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モノを売る単一施設の時代はもう終わり。たぶんコレが世界最先端の文化&商業施設。あらゆるDIYにチャレンジできる雑貨屋も最高でした!

台北滞在1週間のうち、良すぎて3回訪ねたのが、「松山文創園区」と「誠品生活」の一帯。またしても台北にヤバいエリアが!

観光本には、デザインミュージアムがある文化施設、蔦屋書店が参考にしたオシャレ本屋、巨大なリノベーション、伊東豊雄設計の建物、などと書かれてるけど、はっきり言ってそんな視点で見るのは間違い。ここは、来場者たちさまざまなカルチャーの情報に刺激を受けつつも、自らの能動性をもたきつけられてしまう、かつてない文化エリアだったのです。

ワンシーンごとに感じたことがあったわけですが、細かい部分は省いて、今回はこのエリアを一気にご紹介!

それでは行きましょう!

まずまず。何がスゴイかというと、都会の超ど真ん中、東京で言うと丸の内のような場所に、

その昔、台北を包んでいたであろう動植物を含めた自然環境を、

そのまま景観としても保存しながら、

その周辺一帯を整備し、憩いの場として市民に開放。テラスを挟んでカフェやショップがあるので、ここだけでもう半日ゆったりと過ごしたくなるレベル。

さらに、その背後一帯に存在していた巨大な日本統治時代のタバコ工場が、取り壊さずにリノベーションされています。

たとえば、託児所だったこんな可愛い木造平屋を、

ガチャッと開けてみると、

居心地の良いブックカフェになっていて、夜はトークイベントが開かれていたり。

メインの建物は、国内外のさまざまな展覧会が行われる台湾デザインミュージアムやギャラリースペースに。この時もグラフィックからプロダクトまで、さまざまな展覧会が開催されていました。きっと今ごろは六本木の21_21で行われた単位展が凱旋しているはず。さらに充実のミュージアムショップに、可愛らしいカフェもあります。

それ以外にも、台湾発のプロダクト&お土産屋が。「松山文創園区」の土産グッズも充実していて、楽しい。

この施設の歴史の展示を重ね合わせる形で、絶妙に設えられていて、

もちろんカフェも併設されています。極力残すリノベデザインのセンスはやっぱり抜群。

回廊型の廊下からは、デンマークの「ルイジアナ美術館」をも彷彿とさせる自然が切り取られて、緑が鬱蒼と生い茂る中庭も最高で。

さらに隣に建ち並ぶ5つの三角屋根の工場跡(写真左)もギャラリーになっていて、

このときは音楽から服飾、建築、デザインなどの大学生たちの卒業制作展が、約1ヶ月半に渡って連日開催中。参加大学数は70!展覧会の数は、実に42!!!こんなの日本はもちろん、世界にもないんじゃないかな。

訪ねたときの週末は建築・ランドスケープ系の大学が、三角屋根の各倉庫ごとに卒業設計展を開催中。各大学エントランスから、やばいクオリティで、

展示作品、展示方法、来場者に対するもてなしまで、すべてが日本では見たことのないレベルでした。(これはまた別のレポートで)

ランドスケープでとは思えないほどの熱気ムンムンの合同講評会に感動したり。

続いて、ホテルと「誠品生活」が入る背後に建つビルへ行ってみると、

あの保存された公園とグランドレベルが、こんなにも気持ちよくつながっていて、

1階では、若手のものはもちろん、台湾発のキレキレのファッションブランドを次々と手にすることができる。

蔦屋書店が参考としたと言われる3階の本屋は、書籍エリアを囲むように、いくつものカフェがあり、(中国語版が出たばかりの田中の自著(緑のやつ)も発見!)

本屋の中では、学生たちが普通に会議を開いていたり。

そしてそして、極めつけは2階の雑貨屋エリアですよ。

まずフロア全体の雑貨屋がそれぞれ、台湾発のクラフトもので感動したのですが、さらに驚かされたのは、雑貨屋、雑貨商品のまわりにあった

キャンパスを購入して、筆や画材を借りて、誰でもが画家のように絵を描いて楽しめるペインティングカフェ!(こんなの見たことねぇ〜これは超楽しそうだ〜)

その隣には、彫金にトライして、オリジナルアクセサリーがつくれる彫金カフェ!(うわぁ〜これもやりたい〜)

雑貨が売ってるようで、奥がオープンな工房になってるし〜〜

その隣でも、みんなつくってるのかいっ!!と突っ込みまくるほどに、とにかく見渡せぞ、見渡せぞ、いろんなDIYチャレンジショップがたくさんあるのです。

おい!ガラス工房まであるのかよ!! とにかくとにかくみんな楽しんでる。

噂の阿里山珈琲では、店員の方に、もっとこうしたら!と提案をしはじめる田中。こういう感じで、そこかしこで珈琲やお茶を飲むことができて。

とどめに地下1階には、おいしい飲食店がわんさかあって、さらに夜の外に出れば、この光景ですよ。夜風に当たりながらゴロンとしたくなるような気持ちよさ。

ざざっとめぐると、こういうエリアなんです。


つまるところ、僕らは、何に惹かれたの??

今日もあそこへ行ってみよう!と思わせた「松山文創園区」「誠品生活」のエリアは、何だったのでしょうか。

まずこのエリアで数日過ごしていると、そこで見ること、考えること、体験すること、購入することのすべてが影響し合っていて、そこにある種の充実感、幸福感が生まれていることに気付かされます。何を見て、何を考え、何を体験し、何を購入するのか... そう、すべては個々が能動的に選択していることなんですよね。だからこそ、とにかく来ている人たちがみんな楽しそう。

これって、日本の商業施設や文化施設では、まったく感じることがない光景です。私たちの身の回りにあるお店や施設は、「●●を売る」「●●を伝える」ために「●●をつくる」といった単純なロジックで、つくられていることがほとんど。

けど、このエリア内のつくられ方、ディレクションのされ方は、全く見たことのないものでした。公園やパブリックスペース、文化施設から商業施設、またその内部の一つひとつが、個別の目的を持ちつつも、互いが常に影響し合うことを意識してデザインされ、ゆるやかにつながるように存在させられていました。そのことで、来場者たちは、エリア内で、それぞれの体験と発見を積み重ね、最終的にさまざまな購買に至っている。

それによる楽しみ方の取捨選択も、ベルトコンベアにのせられることはなく、ほぼ無限! いや〜、これって最先端だなと思ったわけです。

そもそも「見ること、考えること、体験すること、購入することのすべてが影響し合う」ってのは、私たちの人生に潤いを持たせる必須条件でもありますよね。それをあるエリア内に、古い建物を残し活用するという文化政策と、新しい商業施設をミックスする形で、つくり込めてしまう。これは、古来から根付く文化と、市民の能動性により生まれる新しいカルチャーは、あらゆる側面で大切だということを共有できているという証しでもありますよね。そこに、台湾・台北の凶器すら感じてしまいます。

いやはや。台北って、どれだけ面白い都市なんでしょう!


おおにし・まさき
http://glevel.jp

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