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東京23区内で唯一の自然島に徒歩で渡った話

その日、まだ寒さが厳しかった2月某日、私は電車に揺られて東西線の浦安駅に降り立った。

この日は、私がフィリピンのセブで暮らしていた頃によく仕事でお世話になっていた Nicole 氏と数年ぶりに会って食事をする約束をしていた。

そして、氏に指定された集合場所が浦安だったのである。

東京23区内で唯一の自然島

Nicole 氏は、指定時間より少し早く浦安駅に到着していた。
氏によれば、ここから歩いて数分のところに、氏が昔からよく利用するお気に入りのレストランがあるという。

駅から大通りを西へ進み、大きな川に差し掛かる。

橋の向こうには、何やら工場らしき建物が立ち並んでいる。
Nicole 氏と仕事面での近況報告しながら橋を渡る。そこはすでに東京都のようだ。

長いスロープを降りて踏み入れた場所は、妙見島という。
旧江戸川の中洲として形成されたこの島は、東京23区の中で唯一の自然島だという。

地図で見てもご覧の通り、妙見島は旧江戸川に浮かぶ島だ。
しかし、この島に上陸するには、島の南部にかかる「浦安橋」かアクセスするしかなさそうだ。


妙見島とはどんな魔境なのか?

実は以前からこの島の存在には気付いていた。

かつて東西線で通勤をしていた頃、浦安駅を過ぎて葛西駅へと向かう途中、車窓から謎の島が見えるのが気になっていたのだ。

画像:古今東西舎ウェブサイトより

車窓から見える妙見島は、一瞬で過ぎ去っていくのにも関わらず、私の脳裏に深く焼き付いた。

しかし、この島はどうも人が住んでいるようには見えない。
外から見る限り、島に見える建物といえば、ラブホテル、工場、産廃業者、物流倉庫・・・何やら謎に満ちている。。。

この島が妙見島と呼ばれるようになったのは、島の北部に鎮座する妙見神社に由来するという。

妙見様は、北極星と北斗七星のご祭神。仏教での妙見菩薩のことで、千葉氏の守護神として崇められてきた。

南北朝時代の1362(貞治元)年、妙見堂建立の記録が残るという。歴史はかなり長そうだ。かつて護岸工事が実施される前は、川が増水するたびに島の位置が移動する「流れる島」として知られていたという。


マリーナレストランでランチ

Nicole 氏は、こんな殺風景な島でランチにしようという。
こんなところにレストランがあるというのか・・・

氏の案内で、島内を歩いていくと、何やらマリーナが見えてきた。

ここは、ニューポート江戸川という会員制マリンクラブ。
船舶免許の講習などを実施している。

この2階にあるのが「マリーナレストラン トリム」。

開放的な窓から見える景色はなかなか素晴らしい。
外光を取り入れた明るく広い店内は、平日にも関わらずほぼ満席。
全て女性客。

まさかこの島にこんなに人がいたとは・・・

ここがお気に入りだという Nicole 氏。
平日のランチメニューは1,250円とかなりお得だ。

私は、ハンバーグをチョイスし、プラス800円で パン(ライスも可)、ドリンク、デザートを付ける。

本来はライス党なのだが、ここでは焼きたてのパンが食べ放題ということで、次から次へと新しく焼き上がるパンを追加してジャーマンソースのかかった絶品のハンバーグを堪能する。

ソフトドリンクにオレンジジュースを選んだのだが、グラスが空くとそれをめざとく見つけたホールスタッフが追加を注いでくれる。

まさに至れり尽くせりじゃないか!

締めくくりはティラミス。


工場と産廃業者くらいしかない殺風景な島にこんなおしゃれなレストランがあるとは・・・まさに穴場じゃないか!

川の両岸には人の生活が感じられるマンションや住宅地が広がる。
その隙間に目立たずに存在する生活感のない島。

散策するほど見どころはないが、また行ってもいいとちょっと思っている。

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