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地域暖房で無用になった半地下スペースを活用しまくるコペンハーゲン。

コペンハーゲンの観光本を開けば、世界初の歩行者天国「ストロイエ」が必ず出てくるけれど、ふらっと裏通りを歩いている方が、意外と面白い。それにしても、まちを歩いていていると、200〜300年前に建てられてたものを目にすることなんて、それほど珍しくないから驚きます。では今回は、コペンハーゲン2日目(2016.01.15)の市中心部を半地下目線でグランドレベルを歩いてみましょう。

*「ストロイエ」はこの辺り(https://goo.gl/maps/TLoek8ruTwm)で、取り上げるものはその周辺の裏路地です。

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本屋さん。半地下にあります。窓越しに見える店内の本棚と外側の壁づてにも本棚、さらに手前にも小さな本棚。本棚のレイヤーに誰もが、足を思わず止めて、すっと誘い込まれてしまいます。窓枠の緑の装飾に内部の少し暖かみのある照明。すべてのバランスが絶妙です。

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宝飾屋さんも半地下を使って。日中のまちにも放たれるゴールドの輝き。ゴールドに対して黒い枠が効いてます。けど、半地下といっても、地上に出ている窓の高さが1600mmくらい。入るときは階段を4、5段降りるので、わりと浅い半地下だということがわかります。

これだともうひとつのメリットは、中に入ると目線の少し上にグランドレベルがくるんですね。すると路上の賑わいを店内でも感じることができる。賑わいを互いに感じ合うというのは、大切なポイント。

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で、行けども、行けども、こういった半地下を個性的に活かしたお店ばかりなんです。出しゃばらず、さりげなく、センスよく、雰囲気で自然と引き込むデザイン。手作り感もやり過ぎない。ポップとか、○○らしさとか、ガーランドとか、日本にありがちな糞ダサいものは、むろんありません。まさに人が何に惹かれるかという本質を、わかっているという感じ。

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ここは半地下もその上階も雑貨屋。半地下にある手作りの帽子屋「Chapeauspiral / LotteK」(http://chapeauspiral.com/index.php)は、フリース素材のパッチワーク帽子が素敵でした。

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こういった半地下を持つ建物は、ヨーロッパの多くの地域に見られるものです。冬が厳しいために、その昔は、半地下にボイラーや厨房を設置し、暖かい空気は上階へと回ったと言います。半地下であれば、運んできた燃料を下ろすのも楽だったといわれています。

けど、コペンハーゲンでは、下記リンクにあるように、地域暖房が超絶発達しているので、今では用無しに。(今回airbnbで宿泊したお家も最上階でしたがポカポカでした)その半地下が、特徴そのままこのように活用されているというわけですね。(LINK:コペンハーゲンでは98%のエリアで普及。デンマークで浸透する地域暖房

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グランドレベルの視点からすると、半地下を持つ建物の活用は一石二丁であることがわかってきます。だいたいの使われ方は、半地下とその上階をダブルで外に開く。その上は集合住宅。通りに対して、グランドレベルをつぶすという概念はここにはありません。まさにグランドレベルを活性化させ、まちに貢献させられれば、エリア全体の価値はもちろん、その上階の価値も高め維持し続けられるということ。

じっくり見ていくと、こんなちょっとしたお店ですら、照明の使い方が個性的で、見られることに対して相当計算されていて、このあと帰国するまでビックリすることになります。しかも、どれも同じパターンがないという。

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左のような建物は、グランドレベルが寂しいよねと思って、近づいていくと...

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思いっきりアトリエで、路上から思わず釘付けになってしまったり。オフィスや工房もすべてがオープンなので、まち歩きが進まない、進まない。。

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さっきの建物は、半地下はレストラン、その上はヘアサロン。外席もしっかりありますね。その話は、また別の回に。

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いくつも見たのですが、こうやって半地下に厨房がある飲食系が超絶いい! 歩いていても、楽しそうに料理している姿が目に入ってくるだけで、ぐっとそそられてしまいます。

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ここは半地下にデリ、その上にカップケーキ屋「Serenity Cupcakes」(https://goo.gl/maps/UBnVkct4zrq)。このお店を上下に組合せられるということそのものが面白い。飲食や雑貨など、いい組合せをつくるだけで、もはや小さなまちが生まれるような感覚です。ひとつの建物の賑わいも単純に2倍ですからね。これが単純に1階、2階となっている形では駄目なんです。半地下だからこそ、路地を歩いているときの視界が、ほぼ同時に半地下とその上の階を同時に捉えることができる。この写真のようにね。これがポイント!

しかし、この建物ひとつ取っても可愛いでしょう。自分の住む街にこんな建物がひとつあったらなぁ。妄想が止まないまちコペンハーゲンの旅は、まだまだ続きます。

大西正紀(mosaki)

http://mosaki.com

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