羊と雲の丘眺望羊群れ2

イノチをいただくこと

士別市内にある、朝日という地区が好きだ。

山々に囲まれたこの地区との関わりは、
関東平野のど真ん中育ちの私に
山とともに生きるくらしの知恵をたくさん教えてくれた。

山のくらし、
春のお楽しみといえば山菜とりだ。

まちのお父さんたちが
朝から山に入ってとって来てくれた
アイヌネギ、フキ、ウド、ゼンマイなど、様々な山菜。

それを豊富な水で丁寧に洗って下ごしらえする様子を、
お母さんたちのそばで見せてもらったことがある。

丁寧に、しかもとてもリズミカルに
下処理をしていくお母さんたちからは
山に対する畏敬の念が聞こえてきた。

たとえば、山はクマたちのすみかなのだから、
私たちがお邪魔しているという思いを忘れないこと。

アイヌネギのように、
食べごろの大きさに育つのに
8年もかかるものもあるのだから、
山菜は必要なだけとること。

つまり
生きている限り
私たちは大なり小なり
イノチをいただいているのだと知ること。

スーパーで食材をそろえていると、
それはまるで工場でできたもののようだと
思ってしまうことがたびたびあった。

その作物が育つ土地の景色やエネルギー。
生産者さんがいればその人の顔までを知ることは、
なかなか難しいからなのだと思う。

土にふれ、イノチに感謝すること。
生かされている存在なのだと自覚すること。
そのことはずいぶんと私のココロを軽くさせた。

人のは自分のちからですべてを
コントロールすることはできない。
そして、その必要もない。

なぜなら人は本当に多くの恵みに
助けられながら生きているからだ。

お母さんたちのことばに、
大丈夫。
私たちはひとりで生きているのではないということが、
とてもあたたかに感じられた。

◎鯨井啓子 info

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