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問題が起きる前に実施すべき事前教育とは

事前教育①

事前教育②

中途採用者。即戦力として活躍できる人と、既存メンバーが教育に労力を割くことになってしまう人の差はどうして生まれてしまうのでしょうか。

前回はエンゲージメントを高めるために、会社の沿革を共有する効果について述べました。

さて今回は、中途採用者が即戦力として活躍してもらう以前に起こり得る問題を、「事前教育で未然に防ぐ」というテーマでお伝えしていきます。

問題を考察する上でまずは、「退職」について触れていきます。

企業が独自に集計したアンケートや媒体で発表される退職理由ランキングには「経営者や上司の仕事の仕方」、「給与条件」や「評価制度」など様々な理由が挙げられています。

その中でも厚生労働省が令和3年8月31日に発表した「令和2年度雇用動向調査結果の概況」で集計された結果を確認していきます。添付した資料を見ると、年代によって退職理由の統計結果の傾向が変わってくることがわかります。

厚労省

赤い線で囲われた箇所をご覧ください。転職市場の主役とも言うべき25歳から34歳に関しては、他の理由をおさえて、「職場の人間関係が好ましくなかった」を男女ともに一番多く選択されています。そのため、今回はこの「人間関係」の問題を取り上げていきます。

人間関係で問題を感じた人は、また人間関係に悩む

人間関係を理由に退職した人。転職活動の選考中になぜ前職を辞めたのか尋ねられたら、当たり前ですが「人間関係」を理由に挙げる人はいません。

あなたの会社は、どんな人間関係だとしても前向きに仕事に取り組んでくれる人材を欲しています。そのことを求職者もわかっているからです。

では、人間関係の問題とは何を指しているのでしょうか。もう少し細かく分解しないと、有効な解決策が立てられませんよね。そこで、人間関係の問題をここでは「人間関係を起因としたストレス」と置き換えてみます。

人間関係を起因としたストレスは、あなたはどんなときに感じると思いますか。相性が悪い、こちらも曖昧ですよね。心ない言葉をかけられた、それもあると思います。

すぐに値も葉もない噂が出回る、そんなこともありますよね。噂に抱く嫌悪感を紐解くと、ストレスの原因が表れてきました。

ストレスの原因は「価値観の違い」です。例を挙げてみます。あなたは友人と待ち合わせをしたときに何分までの遅刻なら、無断でも笑顔で応対できますか。

仮に10分とします。それに対してあなたの友人は30分までなら笑顔で待てる人だったとして、この友人があなたとの待ち合わせに20分遅れてきたときの態度はどのようなものだと思いますか。あなたが期待した通りの謝罪の姿勢は見られないかもしれません。なぜなら本人は30分までなら笑顔で待てるという前提があるからです。

価値観の8割は結局、人の好き嫌いが含まれていると言われます。つまり、価値観の違いとは、人の好き嫌いが合わないことを意味します。

このような価値観の違いによって、人間関係でチームに亀裂が走る前にどんな事前教育を実施しておけば良いのでしょうか。

1つ目は中途採用者を部署に配属する前に、自責型思考を重視する会社だというメッセージを伝えておくことです。ここで取り上げる自責型思考とは、責任の所在を明らかにして、どんなことも自分に責任を置くように伝えるものではありません。

責任の所在やお互いの良し悪しはいったん脇に置いて、「この結果を作ったのが自分だとしたら」と仮説思考で捉え、同じことを繰り返さないような打ち手を講じられる態度のことを指します。

もし報連相の頻度について上司と意見が異なったら、もし仕事の進め方において経営者の考えと自分が合わなかったら、自責型思考で捉えると「なんでこうなんだ」という考えから、「どうしたら状況を好転できるだろう」という思考に変わります。

責任の所在という観点を外した自責型思考は、結果としてストレスから自分を守る

人は打つ手がなくなると、相手や環境を責めるしかなくなります。そこで、自責型思考で打つ手を常に思い浮かべられる価値観を共有しておくと、人間関係のストレスから相手を救います。

その自責型思考を基盤とすることで、もし価値観の違う相手が現れたときに備えた2つ目の事前教育が効果を発揮します。

2つ目の事前教育は、「相手の価値観と向き合う」ことを文化として伝えます。自分と価値観が合わない人が現れると、「あの人には何を言っても通じない」と向き合うことを放棄してしまう人がいますが、それは他責型思考の言動です。

自責型思考があれば、「どうしたら通じるようになるだろうか」と考え、関係性を改善するのか伝え方を工夫するのか、伝える場を変えるのか、など打つ手が浮かび続けます。

この2つの事前教育を布石として打っておくと、もしあなたの会社で中途採用者が「だれも自分のことをわかってくれない」「意見を言っても聞いてもらえない」「私にだけ厳しい」などの悲劇の主人公を演じる人間が現れても、「どうしたら状況を好転させられるか」打つ手を尋ねることができます。

周りが悪いと思い込んで打つ手を講じないことが、実は相談者が傷つきたくないだけ、という保身に気づかせることができます。

まとめると、今回は「人間関係の問題」が起きる前に有効な事前教育を2つ挙げました。1つは責任の所在という観点を外した自責型思考を大切にする会社だとメッセージを発しておくことです。

そして、2つ目は人と向き合うことを放棄させない文化を持つ会社であると布石を打っておくことです。

この2点を入社時に浸透するために労力をかけておくことで、後々の問題を解消するために必要な労力は削減できます。

この2点を入社時に浸透するために労力をかけておくことで、後々の問題を解消するために必要な労力は削減できます。

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教育参謀 本間 正道
Email: playbook.consultant@gmail.com
twitterID:@masamichihon


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