【マーベル映画の歩き方】いろいろな「マーベル映画」③「スパイダーマン」

「アベンジャーズ / エンドゲーム」の感動を少しでもたくさんの人と分かち合いたい!!!という切なる動機からスタートした、「初心者のための『マーベル映画の歩き方』」。

今回はみなさんおなじみ、「スパイダーマン」について。

昔からマーベル一の人気を誇る超有名ヒーローで、実写化は昔から何度もされています。
※例えば、日本でも「東映版」(通称「スパイダーマッ」)がありました。


今回は、2000年代以降の実写映画について、お話しをしていきます。
ですが…このスパイダーマンシリーズ。
前回のX-MENに比べ、さらに輪をかけて複雑な大人の事情に翻弄されている(現在進行形!)作品なんです。

ひとまず、最近の作品を順番に見ていきましょう。
2000年以降、スパイダーマンの単独実写映画は3シリーズ計7本製作されています(8本目が企画中)。

1. スパイダーマン三部作

 2002年 スパイダーマン
 2004年 スパイダーマン2
 2007年 スパイダーマン3

恐らく多くの人がイメージする「スパイダーマンの実写映画」って、この三部作じゃないでしょうか。NYの摩天楼を飛び回る斬新な映像表現は、未だに私たちの心をワクワクさせてくれます。

トビー・マグワイアが主人公ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じたこの三部作は、監督の名前から「サム・ライミ版」などと呼ばれます。

2. アメイジングスパイダーマン二部作

 2012年 アメイジング・スパイダーマン
 2014年 アメイジング・スパイダーマン2

アンドリュー・ガーフィールドが演じるイケメンピーターが話題になったシリーズ。

アメコミの原作漫画にも映画にもよくある「リブート(再始動・再起動)」という手法で、前述のサム・ライミ版を一旦なかったことにして仕切り直しています。
この「リブート」という手法については、また改めて記事を書きたいと思います。

3.MCU版スパイダーマン

 2017年 スパイダーマン:ホームカミング
 2019年 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
 2021年公開予定 ( 2019年9月現在タイトル未定)

2度目のリブートにして3つめのシリーズ。愛され若手俳優トム・ホランド演じる現在進行形のスパイダーマンです。

3つのシリーズの関係

さて、上記で「リブート(再始動・再起動)」という言葉を使ったとおり、3つのスパイダーマンの世界は基本的につながっていません。「それぞれお互いをなかったことにしている」関係ですね。

例えば、最初のサム・ライミ版とアメイジングの第一作を比べると、主人公ピーターがスパイダーマンになったいきさつや、育ての親ベンおじさんの死など、同じようなトピックが(少し異なる切り口で)それぞれに語られています。

MCUとの関係

さて、上記の公開年を改めて見ていただきますと…アメイジング・スパイダーマンが公開されたのは2010年代。

「アイアンマン」や「アベンジャーズ」などで有名なマーベルスタジオの「マーベル・シネマティック・ユニバース(通称MCU)」が全開バリバリで展開しているタイミングと重なります(2008年公開の「アイアンマン」が第一作。2019年現在少なくとも2022年まで公開予定があります)。

▼MCUについてはこちら

でも、「アメイジング・スパイダーマン」においてスパイディ(スパイダーマンの愛称)は、他のヒーローと協力することもなく粛々とひとりNYの街を守っていきます(ちなみに2012年の「アベンジャーズ」で、「MCUの」NYはボロボロになりましたね)。


これには、前回のX-MENの記事で書いたのと同様の背景、大人の事情があります。

つまり、X-MENの映画化権を20世紀FOXが購入していたのと同様、スパイダーマンの映画化権はソニー・ピクチャーズが購入していたのです。
これにより、他のマーベルヒーローと同じ「マーベル・コミックス社」のコミックスを原作とし、原作ではほかのヒーローとしばしば共闘するスパイディが、映画では文字通り孤独な闘いを強いられることになったのです。

MCUへの合流

さて、そんな孤独なスパイディに、転機が訪れます。
幸か不幸か、「アメイジング・スパイダーマン2」の興行的不調により、ソニーが方向転換。絶好調なMCUとの協調を模索したのです。

結果、MCUにおけるヒーローたちの内紛を描いた「シビルウォー / キャプテン・アメリカ」において、ついにスパイディがMCUに参入。

この予告を見たときの興奮!
スパイディがついに大人の事情を打ち破った歴史的な瞬間でした。

この「シビル・ウォー」をきっかけに、MCUとリンクするスパイダーマンの単独映画シリーズがスタート。その後のマーベル・スタジオ作品「アベンジャーズ/インフィニティウォー」「アベンジャーズ/エンドゲーム」にも、トム・ホランドのスパイダーマンは参戦することとなりました。

MCUからの離脱騒動

「エンドゲーム」の直後に公開された単独映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」でも、スパイディはMCU側のキャラクターたち(ハッピーやニック・フューリー、マリア・ヒル、あと先生!)と共闘。

とんでもないラストの「仕掛け」もあり、ファンは今後の展開に胸を躍らせていました。

そんな中、映画の中よりもとんでもない事態が現実に起こります。
ソニー・ピクチャーズとマーベルの協議が決裂!という報道が全世界を駆け巡りました。

背景としてあるのは、会社ごとマーベルの親会社であるディズニーに買収された20世紀FOXとは違い、結局スパイダーマンの映画化権をソニーが持ったままであったこと(MCUとの連動は、あくまでマーベルとソニーの協力でしかありませんでした)。

また、2018年以降、ソニーの実写版スパイダーマン(=MCU版)以外のスパイダーマン関連作品が超好調だったことがあげられます。

これ、ややこしい表現ですが、「実写版でないスパイダーマン」すなわちアニメ作品である「スパイダーバース」が、第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞したり、

「スパイダーマンが出てこないスパイダーマン実写作品」つまり、ライバルのヴェノムが主人公の作品「ヴェノム」が、サム・ライミ版スパイダーマンの興行収入を上回ったり…

ソニー側が「マーベル(とMCU全作品のプロデューサーを務めるケビン・ファイギ社長)がいなくても、俺たち自分でやれるんじゃね?」と考え始めたことが背景にあると思われます。

また、ファイギ社長の超多忙っぷり(そもそも拡大していくMCUの今後に加えて、20世紀FOXのキャラクターたちの再登場の設計など…)に対して、ソニーがマーベルに支払うカネの額が見合ってない!という齟齬もありました。

もちろん、「シビルウォー」のスパイディ合流に興奮した分だけ、ファンのみならず関係者まで超落胆。

そして、ついにこんな報道まで…

そして、突然の再協調!

多くのファンが悲嘆にくれ、あきらめかけた2019年9月27日、突如としてマーベルとソニーの契約締結が発表されました。

これ、マジでびっくりですよ!

このことにより、2021年の「トム・ホランドのスパイダーマン」も、無事「MCU版スパイダーマン」と呼べることになりました。

ただ、結局映画化権はいまだソニーの手中にあるので、「その後」が気になるところではあります。

そんな感じで、嬉しすぎてつい長文になった記事でした。

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