見出し画像

【本まとめ】お金2.0 新しい経済のルールと生き方

2017年に入ってフィンテック、ビットコイン、シェアリングエコノミー、評価経済という単語が目に入るようになって来ました。
「お金」や「経済」に関する大きな変化がいま起こっています。


<第一章 お金の正体>
現実は下記3つの異なるベクトルが相互に影響して未来の方向を決めている。
1.お金
一番影響力がある。にも関わらず学校などでは教わらない。

2.感情
共感・嫉妬・憎悪・愛情など。お金は一番影響があるが、感情を無視して持続する事は出来ない。

3.テクノロジー
3つの中では影響力は少ないが大きな変化のキッカケを作る。

必ず3つが揃っていないと現実ではうまく機能しない。
3つは全く違うモノで体育と数学くらい違う。

・急激に変わるお金と経済
Fintech 1.0
決済、投資、融資などの枠組みはそのままでスマホやビッグデータを用いて効率化したり新しいマーケティング手法を活用する事。
典型例はAIを活用して投資を最適化するロボアドバイザー、スマホ決済、クラウドファンディングなど。

Fintech 2.0
既存のサービスや概念と異なるので見た時に一言で表現できない。
典型例はビットコイン。1.0の人たちからは異質すぎて懐疑や不安の対象になりやすい。
しかし、それこそ全く新しいパラダイムであることの証でもある。

・中央銀行の仕組み
お金はどこで作られているのでしょうか?
現代で言えば国家が管理する中央銀行。日本だと日本銀行です。
実は中央銀行がお金を刷って、国の経済をコントロールするようになったのはつい最近の事です。
1844年イングランド銀行が国営化され、アメリカと日本が真似して始まりました。
本格的に世界で普及したのはここ100年程です。
そう考えると仮想通貨やブロックチェーンが100年後に標準になっていても、それほどおかしくは無いかもしれません。

・仮想通貨
「革新的なテクノロジーである」「詐欺で胡散臭いものである」という意見があります。
仮装通過は従来の通貨とは「似ているようで全く異なるもの」です。全く逆のルールが適用されています。

・経済とは欲望のネットワーク
現在社会の欲望は下記3つ

1.本能的欲求
衣食住、モテたい、など
2.金銭的欲求
そのまま稼ぎたいという意味
3.承認欲求
他者から認められたい

経済は人の繋がりが繋がったり切れたり動的なネットワークです。その特徴は下記2つ
1.極端な偏り
2.不安定性と不確実性

・人の手で経済は作れるのか
経済は「読み解く対象」から「創り上げていく対象」に変化しつつあります。

・発展する「経済システム」の5要素
1.インセンティブ
参加者に明確なメリットが無いと始まらない。現在では「金銭的欲望」「承認欲求」が目立っている。

2.リアルタイム
時間によって状況が常に変化するという要素。

3.不確実性
最初から結末がわかっていると興ざめします。実力と運がバランスよく混ざっている事が必要。
リスクある環境で得た報酬により多くの快感を感じやすい

4.ヒエラルキー
一見ネガティブだが自分と他人の距離感や関係性を掴みやすくなるというメリットがある。
優位なポジションを手に入れたものはその地位を守ろうとするので新陳代謝を促す仕組みが必要。
人間は他者との比較の中で自分の幸せを認識する。

5.コミュニケーション
参加者どうしが交流して助け合ったり議論する事で1つの共同体である事を認識できる。

SNSはこれらの5要素を完全に満たしている。

・ビットコインの「報酬設計」の秀逸さ
参加者は何をすれば、どういった利益が得られるかが明確に設計されている。
「お金」「感情」「テクノロジー」がうまく作用している。

・持続的に成長する組織の条件
会社は「お金」という分かりやすい報酬が用意されている典型的な経済システムです。
しかし現代ではお金以外の欲求が高まっています。

・勝手に拡大するサービスを作るには?
金銭欲望、承認欲求を満たすFB,Twitterはよく出来た経済システムです。
「いいね」や「RT」は承認欲求を満たす装置でユーザー間での「通貨」のような役割。
フォロワーは貯金のように溜まっていく「資産」に近いです。

2012年FBは「社員数13人、売上ほぼゼロ」のインスタを800億円で買収。
普通に考えるとあまりにも高い額だが、ザッカーバーグは写真がSNSにおけるキラーアプリだと経験から理解していたのでこの額を出しました。

サービスの発展に貢献してくれたユーザーに対しては特別待遇をする。しかもユーザー間で可視化される事が必須。

・企業経営を通して学んだ「ビジョン」の重要性
会社が数百人規模になるとビジョンや理念の重要性が身に沁みてくる。

<第二章 テクノロジーが帰るお金のカタチ>
・テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
クラウド、ビッグデータ、IOT、AIなどは切り口を変えただけで1つの大きな流れに沿っている。

・今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
これは既存の経済や社会システムを根本から覆す概念です。
既存システムは「中央集権化」だからです。
近代社会は「情報の非対称」が前提でしたが、現在では全員がスマホを持ちリアルタイムに情報を得る事が出来ます。

分散化が進むと仲介は価値を失い、独自の経済システムを作る事ができる存在が大きな力を持つようになります。
IT企業は「個人をエンパワーメントする」という表現を使いますが、これはまさに従来の仲介の力を奪って個人に還元する事です。

分散化の流れの一部は下記のようなものです。
「UBER」「Airbnb」に代表される「シェアリングエコノミー」
仮想通貨やブロックチェーンを活用した「トークンエコノミー」
Youtubeやインフルエンサーとファンが作る「評価経済」

・分散化する社会とシェアリングエコノミー
UberやAirbnbは「黒子」として個人をサポートする事に徹しています。

・中国がリードするシェアの世界
ここ最近、急激に普及したサービスは自転車シェアリングです。Mobikeという企業が一番有名。

・「評価経済」でまわる中国
インフルエンサーが凄まじい影響力を持っている。トップは年収50億超え。
このように他者からの評価によって回る経済は「評価経済」と呼ばれます。

・国家を代替するトークンエコノミーの可能性
シェアリングエコノミーをさらに推し進めたのがトークンエコノミーです。
この2つは「分散化」という大きな流れの中の延長線上に存在するものと考えた方が良い。
トークンとはブロックチェーン上で流通する文字列、または仮想通貨やブロックチェーン上で機能する独自の経済圏の事です。
トークンエコノミーと既存ビジネスモデルとの大きな違いは、経済圏がネットワーク内で完結している点です。
トークンエコノミーでは、独自の通貨をトークンとして生産者が発行し、完全に独自の経済圏を作り出す事が出来ます。

大規模なトークンエコノミーの例としてカナダ発のメッセンジャーアプリ「Kik」が発行する「Kin」があります。
アプリ内で活用できる独自の仮想通貨を発行してコミュニケーションを起点に独自の経済圏を作ろうとしています。
また、ユーザーや外部のクリエイターの利益に繋がる経済圏の構築まで目論んでいます。

トークン発行者は通貨発行益を得る代わりに優れた経済圏を作り、維持していく必要があります。

トークンエコノミーでは参加者が増えれば増えるほどその経済圏の価値が上昇する「ネットワーク効果」が働きます。

・トークン化する世界
トークンはバーチャル空間上に存在するただの文字列ですが、現実世界のアセットと結びつける事で、あらゆるものの価値を可視化する事が出来ます。
トークンの種類は主に3つ。

1.通貨型トークン
楽天ポイントやTポイントなど通貨とほぼ同じ役割です。

2.配当型トークン
特定のサービスや機能で得た収益の一部をトークン所有者に分配していくものです。
既存の株式や金融商品と近く、金融商品取引法での規制が適用される事が増えるでしょう。

3.会員権型トークン
トークンを所有している間は特別な優待を受ける事ができるものです。
例えばアイドルのファンクラブ、レストランのお得意様向け優待割引など。
バーチャル上のトークンでこれらの仕組みを低コストかつ効率的に誰でも作れます。

・「自律分散」という次世代の成功モデル
「分散化」ともう一つの大きな流れAI、ディープラーニングなどがもたらす「自動化」
この2つの流れが混ざった「自律分散」というコンセプトが多くのビジネスモデルを覆すのではないか。
自律分散とは自然界のように絶対的な支配者や管理者が不在で個々がバラバラに行動しているはずなのに、うまいバランスで回っていくシステムです。
典型例は「インターネット」「ビットコイン」

・AIとブロックチェーンによる無人ヘッジファンド
Numeraiは匿名で1万人以上のデータサイエンティストが機械学習などを用いて投資モデルを作りNumeraiにアップロードします。
その投資モデルが収益をあげたらデータサイエンティストにトークンが配分されます。
ユーザーもデータサイエンティストも誰もお互いを知りません。
これは投資ファンド以外にも応用できるモデル。人件費やオペレーションコストを劇的にさげて、全く違う収益構造を実現します。

・テクノロジーによって経済は「作る」対象に変わった
今はスマホやブロックチェーンなどのテクノロジーで個人や企業が簡単に通貨を発行して独自の経済が作れます。
つまり、いま起こっている事は「経済そのものの民主化」です。

全く似た現象がかつて「知識」で起こりました。
一部の貴族などの独占されていた知識が印刷技術が発明により本として出版され一般市民が知識を得る事が出来るようになりました。
その後はインターネット、グーグルが登場し、知識は完全にコモディティ化しました。
そのうちお金もコモディティ化して、それほど価値がなくなるでしょう。
つまりお金にそのものより、どのように経済圏を作って回していくか、そのノウハウこそが貴重な時代に変わっていくと考えています。


<第3章> 価値主義とは何か?
・資産経済の肥大化と金余り現象
今の経済は下記2つの種類があります。
消費経済・・・コンビニへいってお金を払うなどの一般的な経済
資産経済・・・投資家や金融マンが動かす経済

世の中に流通しているお金の実に9割が資産経済で生まれています。
そして現在、資産経済が肥大化して、むしろ投資先の方が枯渇している状態です。
相対的にお金の価値は下がり、信頼や時間や個性などお金で買えない価値が上がっています。

・お金になりにくい「価値」の存在
既存の資本主義の中、多くの人が「お金にはならないけど価値あるものって存在するよね?」と感じています。
今起こっている事はお金が価値を測る唯一の手段として独占してきた事が終わりつつあるという事です。
価値を保存・交換・測定する手段がお金である必要がなくなりつつあります。
価値を最大化しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていきます。
たとえば「信頼」や「他者からの注目」という価値を持っていれば、クラウドファンディングを通して資金を募る事が出来ます。

・資産としては認識されないデータの「価値」
企業の価値で財務諸表上で価値として認識されないものは「人材」と「データ」です。
データは会員データ・購買データ・広告配信データ。
FBの最大の価値はユーザーのデータ。
情報という「価値」も売上利益という「お金」も単位が違うだけで同じものに映る。

・資本主義から価値主義
価値とは欲望を満たす実世界での実用性、倫理的・精神的な観点からの真・美・善・愛など社会的にプラスになる概念。
興奮・行為・羨望などの人間の感情や共感・信用などの観念も消費こそできないが立派な価値です。

・「価値」の3分類
1、有用性としての価値
利用できる、儲かる、といった実世界での「リターン」を前提にした価値

2、内面的な価値
実生活に役に立つわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に価値がある事、モノ。

3、社会的な価値
個人ではなく社会全体の持続性を高める活動にも価値があります。

すべて報酬系を刺激する現象です。

・価値主義とは
⑴有用性としての価値だけではなく
⑵人間の内面的な価値や
⑶全体の持続性を高めるような社会的な価値も、全て価値として取り扱う仕組み

価値主義は資本主義の発展系。

・評価経済の落とし穴
評価経済とは他人からの評価や信用などの人間の内面的な感情によって回る経済の事。

・ソーシャルキャピタルの可視化
個人が繋がって出来ている社会が持続的に良い方向に発展していくために必要な「社会的なネットワーク」を「資産」と捉える考え方です。
既存の経済ではマネーキャピタルを増やす事がうまい人が大きな力を持つが
これからはソーシャルキャピタルを増やす事に長けた人も大きな力を持つでしょう。

・営利と非営利の境界線
グラミン銀行は貧困問題を解決するマイクロファイナンスを収益の出るビジネスという活動に置き換えた。
社会問題をビジネスとして解決する「ソーシャルビジネス」
利潤のみを追求すると消費者に避けられる、過剰競争に巻き込まれる。
数十年後には営利、非営利ではなく、価値の視点が重要になるだろう。

・「経済」は選べばいい
複数の経済システムは並存しうる。
今の経済でうまく行ってる人には新しい仕組みは不要だが、噛み合わない人には新しい仕組みが必要です。
ネットが発達した現在、個人が自分に適した経済を選んで行くという「選択」ができます。

・タイムバンクとVALUの正体
個人の価値をトレードできるマイクロトレードサービス。
信用・影響力・評価・期待値などをネットを使って可視化。

・デジタルネイティブからトークンネイティブへ
パソコンや携帯電話の普及時、色々な議論が世の中であった。
しかし社会との摩擦を経て今では当たり前のインフラになっている。SNSも同じ。
今のビットコイン、ブロックチェーン、トークンエコノミーも似ているのではないか。
これからの世代は「トークンネイティブ」つまり生まれた時からビットコインやブロックチェーンが当たり前になるのではないか。

イギリスの作家ダグラス・アダムス曰く
人間は自分が生まれた時にすでに存在していたテクノロジーを自然の一部と感じる。
15-35才の間に発明されたテクノロジーは新しくエキサイティングなもの。
35才以降のテクノロジーは自然に反するものに感じる。

・「価値主義」とは経済の民主化
価値主義は下記2つの大きな変化が混ざった一つの現象。

⑴お金や経済の民主化
ここ300年近く国家の専売特許であった通貨の発行や経済圏の形成が誰でも低コストで実現できるようになった。

⑵資本にならない価値で回る経済の実現

常識や価値観は固定されたと思っても常に上書きされて行くもの。
価値という点で現在の30代はすでに車や時計、家などものに高いお金を払う感覚がわからなくなりつつある。
50代からみればスマホゲーに課金する気持ちはわからない。
価値主義も移り変わって行く過渡期の考えにすぎない。

<第4章> 「お金」から解放される生き方
ユーチューバーやCtoCサービスで複数の収入源を確保している人、ビットコインへ投資している人など
変化の中で力を発揮する人物はどんな人か?を紹介します。

・人生の意義を持つ事が「価値」になった世代
戦後から1970年代は高度経済成長期。欠けているものを満たす、マイナスからゼロに持って行く上昇志向。
一方、ミレニアム世代は比較的裕福になった後。お金や出世にモチベーションを感じにくい。

FBザッカーバーグはハーバードのスピーチで語った。
「僕らの世代にとっての課題は、誰もが人生の中で目的を持てる世界を作り出す事だ。新しい仕事じゃない、新しい「目的」を創り出さなくちゃいけない」

今後は人生の意義や目的を他人に与えられる存在の価値が上がって行くだろう。

・若者よ、内面的な「価値」に着目せよ
価値主義の世界では「好きな事に熱中している人ほどうまく行きやすい」世界に変わるでしょう。
前途の通り、お金の相対的な価値は下がって行きます。
そうなると人を動かすモチベーションは価値(=内面的な価値。資本主義の枠組みでは認識できないもの。信頼、共感、熱狂、好意、感謝、人からの注目など)に変わってくる。

・「儲かる事」から「情熱を傾けられる事」へ
好きな事をやり、その熱量が「情報」として一瞬で伝播しやすい環境が出来上がっている。
ユーザーは「楽しみたい」「応援したい」という感情に対して「価値」を感じる。それがお金を払う事に繋がっている。

つまりこのような世界で活躍するには「他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組める事を探す事」が実はもっとも近道。
その人でなければいけない。その独自性がそのまま価値になる。
起業家は誰かになろうとしたら終わり。

・「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
この先は「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつある。
ここでいう価値とは?
⑴スキル・経験のような実用的なもの
⑵共感や好意。内面的な価値
⑶信頼・人脈のような繋がり。社会的な価値。

・枠組みの中での競争から「枠組み自体を作る競争」へ
今後は自分なりの独自の枠組みを作れるかの競争になります。


<第5章> 加速する人類の進化
・お金にならなかったテクノロジーに膨大なお金が流れ込む
人類が大きなパラダイムシフトを起こす時はいずれも人間の想像力をはっきした時期であり、それを支援する経済的な基盤が揃っている場合です。

現在、Google、アップル、アマゾンなどが資産を新たなテクノジーに注いでいます。
まるで産業革命時の鉄道会社、石油会社のように。
そのため、従来では考えられなかったようなプロジェクトにも資金が流れるようになります。
ここ30年で開発されるテクノロジーは産業革命以上のインパクトになる。それを「シンギュラリティ」と呼ばれています。
今、経済や通貨に起こっている変化はシンギュラリティを加速させる要因と考えられます。

・現実も選ぶ時代
BMI(ブレインマシンインターフェイス)は脳とコンピューターを直接つなぎ
脳そのものを制御したり、脳を使ってコンピュータをうご書く事を可能にする技術です。
FB,Twitter,IGなど使い分けるように様々な仮想空間でそれぞれ異なる人格でコミュニケーションを楽しみます。
視覚・嗅覚・聴覚・味覚などもデータ化して他人と共有できるようになるかもしれません。
それらを共有するあたらしいプラットフォームが生まれるかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?