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『葬送のフリーレン』名言集 4話

さて、ようやく4話に到達しました。

1話~3話もお読みいただけると幸いです。

さて、4話も名言がたくさんありました。いってみましょう!

言われたとおり勉強しているね。偉いよフェルン。

フリーレン

山本五十六の言葉を思い出しました。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず。
やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」

若手の育成などでよく使われる言葉ですね。『葬送のフリーレン』の物語をきちんと見ていくと、フリーレンの行動はこの言葉に沿うところがたくさんあるということに気づきます。

「偉いよ」は承認ですね。
他も見てみましょう。
例えば、蒼月草探索中に「話し合い、耳を傾け」ていました。
時間を無限と考えているフリーレンに対してフェルンは不満を持っていた。そして、自分の気持ちを正直に相談として持ちかけるところですね。

別の場面も見てみましょう。クヴァールとの闘い。
事前に防御魔法を練習し習得させ、コツを教えた後にクヴァールと戦います。その時、防御をフェルン一人に任せています。やらせてみているわけですね。

さらに応用とも言えるのが、リュグナー、リーニエとの戦闘です。完全にフェルンとシュタルクに任せ、フリーレンは一人、アウラとの戦いに臨みました。「任せる」の範囲が拡大していますよね。

ところで、フリーレンは長く生きていましたが、弟子を持つのは初めてのはずです。しかも、千年以上の人生で人との関わりは極端に少ない。それにも関わらず、こうしてきちんと師匠として振舞えているのが不思議です。

これは単なる私の想像ですが、フランメと過ごした時間が影響しているのではないでしょうか。その時に師匠としての振る舞い、考え方、接し方、言葉のかけ方などを学んだということが考えられます。というより記憶力の高いフリーレンのことですから、完全に脳にインプットしたのだと思います。
記憶力が図抜けていることが所々で明かされますからね。

大魔法使いフランメから魔法だけでなく、師匠学というべきものや、師匠という存在、振る舞い、言葉の掛け方も同時に学んでいたというわけです。

フリーレン:そうだね。これは自分のためだ。
フェルン:また長い滞在になりそうですね。

フリーレン、フェルン

蒼月草のエピソードがこの会話につながってきます。

上記の会話だけ見ると、「自分のため」が「長い滞在」に直結する理由が皆目わかりません。しかし事前に蒼月草の話があることで、二人の会話の間にある様々な想いや考えがわかるようになっています。

構成の妙というだけでは片づけられないほどにうまいです。

それ、普通にブチ切れてますよ。

フェルン

勇者一行との冒険の最中にたびたび寝坊していたフリーレン。彼女に対してハイターがたまに舌打ちしていた。というエピソードを、フェルンが聞いて発した言葉が上記のものです。

当時のフリーレンは人の気持ちを理解できていなかった。そして、理解しようともしていなかったことを表しています。だから、舌打ちという行動の陰に隠れた意味がわからなかった。今はわかろうと努力しています。しかし、それでもフェルンとは大差がある。それらのことを、たったワンシーンで同時に表現しています。

私ひとりじゃ、この日の出は見れなかったな。

フリーレン

このセリフには二重の意味があることには、お気づきだと思います。

一つ目は、単なる事実として。

朝寝坊のフリーレンは、フェルンに起こしてもらわないと、日の出を見ることなんて到底無理だったということ。客観的な事実です。

二つ目は、そこにフェルンの笑顔があったから。

単なる日の出ではなく、「この」日の出。というところに意味があります。フェルンと一緒に見たこと、フェルンの笑顔があったから、あの時ヒンメルが言いたかった本当の意味を少し理解できたこと。
そういうことなんだと理解しています。

身近なところでいえば酒席なんかが該当するのではないでしょうか。楽しい席になるのか、早く帰りたいような場なのか。それは、そこにいる人たちの気遣いや雰囲気、表情や感情が作り上げるものだと思います。

そうですね。私も実在するかどうかはどっちでもいいです。
でもたとえ実在しなかったとしても、あるべきものだと思います。
その方が都合がいいからです。
必死に生きてきた人の行き着く先が無であっていいはずがありません。
だったら天国で贅沢三昧していると思った方がいいじゃないですか。

ハイター

他のキャラの台詞を抜いたものを掲載しています。

これは僧侶という職業を長年してきたハイターならではの結論なのでしょう。私たち日本人は真剣に宗教と向かい合っている人は非常に少ないです。ほとんどの場合は、運営側と一部の熱心な信者だけでしょう。

しかし、国によっては法律や習慣まで宗教に染まっているところもあります。そういう意味で、このハイターの言葉は、宗教色の極めて薄い日本人には理解しやすいものだと思います。(私もその一人です)

少し距離を置いて、冷静かつ客観的に宗教を見た時に、とるべきスタンスを言葉で表現しているようにも感じます。

「その方が都合がいいからです」
という部分はより端的に表していると思います。

変わったな。お前は人の時間を気にするような奴じゃなかった。

アイゼン

冒険を共にしていた時期。その頃のフリーレンは他人の時間を気にしないし、人間に何を教えても「どうせ死ぬ」という思いで接していたのでしょう。

しかし、フェルンを弟子にし、同じ時間を過ごす中で、人間とエルフの時間感覚の違いや、その消費に関する思いの差異を少しずつ理解しようと努めてきた。

人は人と出会って、互いに影響し合い、成長する。
この当たり前のことをエルフという異種族を通して、私たち人間が理解するというのがこの物語の乙なところです。(何度も書いていますが……)

お前とヒンメルがかわいそうだと思ったんだ。
30年前のあの日、お前はヒンメルを知っておけばと口にした。
あの言葉は、ヒンメルに直接伝えてやるべきものだ。

アイゼン

普通に考えると実現不可能なことですが、このセリフはフランメの手記に残された「死者との邂逅」部分を読んだ後のものです。だから意味があります。

冒険中のヒンメルとフリーレンを見ていて、アイゼンはヒンメルの想いに気づいていたのでしょう。たとえそれが恋愛感情(に似たもの)とはわかっていなくても。そして常々歯がゆく思っていたのだと思います。

前にも書きましたが、人が人を知りたいと思うのは、好意の表れです。つまり30年前のあの日、フリーレンはヒンメルへの好意に気づいたわけです。それは男女間の恋愛感情ではないかもしれません。

しかし、直接伝えれば、きっとヒンメルは気づくでしょう。そして報われるはずです。そう願いたいオジサンであった。

どんな魔法もはじめは御伽噺だった

アイゼン

科学や技術の進歩に似ていますね。
このアニメの舞台は中世風の異世界です。現代社会のような科学や技術はありません。だからこそ、魔法があらゆる御伽噺を現実のものにしていくという位置づけにあります。

その昔、手塚治虫さんが漫画の中で描いていた風景の多くは、現代社会で実現されています。アトムのようなテクノロジーはまだですけど。

結局、人類は未来の姿を思い描き、それを実現するために研究し技術を磨き、具現化していくのです。

それを魔法でやっているだけのこと。
媒介は異なりますが、人類の進歩を表している言葉なんだと思います。

ご丁寧にそのページが開かれている。千年も前から私がここに来ることがわかっていたのか。相変わらず嫌味な奴だ。

フリーレン

フリーレンはフランメをどう見ていたのでしょうか?
これはわかるようで、わかりにくい。
「相変わらず」という言葉があるので、一緒にいた時分から「嫌味な奴」と思っていたのは間違いありません。

しかし、フランメの遺言に従って墓を花畑で囲む当たり、尊敬の念もあることがわかりかります。また別の話では「先生の命乞いは聞きなれているからね」という発言もありました。非常に興味深いです。一体どんなシチュエーションで、師匠が弟子に命乞いするのかと。

フランメとフリーレンの関係は「火と氷」です。フリーレン自身は自分の心が(人類から見て)氷のようだと気付いていないけど、フランメから見れば見え見えだった。それに関して、いずれもがき苦しむことを千年も前から予想しており、その解決に向けてフリーレン本人が動き出すこともわかっていた。

たぶん修行当時から、フランメはフリーレンの心の様子をズバズバと当て、次々と対処策を出していったのでしょう。そりゃあ、心の中を読まれていて、その解決策を用意されれば、誰だって「嫌味な奴」と思うことでしょう。
それを千年の時を超えて。であればなおさらですね。

天国はある。その方が都合がいいだろ。

アイゼン

ドワーフは伝統を重んじる。だから死んだら無に帰る。というのがアイゼンの当たり前の感性でした。それを先に挙げたハイターの言葉がひっくり返したのです。

アイゼン自身が本心からこう思っていたかどうかは不明ですが、フリーレンの意思を決定づけるには十分な言葉でした。

それまでは、冒険の痕跡を辿りながら魔法収集を続けるという、ある意味目的のない旅だったものが、ここから明確な目的と目標を持つことになります。

そういう意味では、このアイゼンの言葉は物語全体の方向性を決定づける重要なセリフなのです。

それにあの場所ではいろいろあった。

アイゼン

いや~~~。深い!!深すぎる。
「いろいろあった」???
その一言で片付くほどのことではないのは誰もが承知。
でも、こう言われてしまうと根掘り葉掘り聞くのがバカバカしいというか、失礼になるというか。

「あ~、いろいろなんですね」と頷くしかなくなる。

これ以上聞かないでくれ、という意思表示にも取れるし、本当に感慨にふけっているだけともとれる。しかし、これ以上聞くことを遠慮してしまう言葉ですね。

空気を読めない人は「いろいろって?ナニナニ?」と聞いちゃうのでしょうが、その場の会話相手であるフェルンも「いろいろあった」人なので、アイゼンの気持ちが理解できたんでしょうね。

さて、やっと4話まで書きました。
探せば探すほど、名言が多くてどれを選ぼうか毎回苦慮します。
絞ったつもりですが、今回も多くなってしまいました。
4,000文字を超えるnoteにお付き合いいただきありがとうございます。

5話以降も頑張って書いていきますので、応援いただけると幸いです。

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