくある話。

ですが、たとえばサービス業の現場(店舗、客先、作業場所、施設など)で働く人が中心の職場では、どうでしょうか?

現場は刻一刻と状況が変わっていきます。
お客様の要望も千差万別です。
そういう状況では「適切な対応」というものは、一律・定型的ではありません。

すると、何が起きるか?
上司や先輩・同僚に『ちょっと確認したい』というコトが、ものすごく増えます。

これでいいと思うんだけど、念のため確認しておきたい。
電話するほどではないけど、その場にいるなら聞いておきたい。
お客様への回答なので、いちおう上長の了解を取っておきたい。

こんなシーンが増えれば増えるほど、細かいコミュニケーションが求められます。
かと言って、毎回タイムリーに細かい確認ができるともかぎりません。
結果として、待ち時間が増え、仕事が止まってしまう。
お客様への回答が遅れてしまう。

つまり、現場での判断につながるような細かいコミュニケーションを支えるインフラが必要なんです。

削減すべきは会議や資料作成の時間ではなく、判断のための待ち時間です。

だからこそ、現場の人がチャットを使うことを許可してほしいのです。
「まずは管理職から」ではなく、真っ先に「現場」に使わせてこそ、効果が出ます。


スマホ+チャットなら、細かいコミュニケーションができる

チャットの特長は、前置きがいらない・短い・スピーディ・会話形式・手軽。
だから、現場での判断に直結する細かいコミュニケーションに向いています。
メールでは、これは実現できないんです。

エステサロン Dr. KOTANI Beauty Clinicを営む美伸さんでは店舗スタッフの方が、次の予約のお客様からの問い合わせなど、日々のちょっとした伝言を、メモや付箋からチャットに切り替えたことで、業務の効率化とスタッフ間のコラボレーションを実現されています。

既読確認できれば、無駄な待ち時間が減る、会議が減る

こういったこと、よくありませんか?

上司にメールを送ったけど、見てるかどうか分からない。
電話をしてみたが、商談中・移動中でつながらない。折り返しがない。

ここでも、やはり待ち時間が発生し、お客様へ回答できない、現場の状況に即した判断ができない、ということが起きてしまいます。

こういった状況に対して、スマホとチャットを使うことで、とても大きな効果を出すことができます。
チャットであれば「既読確認」機能がありますから、誰が読んだのかを把握できます。
仮に、読んでほしい人(上司や同僚)が読んでいなかったとしても、読んでいないということが分かれば、次のアクションが取れます。
何をすればいいか、という判断がつきます。

つまり、無駄な待ち時間が減るのです。

その結果、判断のスピードが上がり、業務のスピードが早まります。
こういった特性をうまく活用して、会議を減らしたり、稟議や承認プロセスを早めている企業も数多くあります。

例えば、受注生産型の製造業である宮山技術研究所さんでは、稟議の仕組みそのものを、チャットに合わせて変えてしまいました。
従来は、部長→常務→社長という順で、承認ルートが決まったワークフローで稟議を回していたところを、
「実は、そもそも順番は関係ないのでは?3人が承認しなければNGだし、承認すればOKなのだから、ムダな待ち時間を減らすには、順番をなくしてしまえばいい」
と判断されました。

稟議専用のトークルーム(グループチャット)を作り、承認者は、そこに上げられたものは優先して確認する。
こうするだけで、これまで1週間以上掛かっていた承認プロセスが、早ければ1〜2時間で終わるようになったそうです。

スマホとチャットを活用することで、人手不足に対応

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人手不足への対応として、採用を強化するという方法はもちろん大事ですが、それ以上に大事なことは、今いる社員の方にとっての働きにくさを取り除くことも大事です。

共働き世帯は、過去10年間で大幅に増加し、すでに全世帯の65%を占めています(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」より)。
幼少期のお子さんを持つ社員は、保育園のお迎えや学童保育の時間までに帰宅することが必要だったり、急な発熱・病気に対応する必要があったりと、時間の制約がある上に、突発的な対応力も求められます。

こういった社員にとって、もっともストレスで、働きにくさを生む原因になるのが「状況が分からないため、次のアクションが取れないこと」。
つまり待ち状態です。

ましてや、待ち状態が続き、必要な時間に退社できないとなると、この職場で働き続けられるだろうか?と考えてしまい、転職を考えることにつながります。

相手が不在、取り込み中でも、チャットでメッセージを送っておく。相手の都合のいい時に読んでもらい、読まれたことが「既読」で確認できる。
たったこれだけのことでも、社員にとってのストレスはグッと減り、仕事もスムーズに進むようになります。
結果として、働きやすい職場となり、人材確保につながるのです。

口頭や文章ではなく、スマホ+写真・動画

皆さん、スマホを持つようになってから、写真を撮る機会、写真を共有する機会が、すごく増えましたよね。

スマホとパソコンの大きな違いのひとつに、写真や動画の扱いやすさが挙げられます。
なにしろ、2歳児でも撮り方をすぐにマスターしてしまうくらい、スマホでの写真・動画撮影は簡単です。
これを仕事でも活かさない手はありません。

電話や文章ではなかなか伝えにくいことも、写真や動画であれば、すぐに理解できる。まさに一目瞭然ということは、仕事の場面でも数多くあります。

ホリデイスポーツクラブを運営する東祥さんでは、スポーツジムに数多く設置されている機器やシャワー設備などの故障状況を把握するために、スマホとチャットを活用されています。
ボイラーの水漏れ状況を、設備のプロではない店舗スタッフの方が電話で説明するのは難しいですが、動画を撮って共有すれば、どの程度の量が、どれくらいのスピードで漏れているのか、確実に伝わります。
そして、設備担当の方はその動画を見れば、緊急対応が必要なのか、そこまで大ごとではないのか、判断できます。
その判断をすぐに聞くことができれば、店舗側もお客様に利用を中止するようご案内するのか、利用継続していいのか、判断ができます。
もし、その判断ができない場合、店舗スタッフは「念のため」と考え、おそらく利用中止をご案内してしまうでしょう。
つまり、無駄な機会損失が発生してしまいます。

同じことをデジカメでビデオを撮って、パソコンに取り込んで、メールで送り、その返信を待つ、となると、まったくスピード感が違いますし、そもそもそのような作業ができないスタッフも数多くいるでしょう。

また、店舗運営のノウハウ共有に、スマホとチャットを活用されている例も数多くあります。

例えば、メガネブランド「Zoff」の店舗運営をされているインターメスティックさんによれば「メガネの並べ方(ディスプレイ)にも多くのノウハウがある」そうです。
こういったディスプレイ(VMD)については、店舗スタッフや、臨店しているエリアマネージャーが、良い例の写真を撮ってすぐに共有すれば、全国の店舗のレベルアップがあっという間に実現します。

スーパーマーケットの三杉屋さんでは、店舗で作るお惣菜のレシピと完成写真を共有することで、業務の質を高めると同時に、企画から提供までの時間が大幅に短縮されました(Time to Marketの短縮)。


(ノウハウ共有は、ハコモノ・仕組みありきではなく、日常の延長で
へ続きます)


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