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【プレミアリーグ第33節】ウォルバーハンプトン・ワンダラーズVSマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー

こんにちはMASAユナイテッドです。マッチレビュー2回目はウルブス戦です。まだまだ浅~い内容ですが、深く考察できるように頑張ります!前節のレビューはこちら

👿フォーメーション

ユナイテッドはマルシャル、マティッチはベンチスタート。エレーラも怪我で招集外。ルカク、フレッジ、マクトネイがスタメン。ウルブスはFAカップからベネット、ヴィナーグレが先発と2か所を変更してきた。

👿前半~ミラーゲームで撃破せよ~

FAカップでの敗戦のリベンジとなるユナイテッド。同じ轍は踏むわけにはいかないスールシャール監督は、システムを3-5-1-1にして試合に臨んだ。対するウルブスはFAカップの再現とばかりに、お馴染みの3-5-2のフォーメーション。スールシャール監督は、フォーメーションが噛み合うミラーゲームを仕掛けた形となった。(↓フォーメーションの噛み合い図)

キックオフと同時にリンガードが単独突破、シュートまで持っていく。意表を突くのと同時に、「絶対に今日は負けない!」という気持ちの表れだった。立ち上がりリンガード、マクトミネイ、フレッジ、ダロトが中盤から積極的にプレスを掛けボールを支配しようとした。

まず、失点しないことを目標に入ったウルブスは、WBを下げてリトリート。5-3-2のフォーメーションで守備に入った。ユナイテッドはその下がったWBに対して、ショー、ダロトの両WBが前へ前へと出て押し込んでいく。

スールシャール監督のの3-5-1-1の狙いは2つ。1つはミラーゲームにし、1対1の場面を作ることで、個人の質で上回る(だろう)ユナイテッドが押し込めると踏んだこと。FAカップでは、自分達の形にこだわり続けた結果、組織されたウルブスのディフェンスラインに対して数的有利を作れず、崩せなかった反省を踏まえてのチョイスだろう。

もう1つは3バックにし、SBの裏というカウンターの温床になる場所を消す事。3-5-2のチームは4バックのチームに対して、SBの上がった裏のスペースを①FWが流れる、②IHが流れるという2つの形で使いやすい。FAカップで何度もカウンターを食らったユナイテッドは、そこの対策として3バックを採用した。(↓カウンターの温床図)

開始からの10分間、ウルブスのWBが上がってこない時間帯は、ウルブスがサイドでボールを持つと、ユナイテッドは全体をボールサイドにスライドさせ、非常にコンパクトにして守っていた。これを見てもわかるように、SBの裏のスペース(実際はWBの裏)への警戒は相当していたと思う。

10分の間にもう一つ、ユナイテッドが用意していた戦術が見て取れた。ヤングから、ルカクへのロングボールだ。10分の間に3回行っているが、これはヤングが退場する57分まで何度も繰り返される。この意図は、単純にデュエルに強いルカクの落としを、リンガードやマクトミネイが拾い、バイタルで前を向く事を目指したのか、またはユナイテッドから見て右サイドの奥に起点を作ろうとしたかのどちらかだと思うが、ほとんど成功しなかったので真意はわからない。ウルブスのブロックが固く、またミラーゲームにしている為に、FAカップ同様に楔のパスが入れられない。ブロックの外を回し続けるなら、中盤をすっ飛ばして前線に放り込み、一気に進行する方が良いと判断したのかもしれない。(↓ヤングのロングボール図)

鋭い出足でボールを奪い、丁寧なパス回しでポゼッションしたユナイテッドは13分、マクトミネイのミドルでユナイテッドが先制!(ファーストチームでの初ゴール!!)フレッジが前へ出たことで、一瞬判断が遅れたボリーは、シュートブロックできなかった。積極的に前へ出ていたフレッジとマクトミネイの積極性が実った形となった。

FAカップの時とは違い、やや緩慢に試合に入った感のあるウルブスは先制されてから、一気に両WBを前に出してきた。ここから、はっきりとユナイテッドは守備時、5バックにしマンマークで対応。マイボールになると、WBを押し上げ、全体を横に広げながら繋ぐようにしていた。ウルブスのブロックを横に広げるために、サイドに特に気を使った進行の仕方だったが、20分までは、マイボールを大事にしたウルブスのポゼッションが上回った。

そして24分、デヘアからのビルドアップの繋ぎのパスをトラップミスしたフレッジが、モウチーニョに奪われ、デンドンケル→ヒメネスに繋がれ最後はダイアゴナルに走りこんだジョタに決められウルブスが同点に追いつく。この場面、フレッジのミスは間違いないのだが、デヘアの判断に少し疑問が残る。ゴールキックの場面だが、フレッジの周りには、ヒメネス、ジョタ、デンドンゲル、モウチーニョの4人がいる。少し距離はあったとはいえ、ある意味囲まれている状況だった。マンマークで付いているので、確かにフリーな選手がいなかった可能性が高いが、もう少しタイミングをずらせて、デンドンケルが下がるのを待った方が良かったと思う。(↓フレッジのミスシーン図)

ここで少しだけ、ユナイテッドのビルドアップの話をしたい。4バックの時のユナイテッドはSBをビルドアップの起点にする事が多い。今回3バックにした為に、高い位置を取るショーは使えないので、3CBの1枚であるヤングを右に張り出し起点にしていた。しかしもちろん、ヤング1枚では厳しいので、アンカーのフレッジを使うケースも想定していたはずだ。コンディションが上がらないマティッチでも、マクトミネイでもなく、フレッジをアンカー起用したのは、球出しの能力があると判断したのだろう。しかし、失点シーンはそこが裏目に出た形になった。マンマーク気味になる事で、ビルドアップしにくくなるというミラーゲームのデメリットを露呈したと言える。ちなみに、このビルドアップの起点を消す為に、ジョタはヤングを狙っていたが、これがヤング退場の布石となる。

リンガードと、ルカクのヘッド。2回あった決定機を決められなかったユナイテッド。同点で前半を折り返す。

【前半スタッツ 左ウルブス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)


👿後半~岩のように動じないウルブス~

可変を想定した3バックだったユナイテッドは後半開始から4-3-3にシステムを変更。ウルブスボールの時は前半同様のマッチアップでマンマーク気味に付きディフェンス。(ダロトとヴィナーグレのポルトガルU-21代表同士のマッチアップは熱かった!)(↓後半フォーメーション図)

通常のシステムに戻したユナイテッドはピッチを広く使いながらボールをまわし、ポゼッションで圧倒。しかし、ウルブスは全く慌てず、逆にユナイテッドにボールを持たせて、虎視眈々とカウンターを狙う展開。

そして57分マクトミネイからヤングへのパスがズレた所をジョタに狙われ、足を出したヤングがジョタを倒して2枚目のイエロー。退場となる。今日の戦術のキーマンだったヤングを失う事になる。

1人少なくなったユナイテッドは、65分、フレッジを下げてジョーンズを入れ、3バックに戻した。(3-4-1-1)70分台に入り、ウルブスはカバレイロジョニーを投入。何としても勝ち点3が欲しいユナイテッドは、個人で打開できるマルシャルを入れ得点を狙う。ジョニー、カバレイロの投入で左サイドを活性化させたウルブスは77分、モウチーニョのクロスの混戦からスモーリングがクリア出来ずオウンゴールを与えてしまう。(なんてこったマイク!)(↓退場後のシステム図)

負けられないユナイテッドだったが、ウルブスのブロックの中にボールを入れられず、ダロトのクロスやポグバのスルーパス、ショー、マクトミネイのボックスの外からのシュートでこじ開けようとするが、上手く行かない。ウルブスボールになると、1人少ないユナイテッドはプレッシャーを交わされボールを回された。

83分、ダロトに変えてぺレイラを入れ4-3-2に変更したが、ウルブスも、サイスを入れて中央のディフェンスを固めに入った。ぺレイラは期待された効果を発揮できず、逆にウルブスのカウンターであわやの3失点目のシーンも。そのまま試合終了。2対1でウルブスがユナイテッドにシーズンダブルを喰らわす勝利を物にした。(↓最終フォーメーション図)

【後半スタッツ 左ウルブス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)


👿総括~コインの裏表~

CL出場権に黄色信号を通り越して、オレンジ信号が灯ってしまう痛恨の敗戦となってしまった。FAカップのリベンジの為にスールシャール監督は様々な対策をして試合に臨んだが、結果的にどれも功を奏さなかった。上手くいかなかった理由は様々あるが、ここでは2点に言及したい。1つはワトフォード戦から中2日という時間は、今までにやってない戦術をチームに理解、浸透させるには少な過ぎたのではないかという事。もう1つは、選手のコンディションの問題。ここ1カ月程、怪我人続出で、怪我明けの選手も多く、フィジカルコンディションが悪い事。しかもここに来て、メンタルコンディションも疑わしい選手もいる。もし、コンディション万全で、今日の戦術で戦えてれば結果は違ったものになっていたかもしれない。

個人的にはスールシャール監督のミラーゲーム戦術は悪くないと思う。メンバー選考も、試合中の修正も、むしろ優秀なやり方だったと思う。シーズンダブルを喰らい、負けてはいけない試合で負けたので風当たりは強くなるのは間違いないが、これから戦術家として名を馳せる可能性があると思うのは贔屓目だろうか?

違うやり方を準備したスールシャール監督。一方、いつもと同じやり方を準備したヌーノ・サント監督。試合中何度も修正を加えたスールシャール監督。一方、決して動じなかったヌーノ・サント監督。コインの裏表のようにどちらが出るかわからない戦いは、ヌーノ・サント監督に軍配が上がった。

【トータルスタッツ】(プレミア公式参考)


👿プレーヤー評価

ユナイテッドのMOMはマクトミネイ。正直モウリーニョ時代は何が良いのかわからなかったが、今日の試合で、彼自身が優れたBOX TO BOXプレーヤーである事を証明した。攻守に渡ってチームに活力を与え、積極的にミドルを何本も放つその姿はジェラードを彷彿とさせた。今後出番が増えるのではないだろうか。スモーリングリンデロフの2人も安定感があった。オウンゴールを与えてしまったスモーリングは何かとネタ化されるキャラだが、カバーリングの上達ぶりは目を見張るものがある。足元の技術は確かにアレだが・・・。ショーダロトの両WBも良くタスクをこなした。特にダロトは、「ヴィナーグレに絶対やらせない!」という強い闘志が漲っていた。ただ力み過ぎたのかクロスの精度を欠いたのは残念だった。リンガードも本調子には見えなかったが、動き回り局面を打開しようと奮闘した。しかし、彼の作ったスペースに誰も入ってこないのは相変わらずだった。すぐに修正すべきポイントだ。

逆にチームを助ける事がほとんど出来なかったのはポグバ。去就問題が影響しているのか、単純にコンディション不良なのかは分からないが、明らかにプレーに気持ちが入っていなかった。ミラーゲームという、1対1の局面が重要な戦いで、マークすべきデンドンケルを離し、ファイナルサードへの侵入を何度か許した。それを受けて、スールシャール監督は33分からマクトミネイとポジションを入れ換えた。まだモウチーニョとマッチアップさせた方がフィジカルで勝てる公算が大きく、攻撃時に優位に立てるという判断もあったのではないだろうか。スールシャールはポグバに信頼を置いているのか、この出来でもスタメンで90分プレーさせた。やはり点を取るには彼の力が必要だと考えていると思う。ポグバ自身がもう少し責任感を持つべきだ。

ユナイテッドはリーグ6位に転落。次節のハマーズ戦は必ず、必ず勝たねばならない。

次は4月11日(木)4:00キックオフ(日本時間)CLバルサ戦。仕事だ!ライブで見れない!!チクショー!!!!!!選手は気持を切り替えて臨んでほしいし、スールシャール監督がどういう戦術で来るのか楽しみな一戦だ。










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