見出し画像

R6年度北大ロー(前期) 再現答案

(すべて無料で読むことができます。)

こんにちは。たちでらまさきと申します。
今年の北海道大学 大学院法学研究科 法律実務選考の入学者選考試験【前期日程】(既習)に合格しまして、2024年春から通う予定です。(以下、北大ローで統一します。)

この記事が読まれているということは、北大ローの試験直前で、過去問解いたけど、どっかに再現答案落ちてないかな~と探されたのでしょうか。
もっと前から準備している方が見つけてくれたのかもしれませんね。
僕は、試験1週間前くらいになって初めて北大ローの過去問を見たので、直前だったとしても焦らずに勉強していただければと思います。

北大ローの過去問を解くにあたっては参考答案がなく(答案構成レベルのものですら見つからなかった)、出題趣旨とにらめっこしながら問題演習をする羽目になりました。

未来の後輩さん達にはこんな目に遭ってほしくないとの思いで、(詳しめな)答案構成だけは頑張って書きました。北大ローは科目別の基準点というものが設定されており、それを下回るとその科目については未修の授業を受けないといけないことになっています。一応全科目について基準点は超えていたようなので、最低限の質は担保されていると思います。

本記事を読んで、この程度の答案でも受かるのか(基準点を超えるのか)といった相場観をつけてもらえると嬉しいです。(得点開示がなされ次第、得点も追記します。)

今年はYUTAさんという方も再現答案を掲載しているので、こちらもご覧になっていただき、いいところをつまみ食いすると良いのではないかと思います。

各科目、設問ごとに「感想」を付けています。試験中の思考過程だったり、試験後の気持ちだったりを書きなぐってあります。筋を大きく外した問題でも自分が考えたことを最後まで書けばそれなりの評価はもらえたので、知らない問題、論点が出たとしても諦めずに筋道を通して書いておけば何とかなります。(北大の先生方は学問厨が多いから、学説の対立問題とかよく出るんだよねってマックのJKが言ってました。)

勉強を頑張ってきた自分が分からないんだから、この会場にいる他の人達が分かるわけないだろ!くらいの精神状態でいるのが良いのではないでしょうか。そういった心持ちで、未来の後輩の皆さんも諦めずに最後まで書き切りましょう。 


答案構成の部分についてはこの記事の末尾にwordファイルを貼っておきました。内容は本記事と同様ですが、体裁はwordの方が見やすいかもしれないので、そちらをダウンロードしていただいても構いません。
以下、再現答案です。

憲法

第1問

1.        プライバシー権

⑴    制約

Xは前科の含まれたウェブサイトのURLを公開されている。プライバシー権とは、自己に関する情報を管理する権利も含まれると解する。本件では、自己の管理が及ばない形で情報が公開されているため、プライバシー権の侵害がある。

⑵    私人間適用

もっとも、憲法は国家対私人の関係を定めたものであるところ、Yは私人であるため、適用がない?

→間接適用説

本件は、不法行為の一般原則に憲法性を読み込む。

⑶    公共の福祉

プライバシー権は13条により保護されるが、本件検索結果の削除はYの利用者の知る権利を制約することになるため、公共の福祉の観点から内在的制約を受ける。

→比較衡量

(Yの営業の自由ではなく、Yの利用者の知る権利を比較衡量の対象として持ち出したのは、経済的自由より精神的自由の方が優位な権利であり、被告としてはそちらを主張するのが自然であると考えたためです。)

⑷    侵害の程度

前科は最も知られたくない情報の一つ。

ウェブサイトは削除されない限り存続するから、半永久的に権利侵害がある。

(プライバシー権が保障される根拠は私生活領域の保護にあるから、情報収集・利用過程よりも情報公開過程の方が私生活への影響が大きく、侵害の度合いが大きいという一般論を入れれば早稲田大学江沢民についても触れられるかもしれない。)

⑸    知る権利

本件事実が書き込まれたウェブサイトが見られなくなるわけではなく、制約される権利は相対的に小さい。

⑹    本件検索結果の表示は違憲、違法。

→削除の請求は認められるべき。

以上

・感想

三段階審査ってどういう事案なら使えるんだっけ?私人間適用の場合は使えないよね…だって、法令違憲じゃないし。じゃあどうやって書けばいいんだ…?という思考過程の下で何とか絞り出したのが、プライバシー権と知る権利の比較衡量論です。

答案では、前科照会事件という判例名こそ出さなかったものの、「前科は最も知られたくない情報の一つ」と書いたことで知っていますよ~アピールはできたと思います。ただ、本問のように「関連する判例および学説に触れつつ」と指定されている場合には、ちゃんと事件名を明示する方が安全だと思います。

 

第2問

(すみません。全然再現できませんでした。)

1.         

⑴    全国民の代表

自己の信念に基づいて行動。

政党は民意を反映させるための現実的な手段。

⑵    社会学的代表

国民の意思を反映。

政党も民意反映のために重要。

⑶    拘束名簿比例代表制とはいえ、全国民の代表。

→離党しても議員の地位は認められる?

除名なら〇、自発的離党は×

本件は除名だから地位あり。

以上

・感想

とにかく選挙制度の問題が嫌いで、問題集(アガルートの重要問題習得講座)を簡単に2周しただけだったので全く書けませんでした。故に、再現度も低めです。すみません。

統治なんてどうせ誰も完璧な答案は書けないので、ちょっとでも関係ありそうなことは書けるだけ書いておいた方が良いと思います。恐らく、43Ⅰ→自由委任の原則→除名処分と議員資格の関係 の順に述べられていればそれだけで相対的にかなり上位の答案なのでは?

刑法

第1問

1.        殺人罪

⑴    ハサミで刺す→結果発生の危険性大

死んでもいい→故意あり

成立

⑵    正当防衛

i.  急迫不正

…法益侵害の危機が現在or間近

AはXの顔面を殴っている→法益侵害が現在

なお、「襲撃されると考えて」→急迫性は否定しない。

ii.  防衛の意思

「権利を防衛するため」の文言から必要。

「反撃ができるように」しているから防衛の意思ない?

→積極的加害意思がなければ防衛の意思を認める。

→そのような事情はないから、防衛の意思〇

iii.  やむを得ず

緊急避難が補充性を要求することとは異なり、正当防衛は対不正だから、行為が相当であれば足りる。

威嚇してもなお殴りかかってきたことに対して、ハサミを刺している。

たしかに、体格が同程度の人に顔面を何度も殴られることは危険。

しかし、腹部は身体の枢要部であり、そこにハサミを刺すことは生命侵害の危険性が極めて高い行為。

よって、相当性なし。

iv.  過剰防衛が成立する。

⑶    殺人罪が成立し、過剰防衛として任意的減免。

以上

・感想

「正当防衛は刑法総論の花形!」って北大の中央ローンで散歩中のおばあちゃんが言っていたので、それなりに対策はできていました。

正当防衛の要件について淡々と当てはめただけですが、論点がそれしかないので、問題文に挙げられた事実を少しでも多く摘示し、評価(意味づけ)することを意識しました。

 

第2問

1.        名誉棄損

⑴    公然

…不特定多数に

→新聞だから〇

⑵    事実を摘示

「A教授は…賄賂を収受している」

→事実の摘示〇

⑶    名誉を毀損

→当然に〇

⑷    名誉毀損罪成立

⑸    もっとも、公共性の特例。

政策説:公共の利害の観点から、公共性がある事実については成立要件を加重する見解。(これは全く分からなかったので適当なことをとりあえず書いたものです。管見の限り、このような見解はありません。)

自説→故意阻却説 ∵反対動機が形成されない。

⑹    230の2の検討

国立大学の教授が賄賂収受→公共の利害〇

専ら公益→〇(知らんけど。新聞なんて収益のために発行してるんだから専ら公益なんて言えなくね?と試験中は思っていた。)

真実性の証明→×

もっとも、真実であると誤信する相当な理由があった(調査資料、証拠の存在等)場合には故意阻却。

→「徹底した調査を実施」「確実な資料・証拠に照らして…真実であると確信」

→故意阻却

⑺    Xは名誉毀損罪の罪責を負わない。

以上

・感想

は?そんなもん知るか。こんなの書けなくても受かるだろ。という気持ちで筆を走らせていました。この論点について、少なくとも趣旨規範ハンドブックでは重点が置かれていませんでしたから。

・公共の利害に関する事実…一般の多数人が民主的自治を行う上で知る必要がある事実(客観的に判断)。

・専ら公益…公共の利益を増進させることが主たる動機となっていること。

 

法的性格について

①   処罰阻却事由説(最判S34・5・7)

②   故意阻却説(最判S44・6・25)

①から②に判例変更されたことを踏まえて、自説を論じれば良かったのだと思います。

しかし正直なことをいうと、学説の対立とか興味ないので知りません。

 

北大ローの刑法第2問は毎年学説の対立を書かせていますが、ぼくみたいに政策説ガーなんて意味不明なことを書いていてもなんとかなります。北大ローのためにわざわざ学説の対立を押さえなくても、自説から論証できるようにしておけばそれで十分だと思います。

 

民法

問1

1.        AC間の法律関係

⑴    AはCに対して本件土地の明渡請求をする。要件:A所有、C占有

C占有は問題ない。解除による原状回復でA所有。

→認められるのが原則

⑵    Cは自己が第三者(545Ⅰ但)に当たると反論する。

545Ⅰ但は解除の遡及効からの保護を趣旨とする。

→第三者とは、解除前の第三者をいう。

→Cは解除前の第三者(解除:9月15日、購入:7月1日)

⑶    第三者の登記の要否

帰責性のない解除者に対して不利益を甘受させるものだから、第三者は権利保護要件としての登記を要するものと解する。

→Cは登記なし。

よって、保護されない。

⑷    AのCに対する本件土地の明渡請求は認められる。

(不当利得を完全に失念していました。)

2.        AD間の法律関係

⑴    Cと同様に明渡請求をする。

⑵    Dも第三者に当たる(賃貸:7月10日)

⑶    土地についての登記がないが?

→借地借家法10Ⅰ

→土地上の建物の保存登記→〇

保護される。

(借地借家法10Ⅰは「対抗することができる」と規定しているので、自説として採用した、第三者は権利保護要件としての登記を要するという立場とは親和的でないか?そこについては誤魔化してしまった。)

⑷    AのDに対する本件土地の明渡請求は認められない。

⑸    もっとも、Dが保護されるのは賃借権の範囲のみ。

賃貸人の地位はCからAに移転するため、AはDに対して以降の賃料請求が可能。

問2

①未登記

1.        CE間

⑴    EはCに対して明渡請求をする。

⑵    Eは未登記だから所有権をCに対抗できない。

⑶    認められない。

2.        DE間

⑴    同様に明渡請求をする。

⑵    Eは未登記だから所有権をDに対抗できない。

⑶    認められない。

②登記済み

1.        CE間

⑴    明渡請求。

⑵    登記あるから対抗できる。

⑶    明渡請求可能。

2.        DE間

⑴    明渡請求。

⑵    登記あるが、Dも借借で保護。Dの方が早いからD勝ち。

⑶    明渡請求不可。

⑷    もっとも、賃料。

以上

・感想

ごく普通の問題だなという印象を受けましたが、シンプル故に理解不足が露呈しました。

問2では、未登記の場合対抗できないとしましたが、Cが保護されない結果として確定的無権利者となり、第三者(177)には当たらないから、明渡請求可能とするのがおそらく正しかったですね。

また、土留めの工事で有益費を支出してるから留置権が主張できるのかなとも考えましたが、時間がなく答案に反映させることができませんでした。おそらく留置権の主張っていうのは考えすぎで、もっとシンプルに有益費償還請求を考えればよかったのだと思います。問題文読む+答案構成にかけられる時間は長くても15分~20分なので、全員が書いてくるような大論点を落とさないようにすれば、ぼくのように不当利得や有益費償還請求を落としても耐える程度の答案にはなります。

北大ローは試験時間が短いので、論点だけでなく、時間配分にも気を付けてください。

 

商法

問1

1.        退職慰労金 役会一任の可否

⑴    退職慰労金は「報酬等」(361Ⅰ)に当たるか。

「報酬等」とは、職務執行の対価として受けるものをいう。

退職慰労金は、給料の積み立て的な側面がある→職務執行の対価

よって、退職慰労金は「報酬等」に当たる。

⑵    報酬等は額について総会決議を要する(361Ⅰ①、②)。

趣旨はお手盛り防止。

退職慰労金は額が非確定だから、具体的な算出方法について総会決議が必要。

もっとも、具体的な算出方法が定められていれば、お手盛り防止の趣旨に反しないから取締役会に一任可能。

→甲社は慰労金の額を算出する内規を定めている。

よって、取締役会一任は適法。

⑶    本件退職慰労金の支払は適法。

以上

・感想

報酬じゃなくて退職金か。判例の規範全く浮かんでこないけど、報酬と同じようなノリで、お手盛り防止を踏まえて問題文の事情から規範をでっち上げちゃえば平気でしょ(楽観)。

↑こんなダメな受験生にならないように重要な判例規範は考慮要素まである程度は押さえておくと良いです。今回の判例は、最判S39・12・11ですね。

 

問2 

1.         

⑴    非公開会社は株主総会の特別決議事項(199Ⅱ、309Ⅱ⑤)。

公開会社は取締役会決議事項(201Ⅰ、199Ⅱ)。

⑵    非公開会社は家族経営等の小規模会社が多く、会社にとって望ましくない者が株主となることを防ぐ必要性がある。

⑶    一方で公開会社は所有と経営が分離されており、株主の個性が問題とならない。

⑷    以上より、公開会社は非公開会社に比べて要件が緩和されており、決定機関が異なる。

以上

・感想

現場思考で理由付けを考えました。リークエには、非公開会社には株主の持株比率維持の要請があるためとの記載がありました。これは、非公開会社は株式の譲渡制限があることから、買い増しが困難という事情によるものです。

ぼくが答案に書いた理由付けは定款による株式の譲渡制限の趣旨から考えたものですが、これも完全に間違いかと言われるとそうでもないように思えます。

結局、商法もこの程度の答案で十分合格ラインには乗るということでしょうか。

 

民事訴訟法

問1

1.        固有必要的共同訴訟

⑴    通常共同訴訟と固有必要的共同訴訟の区別は、訴訟の目的が「合一にのみ確定すべき」か否かによって決する。

「合一にのみ確定すべき場合」…管理処分権が共同的に行使されるかを基準としつつ、訴訟法的観点も考慮に入れる。

⑵    訴訟法的観点とは、紛争の一回的解決などをいう。

2.        遺産確認の訴えの利益

⑴    確認の訴えの利益は、①対象選択が適切であり、②方法選択が適切であり、③即時確定の利益がある場合に認められる。

⑵    対象選択

…自己の現在の権利・法律関係の存否に関する積極的な確認

遺産確認は、財産が共有状態にあることの確認である。確認された時点で自己の権利の範囲が確定することから、自己の現在の権利・法律関係の存否に関する積極的な確認といえる。

⑶    方法選択

給付の訴え、形成の訴えによることはできない。

⑷    即時確定の利益

…権利・法律関係の侵害の危険が現在or間近

処分されたら困る(もうちょっとちゃんとした文ではありますが、内容はこんな感じだったと思います)

⑸    確認の利益あり

3.        理由

⑴    遺産となる財産は共有状態にあることから、管理処分権が共同的に行使されるといえる。

⑵    相続財産は有機的一体をなすため、全員について合一に決定されないと紛争の一回的解決ができない→訴訟法的にも固有必要共同訴訟とすべき。

⑶    よって、遺産確認の訴えは固有必要的共同訴訟であると解される。

以上

・感想

(心の中)うわ…「説明しなさい」じゃん…むりぽ
とりあえず、合一にのみ確定すべき場合と確認の利益書くか。
これで説明になってるのかわからないけど、、

3.では、「合一にのみ確定すべき場合」にあたるから、固有必要的共同訴訟である。という論理を書いたのですが、その前提として遺産確認の訴えは、権利義務が数人について共通→共同訴訟ということを書くべきでした。

「遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることを既判力をもって確定し、これに続く遺産分割審判の手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争わせないことによって共同相続人間の紛争の解決に資するのであるから、…合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟である。」(最判H元3・28)(太線加工は筆者)

この判例は読んだことありませんでしたが、結果としては似たようなことが書けたように思います。結局は、合一にのみ確定すべき場合…管理処分権が共同的に行使されるかを基準としつつ、訴訟法的観点も考慮に入れる。という大規範を把握していれば何とかなるんですね。

 

問2

1.        第1訴訟におけるYの主張

⑴    自白

…期日における、相手方の主張と一致する、自己に不利益な事実を認める旨の陳述。不利益とは、相手が証明責任を負うこと。事実とは主要事実をいう。

売買契約の締結の事実を認める→契約の成立は売買契約に基づく代金支払請求の請求者が立証する責任を負う主要事実→自白に当たる。

⑵    抗弁

…原告の主張する請求原因と両立し、かつ、請求原因が存在することで生じるはずの権利の発生を障害する事実の主張。

既に10万円を弁済した事実の主張→弁済の抗弁

対等額で相殺する旨の意思表示→相殺の抗弁

2.        第1訴訟の既判力

⑴    裁判所は①②③をすべて認めている。

Y→Xの100万円の債権の不存在につき既判力が生じる(114Ⅰ)。

10万円の弁済が認められているから、X→Yの100万円の債権から差し引き90万円の不存在につき既判力が生じる(114Ⅱ)。

(なお書きで、「両債権が相殺によって消滅したことにも既判力が及ぶという見解はとらない」と書きました。)

⑵    後訴は同債権(100万円)の返還請求権を訴訟物としている。これは前訴の既判力に抵触する。

⑶    したがって、受訴裁判所は全部棄却する旨の判決をすべきであると考えているものと考えられる。

以上

・感想

X→Yの債権は10万円分は残存しているはずなんだから全部棄却になるのはおかしいような気がするなぁ。100万円の返還請求じゃなくて、残部10万円の返還請求をしなかったのがダメなのかな?それとも、Y→Xの10万円の弁済が認められるから、債権が残らないって考えるのかな?でも、受訴裁判所は10万円の弁済について何も心証を抱いていない状態で全部棄却すべきと考えていると書いてあるように読めるしなぁ…なんて悩んでいたら、かなり時間を使ってしまいました。

 

民訴全体を通して思ったことは、とにかく時間がないということです。こんなの40分で解く問題ちゃうやろふざけんな怒 との気持ちで書いてました。もっとも、民訴って受験生の大半が不得意なので(たちでら調べ)、ちゃんとそれっぽいものを書き切るだけで相対的には浮くと思います。

 

刑事訴訟法

問1

1.         

⑴    職務質問の法的根拠

「警察官は…疑うに足りる相当の理由のある者…を停止させて質問することができる」(警職法2Ⅰ)

⑵    所持品検査の法的根拠

職質に付随して、任意で行われる限り認められる。

(どういう文脈で書いたのか忘れましたが、職質は車両を運転するに当たって当然に受忍すべきものといった旨の記述をしました。)

問2

1.        所持品検査の適法性

⑴    所持品検査は、捜索に至らない程度の行為は、強制に渡らない限り、必要性、緊急性、これによって害される個人の利益を考慮し、相当と認められる場合には許される。(判例規範がうろ覚えでした。結局は、強制→任意の限界なんだよなと覚えていたので、似たような規範を立てられました。)

⑵    (時間がかなりあったので、あてはめは相当頑張りました。が、あてはめについては問題用紙に下書きをしていないので、再現度低めです。)

エンジンキーを引き抜き取り上げる行為は有形力の行使には当たる。

もっとも、捜索には至らず、重要な権利利益を侵害するものとも言えないため、強制にわたらない。

(必要性、緊急性)

「わざと目が合わないようにしている」→警察に声をかけられると都合が悪い?

「落ち着きがなかった」→警職法2Ⅰの「異常な挙動」

「酒の臭いがした」「自動車を発進させようとした」→飲酒運転をしようとしているから止める必要性

アルコールは12時間もあれば体内から消失する→現場で呼気検査をする必要性、緊急性

(害される利益)

自動車を発進させる権利?

必要性、緊急性に比して小さい。

⑶    具体的状況の下で相当。

⑷    適法。

以上

・感想

民訴で精神的に疲れていたので、問題の分量が少なめだったのが救いでした。

北大ロー前期は証拠法から出るとの風のうわさ(アガルートのサイトだっけ?忘れちゃった)を耳にしていたので、直前は証拠法(特に自白、伝聞)を中心に勉強していたのですが…
(どうやら前期が捜査で、後期が公判のようです。勘違いしてました。)

まあ、点数はそんなに悪くないと思っています。

 

行政法

1.        提起すべき訴訟

⑴    抗告訴訟ができるか。処分性の検討

「行政庁の処分」(行訴法3Ⅰ)

…公権力の主体たる国または公共団体の行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
 i.  公権力性〇
ii.  直接性〇
iii.  法効果性、具体性〇
iv.  処分性あり

(処分性を否定するのが本筋のはずです。)

⑵    原告適格

「法律上の利益を有する者」(行訴法9Ⅰ)…当該処分により、自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。

法律上保護された利益とは、不特定多数の具体的利益が一般公益に吸収されず、個々人の個別的利益として保護されるようなものをいう。その判断は、法令の趣旨・目的と利益の内容・性質を考慮して行う。

i.  都市計画法は個々人を保護する規定を置いていないようにも思える。

しかし、公聴会開催の規定がある(16)他、不服申立ての規定もある(50)。

これらを踏まえると、個々人の利益を保護する趣旨があるといえる

ii.  原告適格あり。

⑶    その他訴訟要件

i.   H県に対して訴訟提起→被告適格〇
ii.  出訴期間〇

⑷    以上より、取消訴訟を提起すべき。

以上

・感想

「都市計画法に基づく工業地域指定の効果は、区域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なものにすぎない」(最判S57・4・22)という判例に言及した上で、処分性を否定して、実質的当事者訴訟の訴訟要件を検討するのが正解筋だと思います。

ぼくは本番で実質的当事者訴訟を書く勇気が出なかったので(?)、覚えていた論証をペタペタ張ってしまいました。行政法に即死点がついて不合格になることも覚悟していましたが、結果的には、実質的当事者訴訟のzの字もないのに基準点を超えたようなので採点はかなり甘くやってるのだと思います。

 

総括

行政法の手応えがかなり悪かったので、そこについては基準点を割っても仕方ないかなとは思いつつ、全体としてはさすがに受かっているだろうと思っていました。というか、これで落ちるなら仕方ないという達成感?のようなものがありました。

最終的に北大ローの過去問はR5前期・後期、R4前期の計3回分を解きました(答案構成のみで、起案はせず)。
少ないほうだとは思いますが、北大ローの試験は基本の理解ができていますか~???と問いかけてくるものが多い印象で、聞かれたことに対してそれなりの理解を示せれば、少なくとも「耐える」答案は書けるはずです。

偉そうなこと言っていますが、ぼくは北大の中でも成績は低いほう(贔屓目に見ても平均くらい)で、学説の理解や細かい判例の理解などは全く追い付いていない状態でした(その理解不足が刑法第2問や商法に表れている)。
そんなギリギリの状態でも、ドが付くほどメジャーな論点についてはある程度理解できており、それが合格に繋がったものと思います(今年でいうと、民545の第三者、177の第三者、正当防衛の要件等)。

ですので、殊北大ローに関して言えば、応用論点にまで手を広げすぎず、誰もが当たり前に書いてくるところで書き負けないような勉強をするのが結果に繋がりやすいように感じます。
一合格者のポジショントークにすぎないのですが、大きく外れてはいないと思いますので、自分に合う部分は取り入れていただければ幸いです。

以上、本記事が少しでも未来の後輩さん達の役に立てば嬉しいです。
ご指摘、質問等ございましたら、コメントやTwitterのDMを送ってください。

それでは、北大ローでお会いしましょう
⊂・ー・つ


もし、この記事が役に立ったよという方がいらっしゃいましたら
↓こちらもよろしくお願いします<(_ _)>

ここから先は

0字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?