ため息が出るほどの美しさと自由.都内最大の水郷公園「水元公園」(葛飾区)と「皇居外苑・皇居前広場」(中央区)「平和記念公園」(広島市)が教えてくれる公園の基本.

突然ですが、皆さんは、公園というものを日常生活の中にどれほど取り入れられているでしょうか。

自分の人生における“公園経験値”というものを振り返ってみると、大阪、台湾、千葉、東京などで未成年期に体験した公園は、どれもいわゆる日本でよく見かけるタイプの公園がほとんどで、そのもに感動するなんてことはありませんでした。大学時代になると、新宿御苑や代々木公園、そのうち地方の公園も体験しはじめるわけですが、まぁ言っても「公園っていいもんだな」という感じだったわけです。

ところがその後、一時期ロンドンに住んだ時に出会った公園たちには、生まれてはじめて、その存在そのものに熱狂したのでした。巨大なハイドパークやリージェントパークなどはもちろん、ロンドンの街中に溢れる小さな公園たちもまた、どれもため息が出るほど心から感動したのです。公園ってこんな存在になりえるのか、日常の中にあるとこれほど心豊かになるのだ、といつも感動していたものです。

数年前に訪れたアメリカ・ポートランドの公園も最高でしたし、先のレポでも紹介した台北の公園はいわずもがな。こういった公園は、どれも「都市における配置」「人を迎え入れるデザイン」が人間的、合理的につくられているから、最高な形で人々の日常の生活に入り込む形で、存在しているですよね。

東京にすごい公園があるの、ご存知ですか?

この「note」も記事も50以上になってきて、最近は「読んでますよ」とリアルな場で声をかけて下さる方が出てきました。本当にありがたいことです。

で、先日、ある人にお会いしていて、別れ際に言われたのです。「東京にすごい公園があるの、ご存知ですか?」。その方は、とにかくやばいと、北欧の公園みたいなんですよ!!と。

あまりにも熱烈プッシュなので、数日後の週末に車で行ってみました。家から30分弱、その公園は葛飾区にありました。その名も「水元公園」。駐車場に停めて、公園側に歩いて行くんですけどね。もう樹木の向こうにチラチラ見える風景からすでにやばいオーラが出てるんです。で、やばいよやばいよって思っているうちに、林を抜けると、目の前に広がったのがこの風景!!

うっわぁ〜〜!!! なんだすばらしい風景は。思わず佇む。しばし佇む。

で、キョロキョロしてみると。なんかみんな心から思い思いに過ごしてるんですよね。サイクリング、ジョギング、犬散歩、釣り、昼寝、おしゃべり... 温かい太陽の日ざしに心地よい風、揺らぐ緑と川面。もう完全に動きたくないモードということで、到着して30秒で迷わずゴロン。。

小一時間過ごしたでしょうか。慌てて用意してきた珈琲、烏龍茶、フルーツは、どれも大正解でした。釣りを介して集まっている爺さんたち。いい公園には、その場ならではのコミュニティが自然と生まれるのは、世界共通です。逆にダメ公園には、生まれません。すべてはイベントの有無ではなくデザインの問題。

それにしても、すごい抜けです。周辺には住宅地が広がっているのですが、何も見えません。そして、どの水辺にも柵なんてものはなく、どこでも水に触れられるんです。真剣に釣りをしているおじさんの横で、子供が遊びの釣りをしていたり、何とも微笑ましい光景。

この公園は変わっていて、向こう側はなんと埼玉県なんです。またがっていながら、向こう側にも同様にすばらしい公園が広がっているという。境にありながら、こんな場をつくり出した人たちはすごいなぁと。

もうこの時点で満足度は100%。けど、せっかくだからもう少し探索しようと少し歩くことにしました。

公園の中を走る小川もいい感じで。そりゃ、竿を垂らしたくなりますよね。

かと思えば、こんなステキな森に入り。

森を抜けて広い芝生のエリアに出たら、小さな音楽イベントが。これまた温かみのある空気で包まれています。振り返ったら、広大な芝生のエリアがあって。

その中央には、小高い丘が。自然とてっぺんまで歩いて行って。

今日2度目のゴロン! 気持ち良すぎて、犬も静かに遠くのライブを見る。

しかし、気持ちが良すぎるので。

婆さん顔になってしまう(笑)。犬が寝てしまうのも、いい公園の条件ですね。

ここでまた小一時間を過ごし、もう満足度は200%ですよ。さぁ帰るか、と違う道から駐車場へ戻ろうとしたら。

なんかもう目に飛び込んでくるのが、絵はがき状態で、口から出てくるのが、ふぉ〜とか、ふわぁ〜とか、ばかり。

それで、ひと森抜けてみたら......

えっ! 何!? これは......

うわぁ!!! なんだよ!これは、超絶美しい!!! 左には楽しそうに駄弁っているティーンエイジャーたち。右は小学生らしき二人があぐらかいて釣りしている。しかもリュックにおにぎりとみかんをつめて、自転車で来たらしい。こんな風景で釣りを満喫する幼少期。なんてステキなんだ。

しかし、この美しい風景は、確かに北欧レベルです。一体だれが、デザインしたのでしょうか。ひとつわかることは、公園というものもまた、作り手のセンスと技量によって、クオリティーとパフォーマンスが変わるってこと。もちろん水元公園にとって好条件もあったと思う。けど、それ以上に乗り越えてきた問題もおおかったはず。それでなければ、この美しさは獲得できない。

思わず、コペンハーゲンを思い出す。

森の中は、基本どこにでも入っていける。そしてこういう場所がそこかしこにつくられている。まさに禁止のデザインではなく、自由のためのデザイン。

気付けば時間は17時です。チャイムが鳴り始めると、メインの通りは帰路に就く多くの家族連れで賑わいはじめました。車で来ている人よりも、どうやら徒歩で、自転車で来ている人が多いようでした。きっと彼らはまわりに広がる住宅地に住んでいる人たちでしょう。いやはや、日常生活の中に、こんな水郷公園があるだなんて、どれだけ豊かなんだろうか。

皇居前広場は、東京駅徒歩8分の楽園!

そんな興奮が覚めやらぬある日、今度は、尊敬するU氏に誘われて「皇居外苑・皇居前広場」でのピクニックへ。いつも東京駅前の丸の内仲通りは歩いているけど、皇居前広場って、そこを目的地としては行ったことがありませんでした。

家では何も用意できなかったので、コンビニ経由で行こうと思って調べたら、一番近いのが明治生命館の2階にコンビニが。で、歩くこと数分。

橋を渡ると、左に大木があって、手をふっているご一行が。二重橋前駅や日比谷駅の地上出口からだと徒歩0分か! こんなに近かったとは。多くの観光客は、写真の向こう側、皇居のほうへ流れていきます。

ふと気付きました。この公園変わっています。アスファルトと芝生の間には20センチほどの高さの柵があるのだけど、基本、中に入ってOK。みんな各々が好きな場所でゴロンしているのです。

東京駅南口から徒歩8分で、この絶景! 

大木も松もフォトジェニックです。

皇居前広場の生い茂る緑と丸の内のビル群のコントラストが最高。公園の緑とビルのコントラストの良さってのもまた、世界共通。

しかし考えて見れば、天皇のお膝元が、ここまで市民に開放されているなんて、これは東京が誇るべき場所のひとつですよね。だからこそ、もっと東京の都市生活の中で、取り入れられるべき公園になるべきだと思うのです。

日比谷、有楽町、丸ノ内あたりに遊びに行くときは、小さなレジャーシートをカバンに仕込ませておいて、こんなところでピクニックをするほうが、銀座でちょっといいでランチを食べるよりも豊かかもしれません。

もひとつオマケに「平和記念公園」

せっかく公園ネタできたので、最後にもうひとつ公園紹介。先日、短期間に二度広島へ行ってきました。初めての「平和記念公園」。この公園も本当にすばらしくて。

川沿いに接する活用はもちろんのこと。(建物や業種がダサいのは問題)

手摺をあえて取り付けていないこともすばらしい。これでこそ得られるこの景観。

さらに、さきほどの「皇居前広場」と同じように、植物のエリア側にオフィシャルに入ることが許されています。そこにベンチが置かれています。また、ベンチの感覚が絶妙なので。

座るとすごくプライベート感があるのです。

対岸にも座っている人たちが。

そうそう、公園って本来は、こうしていろんな人に開かれているべきなんです。何が言いたいかというと、ハッピーな人も、悲しい気持ちの人も、そこに居ていいよと、あらゆる人にとって存在が許される場所であるべき。公園は 幸も不幸も 受け入れよ ってこと。

最近は、楽しいよ感を出すことに一生懸命な公園ってありますよね。まぁイベントやったり、カフェをつくったり。けど、そういう公園づくりをしている人たちは、もっと公園の本質から捉えなおしていくべきでしょう。公園って何なんだろう?って。

今日のまとめ

というわけで、今回は3つの公園を見てきましたが、海外のものも合わせて、これらの“いい公園”に共通していたのは下記の3つでした。

1)緑がきちんと育ってられている結果、緑のある風景が美しい
2)植栽エリア、水辺、どこであろうと人が入ることが許されている
3)公園のどこにいても、ずっとそこに居たいと思わせる心地よさがある

結果、導きだされた条件は、つまりは良いグランドレベルの条件につながるということで。今日はこの辺で。

1階づくりはまちづくり!

大西正紀(おおにしまさき)

http://glevel.jp
http://mosaki.com

世界の日本のグランドレベルの話を
もっと聞きたい方は、気軽にご連絡をください(^^)/

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グランドレベル研究所*日本

1階づくりはまちづくり! ここでは日本における、グランドレベルをデザインとコミュニティの観点から楽しく見ていきます。
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