100年の時を越え、台北の酒造工場が市民に開かれた巨大クリエティブパークに!文化人たちが立ち上がり、政府が受け入れ、誕生した「華山1914創意園区」

さて、地理がつかめていないので、2日目もまずは徒歩で。東門市場から昨日とは逆に西側へ少し歩くと、「中正記念堂」の裏側。28年前と変わらない鮮やかなブルーの屋根。白い塀の向こうの公園にも惹かれるけど、それを横目に今日は北へ。

バス停にベンチ。

集合住宅の1階にもベンチだらけ。日本でこうあるべきだと吠えていることが、ほとんど実現されているのか、この台北では...

歩道にもベンチ。そう、お店がなくたって、公園じゃなくなって、どこにだってベンチ(座れる場所)は基本必要なんですよね。人が絡まり、生きたまちになるためには、最低限必要なツール。台北はそんな価値観がすっかり共有されているんだなという思いが、一歩進むごとに確信へと変わっていきます。

たまにこういう方が通ると、昔の台湾を思い出しながら、今ではとても親近感を抱いてしまったり。(そう、「パーソナル屋台」のワークショップを6月末に渋谷のfabcafeで、7月に柏の葉で予定しています。詳細は後日!)

歩いて間もなく、赤いレンガの建物が登場!ロングベンチ最高ですね。文化施設やオフィスビル、駅、大学みたいな、大勢の人を迎え入れる建物のグランドレベルは、基本こうあるべき!

敷地内には赤レンガの建物がたくさん建っていて、小さな街のようになっています。どこもフォトジェニックなので、そこかしこで結婚の記念写真を撮影していました。台湾の結婚式写真は有名ですよね。

この施設、名前は「華山1914文創園区」。どうやらいろんなショップやカフェ、ギャラリーがあるらしいのだけど。だいたい午前11時オープン。ちょっと早い時間で閉まっていたので、ぐるぐると。

一見、何の変哲も無く見えますが、残し方のバランスが絶妙です。どこまでを残して、どう修復していくか。日本だともう少しこぎれいにしてしまいます。さらに樹木の生命力がすごい。

2年前に訪ねたドバイのバスタキア歴史保存地区にも通じる、“国としての意思ある保存”ということが、ちょっと歩いただけでも伝わってきます。日本あだと純粋に横浜の赤レンガとか思い出してしまいますが、まったく残されたモノの背景にある哲学や理念が、まったく違うことが、のっけかわ分かるこの感じ。

おばさんが一生懸命、掃除と緑の世話をしていて。そう、「うわぁ!!」って思わず声をあげてしまうような緑があるところには、こういう人たちの支えが必ずある。そういう人たちを海外では見かけますが、どの方も愛を持って植物と接しているのがわかるくらいで。日本とは何かが違う!?

11時。ようやくオープンしたので、いろんなとこへ入っていきます。ある倉庫に入ってみたら1階はカフェ。新旧織り混ざるリノベーションのセンスの高さがやばいんですよ。床のタイル、レンガ、植物、家具... もはやどこまでが古いのか新しいのかがわからない。けど、とっても自然な感じ。

階段を上がって見下ろしてみたら、おぉ!!なんてスバな空間。

2階は「好樣思維 VVG Thinking」という雑貨屋さん。日本のものもたくさん。いくつかの雑貨屋には、どこか日本を追っているところも感じられて。そういうものに触れると日本人としては興ざめしちゃうけど、そこから突き抜けた台湾らしさに触れられたときの感動も大きいもの。

モノの置かれ方も、こういった空間も、日本にはないものがある。それを分析する楽しさ。さて、レンガ倉庫エリアを探索してからの。

外へ出ると、レンガ倉庫エリアから、まだ向こうにも広がってる。行ってみると。

雰囲気が変わって「光點華山」という場所。ここは映画館か!なんて理想的なんだ。台湾では、最近、日本映画が流行なのだとか。映画館脇には、雑貨屋やカフェも。ここはその昔、鉄道駅で、その後、建築資材置き場になったところだそう。 

こんな笑ってしまうような期間限定のパビリオンもあれば。

その脇には、さらに大きな倉庫がバンバン建っていて、中では大学の卒業制作展の設営中でした。

脇にはこんな路地もあって。

入っていくと鬱蒼と茂った緑の中に、平屋のバーレストラン。

うーん。なんて気持ちいい場所なんだ。。バーは夕方からオープン。夜も心地いいだろうなぁ。このワンシーン、このクオリティー。日本には少なすぎる空間。

同じ敷地の中に、いろんなタイプの建物があって、それぞれの空間が活かされています。新婚さんの撮影は、10組くらいいたんじゃないだろうか。

ここで良さそうな台湾料理屋を発見!入ってみたのは「青葉新樂園」という台湾料理のお店。「青葉」という有名な台湾料理屋があるのですが、ここではリーズナブルにビュッフェで食べることができます。

何十種類とあるので、つぎつぎと食べながら... この「華山1914創意園区」について調べていると、感心することが次々と書かれているではないですか。ふむふむ。

まず、ここは日本が統治していた時代の1914年に酒造工場として建てられたと。それが1945年に日本の統治が終わると台湾の政府に引き継がれたわけですが、やがて役目を終えると、約10年間も放置されていたのだそうです。

そして、1997年に起きたのが、台湾の劇団「金枝演社(Golden Bough Theater)」による無断上演。これが不法占拠だと罰せられたことで、地元のアーティストや俳優、クリエイターたちが、この場所の開放を求めはじめると、1999年には工場再興を目的としたNPOが立ち上がり、少しずつアーティストたちに場所が提供されるようになったのだそう。

そして、より一般の人にも開いた文化発信、クリエテイィブスペースを目指して、2005年から一帯を封鎖して整備がし直され、2007年に「華山1914創意園区」としてオープン!

なんか、モノの受け継がれ方と活かされ方のストーリーが完璧じゃないですか! 歴史的価値ある建物をそそくさと壊さず、とりあえず残しておいたら、そこにやや強引でありながら、使わせろとアーティストたちが立ち上がり、それを政府は却下するかと思えば、むしろそれを取り込んで資金を投入し、整備することで、市民にとっても、また観光資源としても有効な施設に昇華してしまうという。

場所は台北駅から歩いて行くことができる一帯。どう考えても都心の一等地ですからね。目先の利益だけ考えれば、巨大なビルを建てて稼ぐのが、日本を含めどの国にもありがちなものです。

でも、そんなことはしない。歴史や過去をうまく紡いで、市民が活用、発信できる場所にしてしまうことが、目先の利益よりも、都市として大きな財産となり、活力を持てるということを台湾という国が確信して実施していることに違いありません。

で、東京ならどこかなぁ、と妄想してみたら......ぴったりの場所がありました。築地市場!あそこが、都民の誰もが使える、楽しめる、クラフトからアートまでを包括するクリエイティブパークになるなんて、最高じゃないですか。魚市場の歴史を継承したコンテンツだって何でも考えられる。

食後はさらに地元のクラフト系ショップなどを巡っていたら、台北ファブカフェを発見! 日本は渋谷にあるファブカフェ。そっか、台北はここにあったか。まさにぴったりの立地です。

中は広々。

noizの大野友資さんによる書籍『360°BOOK 富士山 Mount FUJI』も。

市民が、こういう作品を商業ビルの中でただ手に取るのと、こういった文化施設の中で、さまざまな体験をしてきた先で触れるのでは、まったく触れる人の意味や価値も変わってくるんですよね。ここでは、市民はより能動的に手に取るから。

そうなんですよ。商品を売るから店をつくる、アートを見せるから美術館をつくる、ってのは、普通のことのように思えて、実は作り手サイドの偏ったモノの見方なんです。市民の日常は、もっとシームレス(隔たりがない)んですよね。シームレスな日常の中に、自然と入ってくる在り方、そのためのデザインって何だろう?

で、そこを突き詰めていくとグランドレベルという横でつながる概念と、それぞれのエッジのデザイン。日本の商業施設や文化施設、オフィスビルなども、そこの操作を間違えて、魅力が半減しているのが、ほとんどなんですよね。

と、そんなことを悶々と考えながら、「華山1914文創園区」を後に。

しかし、台北、すごいよ。

このあとは、台北駅まで歩いて。

そのあとは、何となく気になる「富錦街」へ行ってみようかなと。

次回もお楽しみに!


※ここでは紹介仕切れないほどのコンテンツが詰まっているので、知りたい方は台北ナビをどうぞ。http://www.taipeinavi.com/play/216/

※こちらは「華山1914文創園区」のホームページ。ここでは、展覧会やイベントはもちろん、ファッションから教育、音楽、映画まで、いろんな講座も開かれているそう。http://www.huashan1914.com/

おおにし・まさき
http://glevel.jp
http://mosaki.com

世界の日本のグランドレベルの話を
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グランドレベル研究所*台湾・台北

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