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「100分de名著」で学ぶ孔子「論語」3回目その3

※NHKオンデマンド、U-NEXTなどの動画サイトで、ご覧いただけるNHK番組「100分de名著」を元に、学んだり、感じたりしたポイントをお伝えしています。
出演者:
司会 --- 堀尾正明さん
アシスタント --- 瀧口友理奈さん
講師 --- 佐久協(さくやすし)さん

1.リーダーになるための自分の磨き方

前回、リーダーに必要な3つの資質は、責任感、平等、仁であるとお伝えしました。

今回のテーマは、「リーダーになるために自分をどう磨けばいいのか?」です。

1.1.自分で自分を見限らない

力足らざる者は中道にして廃(はい)す。
今女(なんじ)は画(かぎ)れり。

意味:
力がないならやるだけやって、途中で倒れてしまえば良いではないか。
お前は自分で自分を見限っている。

私には能力がないので、リーダーにはなれない。
という弟子に対する言葉です。

いざリーダー役になったとき、自分はリーダーとしての器がないと思うこともあるかもしれません。

しかし、孔子はこの言葉で、リーダーは、他人に思いやりをかけることも大事だけれど、自分で自分の能力に限界を作ってしまうようなことはしてはダメで、自分にも思いやりをかけるやることも大事だということを、伝えています。

1.2.プラス思考で自分を磨く

論語の中には、自分を磨く、いわゆる「切磋琢磨」を題材にしたエピソードがあります。

子貢曰く、「貧しくして諂う(へつらう)ことなく、富みて驕(おご)ることなきは何如(いかん)。」
子曰く、「可なり。未だ貧しくして道を楽しみ、富みて礼を好むものに若(し)かざるなり。」

意味:
ある日一番弟子である子貢がやってきて、孔子に尋ねました。

貧乏でもへつらわない人。
金持ちでも威張らない人。
二人は君子と言えますか?

孔子はこう答えました。

まあ、それも悪くはない。
しかし貧乏でも学問を楽しむ人や金持ちでも礼義を好む人にはかなわない。

商才に長けた弟子の子貢が、自分はお金持ちだけど威張ったりしないことを暗に自慢して、孔子に問いています。

以前、原憲という弟子が、自分の心の中にある驕りや貪欲さなどのネガティブな要素を否定したら仁になれるか?と孔子に尋ねたエピソードをお伝えしました。

そのとき、孔子はネガティブな要素を取り除いても仁になれるかどうかは分からないと答えました。

今回のエピソードで、孔子は、子貢が尋ねた、「貧乏でもへつらわない」「金持ちでも威張らない」という考え方は、マイナス思考であると暗に指摘し、「貧乏でも学問を楽しむこと」や「金持ちでも礼義を好むこと」のプラス思考であることを勧めています。

1.3.他人の長所を伸ばす

君子は人の美を成して、人の悪を成さず。

意味:
良きリーダーは、部下あるいは他人の長所を伸ばす。
しかし、悪いリーダーは、他人の欠点ばかりを見つけて、相手の才能を潰そうとする。

この言葉は、誰でも他人の長所を褒めたり、伸ばしたりしていくことを続けていたら、他人の欠点を指摘する人より好かれて、いつのまにか人にも慕われ、リーダーになっていくようになるということを示しています。

日本の教育はいわゆる減点法の欠点教育なので、自分の長所を挙げることができる人はなかなかいません。
自分が、まず自分の長所を見つけて伸ばし、それを他人にも行っていくことを、講師の方は、孔子のエピソードを交えて、お話されています。

1.4.他人に過大な期待をしない

論語の中には、危機の中にあるリーダーのあり方を真正面から論じた言葉があります。

それは、孔子の生まれ故郷、魯の国の国王が父から受けた教えを書き留めた言葉です。

全部で4ヶ条からなる教え。
いずれも乱世の中で国を守るために国王が人々の心情にどう配慮すればいいかが記されています。

その中で次のような言葉があります。

備わるを一人に求むるなかれ。

良くない上司は、人を万能ロボットのように扱うことがありますが、人を使う上で、ひとりの人物に過大な期待をしてはいけないことを述べています。

これは、上司に対して過剰な期待をすれば、自分が疎かになることを戒める言葉でもあり、また、自分に対しても期待しすぎないことを示した言葉でもあります。

他人には長所もあり、欠点があることを認め、過大な期待をしないでいることを心掛ければ、いさかいも起こらなくなることを言い表しています。

家族関係や親子関係などにも、同じようなことが言え、「良い加減」で付き合っていくことが望ましいですね。

2.ここまでの感想

リーダーになるために必要なこととして、自分を見限らないこと、プラス思考で自分を磨くこと、他人の長所を伸ばすこと、他人に過大な期待をしないことがあることを学びました。

このようなことは、人付き合いや社会の中で自分を活かしていく上で必要な考え方でもあるのではないかと思いました。

また自分を大切にしようとする考え方が基本にあると、他人に対しても大事にしようという意識になり、最終的に人にも慕われていくことになるということが分かりました。

基本的なことは当たり前のことながら意外とできないものですが、やはり大事なことだと考えさせられました。

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