見出し画像

スールシャール解任論を考える

こんにちはMasaユナイテッドです。今回は開幕ダッシュに成功したとはお世辞にも言えないスールシャール監督の解任論について考えてみたいと思います。低迷した成績を受けて、一部サポーターの間で解任論や、「クリスマスまで持たないだろう」という声も出始めています。解任するべきなのか、また解任の可能性はどれぐらいあるのか、筆者なりに考えてみました。ではいってみましょう!

👿崩壊のモウリーニョ政権とレジェンドの就任

17ー18シーズン2年目のモウリーニョ政権で、プレミアリーグ シティに次ぐ2位になったユナイテッド。シティから19ポイントも離されての2位だが、一応結果は残した形。そして迎えた3年目のモウリーニョ政権。内容よりも結果のスタイルを指向するも、開幕からスタートに失敗し結果もついて来ず。敗戦の責任をチームに押し付け、思うような補強をしてくれないフロントを批判し、パフォーマンスの悪い選手を公の場で批判した。

画像2

アンフィールドでのリバプール戦に成す術なく敗れた直後の12月18日、モウリーニョは解任された。そしてやってきたのはクラブのレジェンドであるスールシャールだ。正直、監督としての実績は乏しく、不安がなかったわけではないが、とにかくサポーターはモウリーニョに嫌気がさしており、これ以上悪くははならないだろうという気持ちもあった。ユナイテッドのアタッキングマインドを取り戻すと公言した通り就任から11戦無敗を記録する。バックラインは高くなり、前線からのプレスも機能し、両SBを高い位置に上げゴールを目指すなど戦術的にも変化。また会見などでも、選手をほめ、ポジティブな発言が多く、フレンドリーな態度で明瞭な話し方をし、でまるでモウリーニョとは正反対だった。そんなスールシャールをサポーターも暖かく迎えた。

👿スールシャールの成績

スールシャールの監督としてのキャリアは08-09シーズンにユナイテッドU-23で始まる。その後古巣であるノルウェー・モルデFKの監督に就任。初年度の2011年にリーグ初優勝に導き、翌シーズンも連覇を果たす。2013年にはノルウェーカップも制した。2014年1月には当時プレミアリーグのカーディフ・シティ監督に就任。だがクラブは低迷し2部へ降格してしまう。14-15シーズンも引き続き指揮を執ったが17位と結果を残すことはできず、9月18日に解任された。2015年10月21日、モルデFKの監督に復帰。2017年、2018年シーズンにて2位の成績を残す。

スールシャールはユナイテッドの監督就任と同時に、ファギーの戦友マイク・フェランを帰還させ、マイケル・キャリックとノルウェー、モルデの戦友マーク・デンプシーをアシスタント・コーチに就任させる。さらにユースコーチ出身のケーラン・マッケナとGKコーチのエミリオ・アルバレスと共に戦うことを決めた。そして11戦無敗の好調により、リーグでも4位まで順位を上げ、さらに奇跡のCLパリ戦の大逆転劇により、正式監督への就任を推す声が高まり、3月28日スールシャールはユナイテッドと3年のフルタイム契約を結ぶこととなる。しかし時を同じくしてチームのパフォーマンスが低下。11戦無敗の後、5勝4分け9敗でリーグ6位という結果に。そして迎えた19-20シーズンも開幕から4戦で1勝2分1敗と思うような成績とは言えない。(9月13日現在)

画像3

スールシャールの成績
暫定監督期→合計19試合14勝2分3敗(36得点17失点)勝率73.6%
正式監督期→合計14試合3勝4分7敗(14得点20失点)勝率21.4%

この成績を受けて、一部サポーターの間では解任すべきだという声も出てきている。正式監督就任からの成績を見れば、確かにいつ解任されてもおかしくはない。さらに、試合中の戦術修正のアイデア不足や、選手交代の遅さなどに監督としての技量の低さが垣間見れる点。また、ユース出身選手を優遇するあまり、ラッシュフォードやポグバなどが聖域化してしまっており、純粋なポジション争いが成立せず、また彼らのパフォーマンスがモロに結果に結びついてしまう事などが解任の理由に上がっている。要するに監督としての能力がないと判断し、今後も改善が望めないと考えているサポーターは解任を推している状況だ。

👿スールシャールを解任するべきか?

ここからは個人的な意見になるが、私は現在はまだ解任するべきではないと思っている。まず前提として、私は昨シーズンと今シーズンを分けて考えるべきだと思っている。昨シーズンはモウリーニョのチームをシーズン途中で引継ぎ、無敗の間はいわゆる「解任ブースト」が働いたと考えられる。そしてその後の不調の期間はフィジカル・コンディションの低下に起因するところが大きい。このような理由から、純粋な評価をスールシャールに対して行うことができないでいる。今シーズンは、シーズンインからスールシャールが全てを管理し、スカッドの改革も行い、チームスタイルの構築も行っている。本当の意味での評価は今シーズンを見て判断するほうが良いのではないだろうか?

解任するべきではない理由は、①プレースタイルを構築しようとしている点。今シーズンは、前線からプレスを仕掛け、奪ってからの素早い攻撃をプレースタイルとしている。これは現有のユナイテッドメンバーに、一番適したプレースタイルでもあり、またスールシャールもそれに合った選手を補強しようとしている。確かに成績だけ見ればまだまだそのプレースタイルに磨きをかける必要はあるが、ブレないスタイルを追求するのは監督として最も大事な要素の一つだと思う。

②得失点期待値「xPTS」が高い点。サッカーの評価指標の一つとしてゴール期待値「xG」があるが、これに被ゴール期待値「xGA」を合わせて算出したものが得失点期待値である。「そのチームにどれだけの得点/失点が期待できるか」という数値で、結果ではなくどれだけ勝つ可能性のある内容だったかが見えてくる指標だ。モウリーニョの18-19シーズンの「xPTS」は23.92でリーグ9位のポイント数。対して18-19シーズンのスールシャールは37.94で3位の成績だ。そして19-20シーズンはまだ4試合だけだが9.32でなんとシティに次ぐ2位なのである。もちろんデータはただの数値であって、それだけで判断するのは危険が伴うが、いかにスールシャール・ユナイテッドが決めるべきゴールを決められず低迷しているのかが分かる一方で、内容的には一定の評価ができると言っても良いのではないだろうか?

画像1

③スカッド改革の途中である点。先日スールシャールは今夏にさらに4名の選手の獲得を要望(ロングスタッフ、サンチョ、エリクセン、ディバラと報道)していたという記事が出たが、エレーラやルカク、サンチェスなどを放出した一方で、代役となる選手の獲得には至らなかった。中盤から前線にかけてはスカッドに厚みがなく心もとないのは確かだが、スールシャールもこれには満足しておらず、冬の移籍市場や来夏に掛けて獲得を目指しており、その認識している補強ポイントも正しい。例えばリバプールも、クロップ監督になった15-16シーズンのスカッドで今もチームに残っているのは主力選手で7名ほどしかいない。ユナイテッドも徐々にスカッドをスールシャールの色に染めていこうとしている道半ばなのである。

👿今シーズンの目標と解任の可能性

以上の3点から、もう少し長い目で見て、今は解任するべきではないと考えている。ファギー退任以降の6シーズンで3人の監督の首を切り、スールシャールで4人目にするのか?一部のユナイテッドサポーターは忍耐を失ってしまったように感じる。モイーズはともかく、ファン・ハールモウリーニョなどは間違いなくトップクラスの監督だったであろう。しかし、ユナイテッドサポーターは満足できなかった。一体誰が来れば満足するのか?アッレグリ?ポチェッティーノ?恐らくクロップかペップでも来ない限り誰が来ても不満が出るだろう。それもまたサッカーの一部であり、成績が悪い事に声を上げるのはサポーターの役目でもあるが、そういう時こそチームを支えるのもサポーターの役目だと思う。

強いユナイテッドが好きで、ユナイテッドを応援し始めた人が多いので、現状のようなユナイテッドを受け入れられないというのも、即解任という声が出る要因だろう。しかし、近年のユナイテッドを見れば、金はあってももはやビッグクラブではないと感じている。戦力的には6位ぐらいが妥当な印象だ。サッカーを知らないグレイザー・ファミリーとウッドワードなどのフロント陣がどこまで熟考して決断したかはわからないが、スールシャールを監督にしたということは、一からチームを立て直すためではないだろうか?(あるいはノリで監督にした可能性も否定できないが…)だとしたら、今シーズンの目標はどこだろう?CL出場権だろうか?スールシャールに与えられているノルマはどこなのだろうか?フロントが首を切るにはノルマが重要な要素になるだろう。個人的には4位以内という目標はないような気がしている。今シーズンは基礎を固め、来シーズンにトップ4入り、再来シーズンにリーグ優勝争いという感じではないだろうか?(これでも結構ハード…)

解任が起こるとしたら、①降格圏まで落ちた場合②目標がトップ4で絶望的になった場合③サポーターの声にフロントが押された場合④選手がスールシャールに付いてこなくなった場合の4つだろう。一番最悪なのは③だ。スールシャールを監督にした事の筋が通らなくなり、フロントも無能ぶりを絶賛公開することになる。こうなったら本格的に誰も監督になりたがらないだろうし、選手も来なくなりユナイテッドは崩壊するだろう。

そうは言っても世界規模でファンを持つクラブであるのは間違いない。次節のレスター戦に負ければさらに風当りは強くなり、あっさり解任の可能性もなくはない。スールシャールは楽天家なようだが、どこまで耐えられるか。もはや現代においては、ファギーやベンゲルのような長期政権は望むべくもなく、そういった意味では長期プランでチームを作り直すというのは現実的ではないのかもしれない。しかし、クラブのレジェンドが監督になって帰還し、再びチームを常勝軍団にするというストーリーにロマンを感じるのは、夢を見すぎなのだろうか?私はまだスールシャールに希望の光を見ている。その光が見えている間はスールシャール・ユナイテッドを全力で応援する!

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

気に入っていただければサポートお願いします!頂いたお金は記事向上のために使わせていただきます。