父が植物状態になって思ったあたり前のこと

前回の投稿からの経過
主にわたしが感じたことを書こうと思います。

内容は

▪️わたしが元気になるのに、必要だったこと
  ・納得するような行動が取ること
  ・きちんと家族のそばにいること
  ・妻が支えてくれたこと
▪️父親の急変で感じたこと
  ・もっと親孝行しておけばよかった
  ・全力で事業をがんばろう

というシンプルな内容です。

(父親の経過についても一部記載するので、少し暗い気分になるかなと思います。
 なので、ここで読み終わっていただいて、まったくOKです)

わたしの知人・友人に、元気にやっているということが伝えたいと思って
書いているのがメインです。

今日は、名古屋の産婦人科学会に参加していましたが
何人も、それこそ他大学の教授からもお声がけいただき恐縮しましたし
立場を問わず、声をかけていただけるのは、本当にありがたかったです。

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父親が低酸素脳症になったことで
患者家族になった私は
改めて、医師の働き方を考えることになった。

もっと、みんなに「医師の働き方」を考えてほしい!

と思い、こちらに記載した。

結果から伝えると
わたしの父親は現在、低酸素脳症による植物状態である。

ポジティブ思考のわたしは
心のどこかで「父は以前のように戻る」と期待をしていたが
まだ、父は目を覚ましていない。

3/25 胆石処置時の薬によるアレルギー反応で窒息となり
低酸素脳症という低酸素によって脳がダメージを受けた状態となった。

発症1週間は手術中のように、強い鎮静薬によって
わざと目覚めることのないよう
「脳保護」を行う治療が行われた。

鎮静薬によって呼吸も止まるため、人工呼吸器管理を行っていた。

最初の4日間は、妻と2人で病室に泊まり込み
父親の状態を逐一観察していた。

3/31 自身の事業のために東京に戻ったが
会社の仲間から
「こっちはやっておくので、代表は家族の傍にいてください」
という本当にありがたい言葉をもらって
4/1 実家に戻った。

同日、MRIと脳波検査を行った。

脳波検査のために、また脳保護の期間を終了するために
鎮静薬であるプロポフォールをOFFにした。

数分で効果のなくなる薬だが
父親は一向に目が覚める様子がなく
強い不安を感じた。

MRI、脳波検査の結果から
脳の広範囲に、低酸素のダメージがあることが判明した。

脳外科の医師より
「今後、意識が戻る可能性は極めて難しい」と伝えられた。

初めて、父の横で泣いた。


その後、前週と同じように、家族、親族たちに何度も電話した。


親族の中には「これは、医療ミスだろ」と言う者もいた。

この病院で同じ処置、同じ薬を行うことが3回目であったこと
処置時の体制がうつ伏せであったこと
体動が強かったが、前回同様も同様で
窒息の苦しみではなく、処置によるものと思われたこと
体動が強かったために、酸素のモニタリング測定が難しかったこと

「わたしが父の処置をしていても同じことになったかもしれない」
そう伝えた。

病院を訴えることで、父親の状態が良くなるなら、そうするが
そんなことはない。

わたしは家族に、誰かを「恨んで」生きていくことはして欲しくなかった。
自分もしたくない。
それは、父も同じだと思う。

実際、病院側の不備がゼロとは言えないかもしれないが
今回のようなことは、医療が不確実であることからも
完全に避けることは、できない。

ただし、病院側に同じことが起きた場合に
 ・急変を早期発見できるような対策を検討してもらうこと
 ・記録をきちんとつけるように改善すること
を提案した。

父のような人、そして悲しむ家族・知人が
少しでも減るような仕組みに変えていきたい。

もともと相談していた大学の同期が
「俺の病院でやればよかった」
と言ってくれた。

全然、そんなことはない。
けど、心遣いはありがたかった。

わたしが医師としてできたことは
父の状態が改善しうる方法を模索することくらいで

検討したこと
・高圧酸素療法の適応
(低体温療法は、心肺停止後なので今回は適応外)
・てんかん専門医 / てんかん専門病院を探す

父親の急変後、神経内科が不在の病院だったので
友人の神経内科医、てんかん専門医を持つ先輩には
何度も相談に乗ってもらい、本当に心強かった。

また、他大学教授で、高圧酸素療法に関する専門医を持っている先生に
突然メールをしたが、A4 2枚の長文で丁寧に説明してくれた。

そして、会社のメンバーや友達から励ましの連絡をもらえたことは
本当にありがたかった。


起こってしまった以上、我々にできるのは
納得して、前を向いて生きていくことだと思う。

母親への説明も同じようにした。

 父ちゃんが目を覚ますのは、奇跡的な確率。
 1%もなくて、万に一つ。

 これからは、母ちゃんは母ちゃんを一番大事にして生きていかないとだと思う。
 父ちゃんのために過ごす時間はあっていいと思うけど
 長い時間でなくていい。
 自分を一番大事に考えて、生活をしていった方がいい。
 俺も、そうする。
 これまでよりは、少し実家に帰ってくる機会は増えるけど
 自分の生活を大切にして生きていく。

 父ちゃんは、人に迷惑をかけて生きていきたいとは思わない人だった。
 そして、好き勝手に生きた、幸せな人だった。
 
 だから、目が覚めたら奇跡的で、そうなったらいいなーと思いながら
 それこそ年単位になるから、ゆっくり構えて生活した方がいい。

素直な、わたしの言葉だった。

わたしは、今、前を向いて生活している。
たったの3週間でそう思えているのは

 父の傍にいて、経過を観れたこと
 きちんと父の状態を悲しめたこと
 一番大切なのは、残された者の生活だと思ったこと

だったからだと思う。

そして、妻や親族が傍でずっとわたしを支えてくれたことが本当に大きい。


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強がっている部分、無理している部分がゼロとは言わないし
夜中まで無駄に「彼氏彼女の事情」の動画を見るなんて謎な日があったりするけど

笑顔で、元気にやっています。

それだけ、友人、知人には伝えたいと思って、投稿しました。
すごく心配してくれているのが伝わったから。

本当に、ありがとう。

全員に、直接話をすることは現実難しいので
こちらでご報告しました。

そして、今回のことで思ったことは、ぜひみんなにも共有したい。
  ・親孝行は、できるうちにした方がいい
  ・全力で事業をがんばろう

親は、自分よりも早くいなくなるのに、なぜか危機感が薄い。

あたり前だと思っているからなんだろうけど、そうではなくなってから
後悔をしても、本当に遅い。

そして、生きているものは、特に元気なうちは何でもできるのだから
やり切るべく、動いていくことができる。

自分は、社会を変えられると本気で思っている。

全力で事業を作っていこうと、改めて思った。

友人・知人への報告のつもりで書いていたが
いつの間にか、自分のために書いていることに気づく。

何か迷った時には、この気持ちに帰ってこよう。


前を向いてやっていこうと思っているので
引き続き、よろしくお願いします!!!!!!!!


2019/04/14   
あずかるこちゃん 園田  正樹 

笑顔で、前へ!!!!!!!!!

CI Inc. Founder / CEO 産婦人科医(東京大学 産婦人科) 産科婦人科学会 未来委員会、医療改革委員会、中央専門医制度委員会