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MM1/100『アシュラテンプル』(ボークス)2作目

ガレージキットは一期一会…

「ガレージキットは一期一会」

 愛好家の間ではよくそんな文句が交わされている。少数生産でそのほとんどが購入期間もごくわずか。再販もあるけれど、それも約束されたものではない。機を逃すともう二度と手に入らないかもしれないから買っておけ、というのが一期一会たる所以だ。

たしかにガレージキットは一期一会、その出会いは大切にすべきなのだが、愛好家の多くはそれを理由に買い込んで今日もまた新たな箱を積んでいる。つまり一期一会はほとんどの場合「言い訳」だ。

とはいえ、ガレージキットがいくら貴重なものであっても無限には買えない。また、選りすぐりだけに手を出したとしても積みは減らない。そしてある程度の数を、…20個、…30個と作っていくとどういう心境にいたるのか。私の場合は、もともとコレクションするより作ることの方が好きなこともあって、本当に手元に置いておきたいキットというものは実はごくごくわずかなものだということに気がつくことに至った。

ガレージキットを買い漁っていたごく初期の段階の所有欲求は次第に薄れていき、今では買えなかったら縁がなかったとあっさり諦められるようになっている。そう、自分とそのキットの「ご縁」というあやふやなものを大事にするようになっていくのである。なんだかもう結婚観に相通ずる心境だ。

前置きが長くなってしまったが、今回制作したMMアシュラ・テンプルはまさにそんな「ご縁」があって手元にきたキットなのである。

以前制作した白いMMアシュラ・テンプルの制作依頼を頂き、キットを眺めながら相棒である娘が「SAVアシュラも名品だったけど、MMはMMで良いカタチしてるね。MM好きとしてはこっちを手元に置いときたいからいずれ手に入れようね」と、話していた。

そうしたら、本当に馬鹿みたいにタイミングよく愛好家仲間の一人から「MM好きなんですか? アシュラ引き取ってもらえません?」との嬉しい打診が。

MMシリーズというのはトラウマを生んでしまいがちで、一度触れたらもう作りたくないという人は多い。まして、彼の場合はMMアシュラ購入後に生嶋氏原型の素晴らしいキットを手にしたようで、わざわざ苦労の多いMMアシュラを作る気になれなくなってしまったのは仕方のないこと。

とはいえ、愛着がまったく無くなったわけでもない。作ってくれる人に譲りたい、との想いをしっかりと受け止め、僕らが成仏させましょう、ちょうど欲しいと思ってたし。そんなことで今回制作に至った次第。

いつかは手にしたいキットを、執念で手に入れて全力で作る。そんなストロングスタイルもいいけれど、ご縁というあやふやなものを感じながらまったりと付き合いカタチにしていく。それもまたガレージキットとの関わり方なんじゃないかな、と思ってる。

前回作った白いアシュラ・テンプル同様にフル可動仕様。ほぼすべての関節をホビーベースの「関節技」シリーズに置き換えている。置き換えるだけでは保持力に不安がある箇所は適宜テンションが強めにかかるよう改修。この辺りの作業は感覚的で臨機応変に工作するしかない。

塗装の本体色は以前調色して作成したアパッチの本体色に注ぎ足しして作った色なので内容は不明。赤みが強いラップ塗装のような部分は、黒の上にパールのルビーレッド。その上にギルディングワックスシルバーをスタンピング。クリアーレッドでコートして深みをもたせている。関節色以外をONIウレタンクリアでトップコート。2022年8月完成。

商品名:MM アシュラ テンプル
スケール:1/100
マイスター:造形村プロジェクトチーム
フィニッシャー:May de Garage
サイズ:全高27cm
材質:レジンキャスト
パーツ数:139
メーカー:ボークス

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