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記事の掲載前確認・原稿確認は「編集せずに」「母の視点で」|広報Tips

先週まで、原稿のチェックに追われていました。

すごく素朴な疑問なんですが、広報のみなさん、記事の掲載前確認とか社内メンバーが寄稿・投稿する原稿のチェックってどんなところを見てますか…?

・事実関係に間違いがないか
・読者に誤解が生じる表現になっていないか

この辺りを見ているつもりだったけど、多分それ以上のことを考えながら原稿をチェックしていることに気づきました。
ということで、棚卸しもかねて自分なりに気を使っていることを改めて考えてみたら、大きく分けて二つあったのでシェアします。

ひとつめは、編集しないこと。
まず大前提として、書いていただいた記事や原稿を「編集しない」こと。
これは私自身、他のメディアでインタビュー記事を書いたり、編集者時代に大量の原稿を書いてきたから思うことなのかもしれません。
編集者やライターからすると、事実や表現のちょっとしたズレを訂正してもらえるのは嬉しいけど、そうではなく「編集」し直された真っ赤の原稿を見ると本気で萎えます。
(ゴーストライティングの場合は別。あくまで下書きのつもりなので、その原稿を元にその人の表現を引き出せたらガッツポーズだったりします)

取材を受けた方にとっては「取材を受けてやった」というスタンスなのかもしれないけど、ライターが魂を込めて書いた原稿を半分くらい消されて「これで出してください」と言われても、記事になりません。

もし、構成的に「こういう取り上げられ方はキツイなぁ」と思ったら、修正依頼という形ではなく、まずは相談するように心がけています。
表現を変えて出してほしいのか、取材で誤解が生じてしまったのかなど、事実関係とこちらの要望を整理した上で交渉できればベストかなと。
媒体側から希望を受けたら、その部分の差し替え原稿をこちらで作ったり、見出しの案を提案することもあります。
でも、あくまでそれは提案であり、編集権は媒体側にあることは忘れないようにしています。

余談ですが、以前、編集者として働いていた時、原稿確認の依頼をしたら内容を大きく変更され、最後に宣伝文まで入れられて戻って来た原稿に出会って衝撃を受けたことがありました。
戻って来た原稿は、ほとんどその広報担当者(あるいは取材対象者)の「創作」でした。先方は「この内容じゃないと出して欲しくない」とおっしゃり、広告企画ではないので見事にその企画はポシャりました……。
そんな原体験もあり、赤字は出来るだけ少なく、編集者と同じ目線で原稿(とその先の読者)を意識するようにしています。


ふたつめは「その人のお母さんになったつもりで見る」こと。

「こんなこと言ったらうちの子いじめられないかしら」
「こんなこと言ってどなたかに失礼にならないかしら」
「こんなこと言ってるけど本当だったかしら」

すごく平たくいうと、こんな風に最後に読み直すようにしています。

意図せず誰かを批判したり、傷つけてしまう表現というのはどうしても防ぎきれないもの。特にイベントの書き起こしや、盛り上がったインタビューの原稿を読むと「あぁ……めっちゃ盛り上がってるな……楽しかったんだな……(遠い目)」という内容になっていることもしばしば。

その場で盛り上がってぽろっと溢れた一言が、それをパブリックな発信としてしまうと誰かを傷つけてしまう場合もあります。話している時の雰囲気では全く嫌な感じがしなくても、文章になった途端に差別表現や中身のない業界批判に見えてしまうこともあるんです。

それらすべてを、取材を受ける側に「回避しろ」「注意しろ」というのは酷でしかないし、取材を受けるのが憂鬱になってしまいます。でも、不本意な記事が出回ることで「取材を受けるトラウマ」を抱えている企業も驚くほどたくさんいる。だから、そうした小さなトラブルから彼らを守るのは広報の役割だと思っています。


みなさんの「チェックポイント」も、よかったら教えてください。


Photo by Green Chameleon on Unsplash

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