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グランドレベル研究所*日本

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1階づくりはまちづくり! ここでは日本における、グランドレベルをデザインとコミュニティの観点から楽しく見ていきます。
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「アクティブ」な「まち」をつくるコツ. 超訳「目線から見た良いまち|80の教訓」(1/3 ソフトウェア編)まちの1階には、「何」があればいい?

 少しずつ「まちの1階」「建物の1階」のつくられ方が、その「まち」の可能性を圧倒的に左右しているということを、さまざまな業界の人たちにもご理解いただけはじめてきた。その兆しは確実に感じています。(photo = Jana Leu)  しかし一方で、その次に立ち上がる「では、どんな風にデザインをするの?」ということに対する、あまりのリテラシーの低さに愕然としてきたこの数年間でした。いろいろな企業や組織、さまざまなプロジェクトの相談ごとをいただくことが多いのですが、あまりにもベ

「喫茶ランドリー」はやっぱりヤバい?コロナ禍で結婚式も開催.全部受け入れたら、実はこんな感じでした.今だから伝えられるコロナ禍レポ.

今日の今日まで開け続けました思えば、コロナがはじまったのは2019年12月ごろ。日を追うごとにただごとではない空気が増していったあの感触は、改めて今思い起こすと、やはり一度も体験したことない空気感でした。皆それぞれに振り回されました。 「喫茶ランドリー」とて同じだったわけですが、実は「喫茶ランドリー」(森下両国)は当時、まわりのお店がほとんどお休みとする中、開け続けていきました。今日の今日まで。下は当時、第1回の緊急事態宣言がはじまって、1ヶ月後のレポート。 それから2年

新刊 『1階革命』 (著:田中元子/晶文社)Amazon予約はじまりました。副題は「私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」。書店は12月20日ごろから並びます。

 この度、晶文社よりグランドレベル田中元子の新しい書籍『1階革命−私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」が晶文社より発売されることになりました。Amazonでの予約注文は昨日から、書店での販売は2022年12月20日の予定となります。  表紙は、こんな素敵になりました。表紙絵は、グラフィックアーティストの伊藤桂司さん、ブックデザインはアジールの佐藤直樹さん・菊地昌隆さんにお願いしました。  今回の書籍の位置づけは、田中の前著『マイパブリックとグランドレベル − 今日か

「課題解決」「問題解決」思考が取りこぼしがちな「孤独」と「孤立」。まちづくりDXの限界と、まちを変えるために、本当に私たちに必要なこと。

まちづくり界隈で「課題解決」「問題解決」と叫んでいる人を見る度に、何だか腑に落ちない感覚を持っていました。怪しいというか、本当にそれで良くなるのか?というか。私たちはそんな出発点で、企画をしたりデザインをしてきたことがほとんどないから。でもその違和感の理由はきちんとわかっていませんでした。 で、最近ふと、なぜそう思ってたのかが少しわかったので、今日はその話を。 課題を解決するために、問題を解決するために、モノやサービスがあれば、それに人がお金を出すということは、ビジネスの

日本の変なまちづくり。「まち」を「比較」し「卑下」し「もっと」を目指す。「まち」を「ひと」に置き換えると、「つくり方」「育て方」の「まちがい」が見えてくる。

皆さんお元気ですか? お久しぶりです。今年は一杯note書くぞ!といいながら、下書きネタが増える一方で。。やはり、まとまり切らずとりとめなくても公開していくことにしました。出会う先々で「note見てます」と伝えてくださる皆さんにはいつも励まされます。ありがとうございます! ここ最近も10平米ほどのコーヒースタンドから、丸ごと新しいまちひとつのプロジェクトまで、いろいろな仕事が進行しています。相談ごとを含めると本当にいろいろな人と出会い、お話をうかがうことも多いのですが。

日本三大朝市「勝浦朝市」の素晴らしさに見る「日常」と「観光」の新しい関係。朝市とは「モノ」以上に「コミュニケーション」が交換される場なのだ。

お久しぶりです。連日いろいろな場所にうかがい、無数のnoteネタは無数に積み重なっていく一方で、何とか今年はできるだけ発信していければと思います。さて、今回の舞台は千葉県の勝浦市。 2022年3月18日に「ガイアの夜明け」という番組で、弊社グランドレベルが取り上げられました。テーマは「もう"素通り"させない!〜「ちょっと寄りたい場所」見つけた〜」。 放送後、さまざまな反応をいただく中で、いち早くお声がけいただき、わざわざ東京の喫茶ランドリーまでいらしてくださったのが、勝浦

「まちに人が来んのじゃ!」と叫んでる人が、「まち」に「人」が来ない元凶だという事実。「まち」とは、常に新しきを讃え変わり続けていくもんじゃ!

いろんなまちへうかがい、いろんな人の話を聞きます。喫茶ランドリーで仕事をしていても、遠くからいらした方が、話しかけてくださることも少なくありません。いろんな「まち」のことをうかがえるので、ありがたいことです。 「まちに人がこんのじゃ!」この言葉を、その中でよく耳にすることがあります。 男性も女性も、年齢も関係なく、どのまちにもある一定の割合でいらっしゃるように思います。 「まちに人が来んのじゃ!」の次には、大抵、自分が頑張ってきたがふるわなかったこと、こんなアイデアがた

「沖縄県コザ」に既にあった!世界の各都市が目指している「まち」のつくられ方。これを壊すことは、経済・健康・成熟を手放すこと。ウォーカブルってそういうことか。

お久しぶりです。純粋なnoteは、7ヶ月ぶりとなります。この間もいろんな都市、まちを訪ねる機会をいただき、その都度さまざまな発見に興奮しながらも手つかずで。しかし、たまに思い起こすように、この沖縄市コザの話は書きたかったのです。 結論から言います。 今、世界の各都市が「こういうまちをつくりたいな!」と躍起になっているインフラとしての風景が、沖縄市のコザ、パークアベニュー通りにすでにあったのです! どういうことかというと、 この数年の海外のまちづくり系ニュースのメインス

キッパリ! 「クリエイター」は、「まち」を元気にさせません! 元気にさせるのは、目の前にいる「市井の人たち」! 彼らが結果的に「クリエイター」となってしまうような「まち」をつくろう! ついでに、「まち」の「らしさ」の話も。

グランドレベル、1階づくりはまちづくり、という仕事を通して、いろんな方に会ってきましたが、こうおっしゃるかたが五万といらっしゃることに、ある日気付きました。 「今度、ここには「クリエイター」の皆さんに集まってきていただいて、ここから「クリエイティブ」な、まちになっていけばと思っていて……」その度に、私たちは、(´・ω・`) (´・д・`)ガーンとなるわけですが、そんな気持ちはどこへやら、疑いもなく、会う人会う人、意外と同じ事をおっしゃる方が多いんですね。 そして、私たちは

まちで「挨拶」が増えた理由.「コンビニ」「喫茶」「立ち飲み屋」自分の手元で咲きはじめていた「暮らしたいまち」.

この文章は、土木学会がnoteで開催する「 #暮らしたい未来のまち 」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。 生まれてから、大阪、台北、千葉、ロンドン、高円寺と暮らし、ひょんなきっかけで隅田川沿いの東東京に住みはじめて、早17年にもなる。 このまちに暮らしはじめてから、一時期は大学に勤め、またそのあとはフリーランスのように働くことになっていった。暮らすまちでの自分の行動といえば、基本は家と駅の往復、その間に、コンビニやスーパー、ちょっとしたチェーン系

ついに京橋にベンチを設置!ベンチプロジェクト、ここにはじまる!目指すは「東京ベンチアベニュー」.

noteに最初のベンチの記事を書いて、大きな反響をいただいたのが2017年でした。 それから約4年、ついに先日、京橋の東京スクエアガーデンの公開空地、中央通り沿いに恒常的なベンチを設置させていただくことができました! たかがベンチですが、これ実は大きな一歩なんです。 今回はそのレポートを。 ベンチのない国日本・ベンチのない都市東京まず、「ベンチの基本」のおさらいです。 日本は鬼のようにベンチのない国です。たとえば、 NHKの名番組「世界ふれあい街歩き」を見ていると、だ

もう間違わないで!日本の都市開発!高輪・品川の開発に想う「人間のためのまち」をつくるポイント.

何度か通り過ぎることはあっても、降りたことのなかった高輪ゲートウェイ駅。ふと止まった電車からホームの向こう側を見ると、開発が進んでいます。それとなく検索したら、すぐに出てきたのが下のニュース記事でした。 再び走りはじめる電車。 ここに登場するウスビ・サコさんの発言が、感動するほど共感しかりません。一方で、読み進めるにつれ、サコさんの発言と、それに対する開発側の方々の返答が、少し噛み合っていないことに、違和感を感じはじめました。でも、この違和感は、昨今の国内におけるほぼ全て

「亀有」は驚異的な「ベンチ」のまち!?5日間滞在中の驚きのまとめ.葛飾区・足立区のお手本のような「ベンチ」でまちづくり.

マイクロツーリズム、ワーケーション、ステイケーション。なんだか急にいろんな言葉が出てきて、それに右往左往影響されるのも、ちょっと人間らしさに欠けたものだなと思いつつ。要は「生きること」と「働くこと」について、今までよりも考えて、自分なりに心地良く行動するというのが大切なことではないでしょうか。 さて、今年のお正月は皆さんはいかがおすごしでしたでしょうか。なかなか帰省というわけにもいかなかったのは、私たちも同じ。 で、昔から機会があれば、近くのホテルに泊まったりして、楽しむ

これからの新しい「デザイン」、そのイメージを掴もう!人の幸福のために「ゼロをつくる」という意味を「喫茶ランドリー」を通して考えてみた.

先日、ある学生の方に田中がインタビューを受けていて、そこでポロッと学生さんが言いました。 「田中さんがされているのは、ゼロをつくる仕事なのですね」 その瞬間、目から鱗で、インタビューが終わった後も、田中とあれは言い言葉だったね、と話したりしていました。ゼロか。確かにゼロなんだよね。 何のために「デザイン」はあるのか?私たちは日々、仕事を通して、ざまざまなことを「デザイン」しています。そして、世間にはさまざまな「デザイン」に関わる仕事をされている人がいます。そして、常に「