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『葬送のフリーレン』名言集 2話

『葬送のフリーレン』を改めて見返しています。
これで何周目だろうか。
何度も見たくなるのは名作の証拠。

さて。
以前投稿した「『葬送のフリーレン』名言集 1話」にたくさんの「スキ」をいただきましたので、2話も作ってみました。

よろしければ、最後までお読みください。

それは一朝一夕でどうにかなることじゃない。
才能に関わらず、何年もかけていかなければいけないよ。

フリーレン

どんなことにおいても、習得するまでにはそれなりの努力を長期間積むことが必要です。どこか焦りを見せるフェルンに対して、フリーレンは諭すように話します。そして、それは才能の有無に関係ないことだとも。

勉学や仕事についても同じようなことが言えると思います。
若い頃は自分を過信していたり、成長できないジレンマに焦ったりしがちです。そんな時にフリーレンのような先達が声をかけてくれるとしたら、きっとこんな風に言ってくれるのがいいのでしょうね。

いずれではだめなのです。
いずれでは……ハイター様が死んでしまう。

フェルン

フェルンのこの言葉を聞いた直後、フリーレンのハッとした表情が一瞬だけ描かれます。わずか1秒ほど。
ハイターの余命はそう長くはない。フェルンは幼いながらも、それを感じ取っています。残された時間がどれぐらいかはわからない。今は自分ができることを毎日精一杯やるしかない。
そう思って日々修行に打ち込んできた。でも一番岩を打ち抜けない。不安や焦燥のすべてを行動に変えて、自分の全部を投入しても届かない。

こういったフェルンの思いの強さと焦りを強い言葉で告げられ、フリーレンが一瞬息をのむ。
フェルンが初めて本音を言って、フリーレンがそれを受け止めたシーンです。

フェルンの芯の強さ、ハイターに対する愛情、恩返ししたい気持ち、それらを全部受け止めた上で、どうすればいいのか。フリーレンは決断を迫られるのです。その答えはアニメでご覧ください。

あなたの中にも大切な思い出があるとすれば、死ぬのはもったいないと思います。

ハイター

死ぬのはもったいない。
こんな言葉で自死直前の人を止めるなんて聞いたことがありません。
この世に生を受け、愛情を目いっぱいに注がれて成長した。
家族や友人とのたくさんの思い出は、すべて自分の中に残っている。
それは愛情の結果生まれた記憶や思い出であり、ハイターは間接的にそれらの愛情をすべて無に帰するのはもったいないと言っているのではないかと思いました。

解釈はいろいろとあると思います。とても深いです。

ハイター様はずっと、私を置いて死ぬことを危惧しておりました。
あの方は正しいことをしたのです。
救ったことを後悔してほしくない……
魔法使いでも何でもいい。
一人で生きていく術を身に付けることが私の恩返しなのです。
救って良かったと、もう大丈夫だと、そう思ってほしいのです。

フェルン

私は誰かに命を救ってもらった経験はありません。
だからフェルンの気持ちが全部わかるかといえばいささか疑問。

しかし、恩人ならたくさんいます。
人生の岐路に立った時に、適切な助言をくれた人。
本当に困っている時に、助け舟を出してくれた人。
どうしようもない悩みを聞いてくれた人。

そういった人たちへの恩返しの形はそれぞれです。

フェルンが選んだのは、一人で生きていく術を身に付けること。
それが魔法使いでも何でもいいのだと言い放っています。
この時点ではフェルン自身は、なぜ魔法使いなのかについては深く考えていないのかもしれません。

見てのとおり私はもう長くありません。
私はこれ以上あの子に誰かを失うような経験をさせたくないのです。
フリーレン、フェルンを頼みましたよ。

ハイター

ハイターの優しさでしょうね。
幼い頃に両親を亡くし、自殺まで考えるほどだったフェルン。
育ての親ともいえるハイターまで失う辛さを経験させたくない。
愛情が深い故の親心と言えます。

それに対してフリーレンは次のように言います。

また格好をつけるのか、ハイター。
フェルンはとっくに別れの準備はできている。
おまえが死ぬまでにやるべきことは、あの子にしっかりと別れを告げて、なるべくたくさんの思い出を作ってやることだ。

フリーレン

心にずしーんときた言葉です。
私の父はガンによる長い闘病生活の末、その生涯を閉じました。
初期の発見が遅れたため、手術後に転移が見つかり、毎日少しずつ悪くなっていっているのが傍から見ていてもわかりました。
そうしているうちに、別れの準備はできていったと言えます。

その父を見て、自分もできれば別れを告げる時間を持った死に方をしたいと思うようになりました。突然いなくなってしまうのではなく、自分は徐々に悪くなっていったとしても、家族や周囲の人たちに何かを伝えたいのです。

確かに日々病状が悪化していく人を見守るのは精神的にはとてもつらいです。今でもつらい記憶が蘇ってくることがありますが、その時間や思い出は自分の財産だとも思っています。

勇者ヒンメルならそうしました。

ハイター

ハイターがヒンメルに対して抱いていた尊敬の念。それが真っすぐに現れた一言ですね。ヒンメルは自分が勇者だからそうしているのではなく、彼自身が思うままに行動していた。それが世のため、人のためになっていただけ。

ヒンメルがなくなってから20年以上。ハイターは日々「ヒンメルならきっと…」と考えて行動していたのでしょう。それを自分の思考や行動に反映させて生きてきた。

そして自分の人生の最後に、フェルンを救い、一人前になる手はずを整え、信頼する人物であるフリーレンに託すことを決意し、実行した。そこまでを含めて「勇者ヒンメルならそうしました」と語ったのだと思います。

フェルン:フリーレン様は本当に魔法がお好きなのですね。
フリーレン:ほどほどだよ、フェルンと同じで。
フェルン:少し違うような気がします。
フリーレン:同じだよ。

フェルン、フリーレン

この二人のやり取りを聞いて、自分が若輩の頃を思い出しました。

社会人になった直後のことです。
先輩たちがなぜそこまで仕事に打ち込むのか理解できませんでした。
いろいろと不平不満をもらしつつも、仕事は精一杯やる。
そんな先輩方がほとんどだったのです。

私の目には「先輩たちはよほど仕事が好きなんだな」と映っていました。

しかし実際は違ったのだろうなと思います。

ほどほどに好きだったんだと。

そして、そんな先輩から見て、私も仕事がほとほどに好きだと映っていたのだと。
なんか不思議な記憶が蘇ってきた会話でした。

分かったよフェルン。心配させてしまったね。
私一人の時間ってわけでもない。
潮時だ。もう少し探したら切り上げるよ。

フリーレン

これも若い頃のことを思い出しました。
残業して、へとへとになって、それでもあきらめないでゴールを目指す先輩たち。どうしてそこまで一生懸命に取り組めるのだろうと思った時期がありました。

そう。諦めが悪いのです。
もう少し頑張る。あとちょっとだけやってみる。
そうして成功したことが何度もあったのでしょう。

それは経験してみないとわからないこと。
フリーレンも、きっとそうした成功体験がたくさんあるのでしょうね。

フェルン:なんでそんなに魔法に一生懸命に……理解できません。
フリーレン:わかるはずだよ。フェルンだって魔法使いになることを諦めなかった。
フェルン:それは違います。私は一人で生きていける力さえ手に入れば、なんでもよかったのです。別に魔法じゃなくたって。
フリーレン:でも、魔法を選んだ。
フェルン:あ……そうですね。

フェルン、フリーレン

最後の「あ……そうですね」の前に挿入された、フェルンとハイターのシーン。二人の表情を見ただけで、すべてが納得できてしまいます。このアニメは、こういった一瞬のコマが秀逸。

© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

また、フリーレンの「でも、魔法を選んだ」という言葉がとても深いです。

私たちは生きていくために何らかの仕事をしています。
時には不満や不安がでてきたりしますが、全部自分が選んだ道なのです。
決して周りの人が決めたのではないのです。

そこには何らかの契機があり、その道を自ら選択して今ここにいます。

それを思い出せれば、今の仕事ももっと楽しくなると思いますよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

できれば、3話以降も書いていこうと思います。

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