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生成AIのプロンプト個人情報保護法論点, ChatGPT plugin, etc - Generative AI 情報共有会 #6

今週、9月5日(火)にZENKIGEN社内で実施の「Generative AI最新情報共有会」でピックアップした生成AI関連の情報を共有します。

この連載の背景や方向性に関しては 第一回の記事 をご覧ください。


Google DeepMind、「画像生成AIで生成した画像」に電子透かしを入れるツール公開

AIが生成した画像に電子透かしを入れ、識別するためのツール。フェイク画像の拡散を防止するためなどに重要。

これまでの画像への電子透かしは、スタンプのように画像の上に押される手法が多く、簡単に編集で除くことができたため不十分だったが、本手法は画像のピクセルに直接埋め込むため除去が難しく、人間の識別が困難で、ツールで検出可能。

SynthIDによる画像への電子透かしの例(左が電子透かし入り、右が電子透かしなし)
SynthIDによる画像への電子透かしの例(左が電子透かし入り、右が電子透かしなし)

Googleの機械学習プラットフォーム「Vertex AI」上の画像生成AI「Imagen」で利用可能。
AIが生成した画像に対する電子透かしの仕組みをクラウド上で提供する最初のプロバイダーであることをアピール。

Google Cloud is the first cloud provider to offer a tool for creating AI-generated images responsibly and identifying them with confidence.

AWSのLLM開発支援に17社が採択

日本国内の企業・団体による大規模言語モデル開発に対し、以下の支援を提供するプログラム。

  • GPU やカスタムシリコン (AWS Trainium) を搭載した Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンスなど、適切な計算機リソースの選定及び確保に向けたガイダンス。

  • AWS 上で事前学習を実施する際の、クラスター管理や分散学習のパフォーマンスチューニングなどの技術的な支援。

  • AWS 上での LLM の事前学習に活用できるクレジットの提供 (事前学習にかかる計算機リソースのコストを一部負担)。(総額600万ドル規模)

  • Amazon SageMaker JumpStart や AWS Marketplace への掲載を含めたビジネス支援。

採択企業(約60社の応募の中から17社が採択)
カラクリ株式会社、株式会社サイバーエージェント、ストックマーク株式会社、Sparticle 株式会社、Turing 株式会社、株式会社 Preferred Networks、株式会社 Poetics、株式会社松尾研究所、株式会社マネーフォワード、株式会社ユビタス、株式会社 Lightblue、株式会社リクルート、株式会社リコー、rinna 株式会社、株式会社ロゼッタ、株式会社わたしは、他1社。

11月までLLM開発支援を行い、12月に成果発表会(開発した LLM のデモ等実施)。

生成AIへのプロンプト入力時における個人情報保護法上の論点まとめ(前編)

生成AIへのプロンプト入力時における個人情報保護法(個情法)論点フローチャート(ブログ から引用)
白色の帰結 : 個情法に抵触せず利用できる可能性大。
グレーの帰結 : 個情法に抵触するか(目的外利用)、本人(プロンプトに含まれる個人情報の主体)からの同意取得が必要になるため、適法に利用するためには一定の困難が生じる可能性がある。

今回紹介するブログは前編で上記フローチャートの④までの解説となっている。

① 入力するプロンプトは個人情報か

入力するプロンプトが個人情報にあたらなければ、原則として個情法の問題とはならない。

個人情報とは?
生存する個人に関する情報であって、かつ、以下のいずれかを指す(法2条1項);

  • その情報に含まれる記述等によって特定の個人を識別できる情報(その情報単独で特定の個人を識別できる場合)

  • 他の情報と容易に照合できることによって特定の個人を識別できる情報(その情報単独では特定の個人を識別できないが、他の情報と容易に照合できることによって特定の個人を識別できる場合)

  • 個人識別符号を含む情報

② 利用目的の範囲内か

個人情報取扱事業者が個人情報を取り扱うにあたっては、利用目的をできる限り特定したうえで(法17条1項)、特定された利用目的の達成に必要な範囲で取り扱わなければならない(法18条)。

利用目的の範囲を超える取扱いをする場合は、利用目的の変更(法17条2項)や、仮名加工情報や匿名加工情報への加工を検討する。

③ 入力するプロンプトは個人データか

個人データを第三者に提供する場合、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要がある(法27条1項)。

個人データとは?
個人情報データベース等を構成する個人情報。

例(名刺):

  • 個人情報 : 散在する名刺の束

  • 個人情報データベース等 : これらの名刺をもとに特定の個人情報を検索できるように体系的に構成した名刺リスト

  • 個人データ : 当該名刺リストを構成するレコード

個人データに当たらない個人情報(散在情報)の場合、第三者に提供するにあたって本人の同意を得る個情法上の義務はない。
が、プライバシー侵害等の問題が生じる可能性がある点には注意を要する。

④ 個人データの「提供」にあたるか(提供該当性)

入力するプロンプトが個人データにあたる場合であっても、「提供」したことにならなければ問題にはならない。

「提供」とは?(解釈が難しい現状)
個人データ等を自己以外の者が利用可能な状態に置くことを指す。
クラウドサービスにおける「提供」の基準については個人情報保護委員会による 見解 あり。
見解の解釈については、統一されていない現状。
統一はされていないが、データの中身を解析して処理結果をユーザーに戻すようなサービス(翻訳SaaSや契約書審査SaaSなど)については、データの中身を処理・解析している以上は「個人データを取り扱うこととなっている」ものとして「提供」に該当するという考え方がほとんどという認識。

一方、個情委による「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等」
“当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。”
Web版ChatGPTなどの入力データを学習に利用するような場合に、「提供」に該当する、のように「提供」にあたる範囲を狭める解釈をとったようにみえる。
→ 入力したプロンプトが、プロンプトに対する応答結果を出力する目的でのみ取り扱われる場合は「提供」にはあたらない?

上記2つの基準の関係の解釈は明確でない。

具体的な生成AIサービスへのあてはめ(ChatGPT Web版/API版/Enterprise版)

ChatGPTの場合、Web版、API版、Enterprise版いずれの場合でも、「応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合」には当たり得るものとして「提供」に該当すると整理した方が現時点ではセーフティという考え。

Azure OpenAI Serviceの場合、不正監視機能をオフにした場合であれば、「応答結果の出力以外の目的」では取り扱われないといってよく、「提供」にあたらないという考え。

ChatGPT pluginの紹介

Canva

プレゼンテーションやロゴ、ソーシャルメディアへの投稿など、どんなものでもすぐに作成できます。

無料で使えるオンラインのグラフィックデザインツールCanvaのChatGPT plugin。2023年9月4日に公開。

実行例

KAYAK

航空券、宿泊、レンタカーを検索したり、予算内で行けるお勧めの場所を知ることができます。

国内外の航空券・ホテル・レンタカーに関する旅行検索・料金比較を扱うKAYAKのChatGPT plugin。

実行例

Wolfram

Wolfram|AlphaとWolfram Languageを通して、計算、数学、蓄積された知識、リアルタイムのデータにアクセスすることができます。

解剖学、系譜学、数学、音楽など、以下にさまざまな事例が載っている。


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