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ツール・ド・おきなわ140km (2018/11/11)

僕の所属するRoppongi Expressは、210kmで5回勝っている高岡を中心としたチームということもあり、みんなツール・ド・おきなわに対するモチベーションが高い。
140kmに挑戦するメンバーは、高岡ほどの総合力は無いものの6人いるので力を合わせていけば十分に優勝も狙えるし、できれば210kmとのダブル優勝と考えて練習をしてきた。
僕自身も、今年は10月だけで2180kmの練習をこなすことができ、5分や10分などのパワーも更新して過去最高のパフォーマンスに達していた。2週間前の全日本マスターズTTでも3位に入ることができ、僕が逃げて独走に持ち込むことができれば、僕自身も優勝を狙えるし、捕まったとしてもチーム一のスプリンターであるキクでの優勝も狙える。そんな形でレースを展開しようと考えていました。

■レース前

チャリダーから、筧五郎選手を中心とするロードレース男子部が挑戦している。五郎さん自身は昨年の210kmで長時間に渡って逃げていたし、チーム員の佐藤さんは2016年に210kmに入っている実力者でもある、要マークのチームだ。そんなチャリダーから、僕らも優勝候補のチームとして取材を受ける。光栄です。


しかし実際には、全日本マスターズTTで優勝しているサイクルフリーダムの佐藤選手や、最近の様子は分からないけど210kmで上位完走したこともある、やはりサイクルフリーダムの風間選手、登りに強いWappaの鈴木選手、昨年は100kmで優勝している若い藤田選手、JAPAN CUP本戦で優勝もしている元シマノというか元マペイ?の阿部選手はもはやレジェンド、そして元プロ選手で全日本選手権で2位にもなっている井上和郎選手は優勝を狙って仕上げてきている、噂にしか聞いたことはないけど津末の岩切選手も強いらしい。この中の誰が勝っても不思議ではない。気がつけば140kmも210kmから流れてきた選手や元プロが参加するカテゴリへと進化し、今までとは違うレース展開になることは必死と思えた。

■ レース

昨年の成績を元に割り当てられるゼッケン、今年はRoppongi Expressで1,2番。遠慮なくチームで最前列に並ばせてもらう。かわりにコントロールもしますからね。

撮影:宮本さん

登り口までは先頭付近をキープ。でも先頭を引くわけでもなく。まだレースははじまってないですからね。しかし登り入口手前のトンネルで阿部さんが飛び出す。9割方、早めに登りへ入ろうとしているだけじゃないかと思ったけど、一応チェックに入る。RXとしてはアタックがあればとりあえず交代でチェックする予定でした。予定ではね… しかし誰も阿部さんにチェックしにいかないとか、みんな誰か分かってるのかな?w
登りに入ってペースを落としたので確認すると、やはり早めに登りに入りたかったからと。過去、飯嶋さんとかもそうだけど、元プロ選手は動くべきところで動いて自分の居場所つくります。コレはプロと素人の大きな差じゃないかな?

KOMへの登り。ここはツール・ド・おきなわの中で最長の登りであるけど、最近の140kmでは、みんな周りに合わせるようになってきました。学習してますね。
そんな中、VC福岡の選手が出ていくのが見えたような見えなかったような…
僕は登りが得意な選手ではないので、ここはチームメイトに任せて下がって…と思ってたけど、前にだれもいなかった。まあでも捕まるのかな?

KOMを過ぎて下りに入り、井上和郎選手が抜け出していく、藤田選手もピタリと着いていく。まだ脚を使いたくなかったので、ペダルは止めたままで追いつき、先頭で余裕をもって補給所を通過。

左に曲がって奥へと向かっていく。
一人二人と飛び出すが、すぐに下りで追いついてしまう。今年使っているVengeは本当に下りが速い。
井上選手はホビーレースの経験が少ないのだろう。力でねじ伏せようと動いている。しめしめと思っていたら五郎さんが「ホビーレーサーなめたらやられるぞ」とアドバイスしてしまった。そこから井上選手も大人しくなる。

それにしてもなんとなく違和感が… 前にいる車COM2じゃなくてCOM1だよな。ってことは誰か逃げてるんだろうか?
それでも念の為ということはあるので下りで抜け出して、脚使わないで奥のスプリントポイントを先頭で通過。
奥を登りながら五郎さんと話すと、VC福岡が逃げているんじゃないか?と。
今年は、VC福岡に有力な選手いたかなあ…なんて思いつつも、140kmの場合は集団がまったりとしやすいので、脚がある選手なら逃げ切られてしまう可能性が高い。過去には井上亮選手が大逃げで優勝している。

もう少しで頂上というところでクニが上がってきてくれた。一人逃げていること、そして自分はアシストに徹してそれを追うと決めたことを話し、頂上を過ぎた時点から追走を開始することにした。藤田選手も「ローテには入るけど踏みません」と言ってくれている。流石に色々なレースに出て結果を残しているだけのことはあり、分かっているなあと感じた。

下ってすぐに、ちょっと逃げていた選手を吸収。やはり車はCOM1っぽい。
捕まえると決めた以上、下りでも脚は止めない。他の選手を当てにしても速度が落ちてしまうので、一人で捕まえるぐらいのつもりで長く踏んで少しだけ休ませてもらう。
途中で様子が分かってない選手が、上ハンもったままローテに入ってくるが、そのたびに速度が落ちるので、ついイラっとして「ローテ入るな」と言ってしまった。ちょっと反省しています。

長い海岸線沿いでも前が見えない。ということは2分以上は差がついているのか。相当な実力者だなあ。誰なんだろう…

先頭に出るとL5、下がってもL4という感じなので、心拍数が150台より下がらない。流石にこのままKOMへの登りに入ればオールアウトして千切れてしまう。少しだけ休ませてもらって、130台まげ下げたところで2回目の登りへ。クニがいてくれて助かった。

ここでペースを上げられると、自分が真っ先に切れてしまうので先頭に出てペースを作ってしまう。このあたりまでに津末の岩切選手とWappaの鈴木選手を見かけることが多かった。彼らは最後まで残りそうな気がした。
そんな時にフリーダムの選手が飛び出していった。佐藤選手?にしては小柄かな?風間選手か…ここまでしっかり脚をためていて流石。
でも、その前には一人逃げているし、まだ1分差以内なら許容できるので見送り。頂上でのタイム差が1分ということで想定の範囲内に収まった。

登って下って補給所を過ぎ学校の坂へと下っていく。やはりVengeは下りが速い。去年は必至で回さないと出せなかった速度域に脚をとめていても達してしまう。が、井上選手がもっと速い。
学校の坂は上げていく人がいるので何とか合わせる。ここは入口で上げる人がいるほど後半落ちるので、先頭付近で入っていれば何とかなる。今年もそのパターンだったので助かった。

そこから五郎さんがアタックをかけはじめる。まだ二人逃げてるのになあ…と思ったけど、飛び出した後の速度が遅いので下りでフワっと踏めば追いつけるから無理せずに諦めるのを待つ。やはり数回で終わった。

そこからまた前に出て追走を開始する。途中でタイム差を聞くことができた。41秒。
60人近い集団だけど、真面目に前を追ってゲームをふりだしに戻そうとしているのは自分しかいないんじゃないかって感じた。それでもチームメイト5人が残ってくれたらRX的には有利なので、自分が使い果たしても追いついてしまおうと下りでも懸命に踏んでいくとヤマケンが止まっていた…メカトラでレースをやめたらしい。残り4人か…

そして、ついに1時間以上をかけて宮城関門の手前で逃げの二人を捕まえた!
1回目の普久川ダムから逃げていたのはフリーダムの佐藤選手、ジャージがVC福岡だった。2回目の普久川ダムから逃げていたのはフリーダムの風間選手。ともに実力者で同チーム。絶対に逃がしてはいけない二人だった。今から考えると、よくこの二人を捕まえられたなって思う。

しかし、流石にここまでで、だいぶ脚を使ってしまった。本当は羽地を越えて、そのまま逃げ切りを出来るための脚だったけど今日は仕方がない。
とはいえ、このまま終わるのもシャクなので最後に下りで抜け出して宮城関門のスプリント賞はゲット。


あとはチームメイトに託すしかない。

東の海岸線沿いに出る。自分が引くのをやめたら誰も引かなくなり完全なサイクリングペースとなる。The ホビーレース。
しかし、こんな時があぶない。タカミーに、これからの時間は全員10番以内をキープしろと伝える。キクとかっちゃんが中々上がってこないから迎えに下がっていったら二人とも上がっていったので分かっているようだ。

そんな時に津末の岩切選手と、Wappaの鈴木選手が別々にスルスルと抜け出していくのが見えた。特別に速いわけじゃないけど集団が遅いから差がついていく。まさに警戒していたやつ。
RXとしては、こういうときは一人づつアタックしてチェックに入る方針だった。しかし誰も動かない… でも僕にももう脚は残っていなかった…

慶佐次の補給所は何とかクリア。しかしその後の有銘の登りが例年より少しだけ速かった。ここで集団からドロップした。残りは30km。

そこから羽地の登り口まで15kmほど。先頭を逃げていた2名と追走集団のタイム差は2分にまで開いたらしい。でも当たり前だと思う。
集団はレースをしている人が少なかった。ほぼ全員がフォロワーになってしまい、動きは常に人頼み。逃げていった二人は立派。

さて僕は… こぼれた組からも登りで千切れたが、下りで踏んだら追いついた。疲労したなりに踏めたので、道中で落ちてきた140kmの選手や100kmの選手を吸収しながらグルペットを作っていった。

中には、自分がローテで降りていくと、しれっと一車身あけて自分を入れようとしている選手も。
全員、脚が無いからココにいるのに何考えてるんだろう?
「ローテする気がないなら、今すぐ千切れろ」と言ってしまった。慌てて詰めてたから自分でローテに加わってない認識はあったんでしょうね。

そして羽地を何とか越えて、最後の58号線へ。VC福岡?の佐藤さんが「サイクリングでいきましょうよ〜」とか言ってるけど、絶対にそんなことがあるわけない笑

写真:高杉さん

千切れたときの人数から考えて、ちょうど50位前後のはず。来年のシード問題もあるから、一応、集団の頭はとっておきたい。
ゴール前早駆けしたが、あと50m届かず佐藤選手に刺された。

レースの方は、RXからはキクとかっちゃんが羽地をこえて10人程度の小集団に。他に二人を送り込んでいるのはロードレース男子部。
おそらく二人の逃げを捕まえるか、集団の頭を取るかで戦略に大きな違いがあったんだと思う。
RXは追走を選び、最後は15秒差まで詰めた。ロードレース男子部は集団の頭を取るために動いたようだ。結果としてロードレース男子部が3位、RXが4位となった。逃げ切ったお二人も序盤からちゃんと動いていての結果なので立派だと思う。また5位ではあるけど、しっかりと結果を残してきた井上和郎選手も流石。来年の優勝を目指すそうだけど、バルバは手強いライバルになりそうだ。

210kmカテゴリーばかり注目されてきたツール・ド・おきなわだけど、140kmもレベルが上がって、ロードレースとしても面白くなってきた。リザルトを見て驚いたけど、自分で先頭から5分差ほど。2014年に8位になったときも先頭から5分遅れぐらい。やはりレースが変わってきている。

Cyclowiredの記事にホビーレーサーに引退は無いから世代交代は無いと書いてあった。自ら走り続ける限りレースは続く。

自分自身、45歳になったけど、体感的にも数値的にも、過去最高のパフォーマンスでした。


今年は上手くいなかったけど、来年こそはチームから優勝者を出したい。

■結果
41位(387人出走243人完走)
http://www.tour-de-okinawa.jp/PDF/2018/05_result.pdf
https://www.strava.com/activities/1957792223

■機材
自転車:VENGE PRO DISC UDI2
※完成車からの変更点
- フロントローター140mm
- チェーン molten speed wax
- クランク シマノFC-R9100

パワーメーター:パイオニア SGY-PM910Z
サイクルコンピューター:パイオニア CGX-CA600(未発売)
ジャージ:サンボルト オーダーサイクルジャージ

タイヤは完成車にもついているTurbo、空気圧の調整が微妙で6.6気圧より下げると転がらない感じがあるが、それ以上あげると下りで跳ねる感じだった。チューブはビットリアのラテックスチューブにしたが、1時間で0.08気圧下がることを確認して、羽地の下りで6.6気圧になるように空気をいれてスタートした。

■おまけ

翌日に参加したスペシャライズド主催、Shido中尾氏のグルメライドが最高でした。来年も開催予定だそうで、気になる方は月曜の予定に余裕をもたせておきましょう!


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