「まずは絵にしろ」と言われたとき、あなたはどんな絵を描きますか?

「まずは分かりやすい絵にしてくれないか」

これは上司が部下に対してよく口にするセリフです。
ビジネスでスピード感が重視されるに連れ、現場では長い文章は敬遠されるようになり、ひと目でわかる「絵」が求められるようになりました。Microsoft PowerPoint(マイクロソフトが提供するプレゼンテーション用のアプリケーションソフト)の登場が、この状況に拍車を掛けました。

「絵にする」という言葉を真に受ければ、文字通り「説明の文章をそのまま図表に落とし込む」という意味になります。ところが最近になって、私はこの「絵にする」という言葉に2つの受け止め方があることに気付きました。

1. 文脈に沿って文章を忠実に絵にする
2. 文章で書かれた内容をいったん飲み込み、それを概念に落とし込む

「1」は言わば「お絵描き」です。「長々とした文章で書かれるよりは、それが絵になっていたほうがわかりやすい」というわけです。「直観的に理解できる」という意味で価値はありますが、それ以上の意味はありません。
上司に「絵にしろ」と言われて皆さんが考えることはこれに近いはずです。私もかつてはそうでした。
PowerPointを手にしたとき、私も「お絵描き」に夢中になりました。うまく「お絵描き」できれば褒められるので、いい気になったこともありました。お恥ずかしいことに、ビジネスコンサルタントとして働き始めたころは、まだこんな感じでした。

これに対して「2」は概念化です。
「概念化」というテーマと向き合うようになったある日のこと、私は「絵にする」という言葉
に「2」の意味があることに気付き、その瞬間に頭の中で何かが「パン!」と弾けました。それはまさに私が新境地を手に入れた瞬間であり、「絵にする」という言葉に「本質を追求する」という新しい価値が加わった瞬間でした。
以前に書きましたが、本質を追求するには、その前段階として概念化が欠かせません。描き出された概念(=概念モデル)には本質に至るヒントが隠れています。

今の私は「1」と「2」を使い分けています。
「1」も「2」も、構造化の基本モデル(ツリー型、マトリックス型、フロー型)を使うという点で同じですが、強いメッセージを伝えたいときや頭に描いている思考ロジックを相手に間違いなく伝えたいときは「1」でうまくお絵描きします。
「1」の例としては業務プロセスや情報フロー、情報の因果関係や結論に至るまでの思考の流れ、組織表や役割分担などがあります。

これに対して、全体像を共有し目線を上げて皆で議論したいときや共感を促したいときは「2」で概念化します。
ビジネスシーン、特に事業戦略や事業計画、提案書作成などの現場では「2」が欠かせません。
「2」の例としてはマーケットセグメンテーションや市場における星取表、顧客の課題や価値観の変化とそれに伴うベンダーやメーカーへの期待感の変化との関係、参入障壁と市場規模の関係、顧客との関係が事業運営に及ぼす影響など、挙げるときりがありません。

「1」として描かれた絵と「2」として描かれた絵を比較すれば、両者の違いに気付くはずです。

・ 叙情的な「1」に対し「2」は論理的
・ 表面的な「1」に対し「2」は構造的
・ 煩雑で無秩序な印象の「1」に対し「2」はシンプルで秩序がある
・ 文字が小さく文字数が多い「1」に対し「2」は文字が大きく文字数が少ない
・ 「伝える」ことが狙いの「1」に対し「2」は「考えさせる」ことが狙い

私はいま、コンサルタントとして「2」を武器に戦っています。そして、この武器を磨き上げることに、日々、躍起になっています。なぜなら、ビジネスを大きく動かそうとすると「2」は欠かせないからです。しかも「2」をピカピカに磨き上げているビジネスマンはほとんどいないので、この優位性は明らかです。

皆さんは、まずは「1」と「2」の違いをはっきりと意識することから始めればいいと思います。「正解のない問題を解くための力」というブログは、そんな皆さんを後押しするためにあります。

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masaki_ura

実践の場で培ってきた計画力や概念化力を武器とするビジネスコンサルタントです。 自動車設計からキャリアをスタートしたので製造業には嗅覚が働きます。プロジェクトマネジメントを軸足に活動してきました。今では、商品企画や新事業の立ち上げなどにも活動の幅を広げています。

正解のない問題を解く力

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