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GoogleによるFitbit買収の独禁法上の論点

GoogleのFitbit買収は、現在世界的に議論されているプライバシーと独禁法政策に関する議論をベースとするならば、当然に独禁法上の論点となるだろうと思っていたが、やはり米国ではすでにそのような議論が出ているようだ。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-11-01/google-s-fitbit-acquisition-likely-to-face-antitrust-scrutiny

健康デバイス事業におけるGoogleの地位ではなく、Fitbitのサービスの提供の対価としてユーザーから取得しているデータの取得市場における公正競争性がここでは問題になる。

プライバシーの保護のレベルは、独禁法においては競争の質の問題として捉えられるべきであるというのが近時の議論の趨勢なので、Googleが取得したデータを既存のデータとインテグレートして用いることとする場合に、個人のプライバシー保護の度合いがどの程度低下するかということは、買収後に市場の支配的地位を用いて価格を上げることが独禁法上の関心事であることと同様に、独禁法においてケアされなければならない。

なおFitbitによるデータ取得は日本でも行われているので、今般の買収は日本の独禁法上も論点となりうる。

公取委が本件に対してどのように動くのか動かないのか、パブコメ中のガイダンスを具体的にどのように運用していくつもりなのかを見る良い事例となると思う。

なお、これは公取委の動きを民間企業が傍観していればよいということにはならない。競争上の不利益になると考える民間企業があるのであれば、最新の独禁法の考え方を駆使して何らかの手を打つということを考えることもありうるだろう。

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