理解増進法案とトランスジェンダー女性のトイレ利用について

超党派議連で合意した理解増進法案は、大前提としてトイレや浴場のルールを定めるものではありません。ベースとなっている自民党原案も同様です。

その上で、トランスジェンダーの女性の「自分の意思ではどうにもならない性自認に従った取扱いをしてほしい」という真摯な願いは守られるべき利益であります。

一方で、衣服を着けない状態にある浴場・トイレ・更衣室などでは、ここを利用する他の女性の羞恥心や安心感もまた、十分に保護されるべき権利利益であると思われます。

このような場面で両者のバランスをどのように考えるか、トランスジェンダー女性がどう扱われるべきかについて、我が国では、まだ社会的合意があるとは言い難い場面が多いものと考えます。

したがって、このようなトランスジェンダー女性の要望をわがままと決めつけることも、その要望を拒絶することを差別だと決めつけることも、いずれも適切ではないと考えます。

こうした要望に関しては、性的指向・性自認の多様性についての正確な理解を踏まえた上で、当事者の状況、施設・サービスの種類・内容、団体や事業者の事業の性格といった様々な要素を十分に考慮しながら丁寧に議論を重ね、解決策を模索していくべきであります。

そして、理解増進法案は、まさにこのような理解を進めていくための法案であります。

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