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イベントメモ:くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質

GWの飛び石具合に辟易しながらも単身赴任住居を後にした私は、帰り道すがら東京ステーションギャラリーの隈研吾の展示に行ってきた。GWはどこも行くつもりなかったが、やっぱり突発的に、飛び込みで予定を作るのが休日の醍醐味ではなかろうか。

東京ステーションギャラリーは初めて訪れた。雰囲気がよく、レンガの内壁とか今回の展示といい感じにマッチしていて、隈研吾の展示と東京駅が対立したり協調したり、対比を楽しむことができた。何より写真撮影オールオッケーなのはマジで素晴らしい。記録を残せるから、ちゃんと感想を書こうという気になる。ガチカメラを忘れたのが悔やまれる。

隈研吾については前知識はほとんどなかった。新国立競技場の人で、木を使いたがるイメージがあった。展示を見た印象としては木を使いたがるというより、安易なコンクリートを嫌悪しているということだろうか。
安藤忠雄の対極にいるような人だという印象が強化された。

20世紀は物質を軽視した。人間と物質とが決定的に切断された。この切断を回復するために30年間仕事をしてきた。 あいさつより
この展示のテーマである。物質、素材を切り口として、隈研吾の哲学が随所に展示されていた。物質の軽視、決定的な切断とは安易なコンクリートや無配慮なテクノロジーの適用のことを指すのだろうと感じた。

この展示では物質・素材にフォーカスしており、竹、木、紙、土、石、タイル・瓦、金属、ガラス、樹脂、膜とカテゴライズされた建築物を、特徴的な構造を抜き出すような形で展示していた。(操作、幾何学のカテゴライズも並行してある)

随所に出てくるキーワードとしては、
・ゆるい建築、雲のような建築
・人間、ヒューマン
・素材の生と死
といったところだろうか。

ゆるい建築
建築理論家ゴットフリート・ゼンバーの言葉、建築は三つの仕事「地面の仕事・火の仕事・編む仕事」で作られるということを引き合いに、編むことの重要さ、動く余地のある素材の大切さが語られていた。この帰結がゆるい建築・雲のような建築なのであろう。

人間、ヒューマン
建築物の説明でよく目にしたのはその土地と建築物の結びつきである。その土地を配慮した建築を作ることで、土地ー人ー建築をシームレスにつなげようとしているのだと感じた。また、新品の畳に土を撒いて人工感を和らげる風習の紹介、ヒューマンな木の再生こそが「復興」だという考えなど、人間性を取り戻すためには、素材から五感でインタラクションを感じる必要性があるという哲学を感じた。

素材の生と死
木は半分死んでいて、屍体を抱きながら生きている。石は木の延長線上にあるから生きている。といった文言から、素材の生と死の独特な感性があるように感じた。たぶんこの感性が建築の暖かさ、生物を拒まない感じを生んでいると思う。(樹脂も石油は元生物だから肌馴染みいいよねとあったが、それを言っちゃあこの世の中の全ては元生物なような気もした)また、コンクリートの上のテクスチャーマッピングを偽装・嘘っぽいと断じている一方、金属面に木目を印刷し、ヒューマンな表情をつける、といったこともしている。生の臨在が感じられるほどの偽装=物質と人間の切断にはならないということであろうか。

この展示を通して、物質・素材の考え方が大きく変わったように思う。結局のところ人間不在のものづくりなどありえなくて、人間とモノの界面に素材があることをもっと意識しなくてはいけないと感じた。モノの設計やってると素材はパラメータの行列と錯覚してしまうことが多い。反省せねばならぬ。

ひとつの作品を残すことが目的ではなく、継続する運動体(Laboratory=研究室)を残すことが目的である。そうすれば僕がいなくなった後でも、何かが続くと考えた。 ごあいさつより

僕らは、建築を単独の作品と考えずに、継続する努力だと考える。 展示より

この哲学は全てのものづくりに適用可能であろう。

印象に残ったモノを抜粋

紙でロール状に編んであるやつ。留め具のポッチ配列がすげー気になる。おそらくカーブを作るための編み込み用か、隣のロールとの接続に使うと思うんだけどちゃんと知りたくなってしまう。

組み木。ダボ一本で固定で面白い。単純形状の繰り返しみたいなこと書いてあったけどこのちょっとだけの切り欠きとかスゲー複雑やん。計算しまくってるやーん。

竹ひごの編み物。香りを表現した。って書いてあったけどボリューム感ハンパない。長めの竹ひごを熱収縮チューブで固定してるのか?できそうだしやってみたいけど使い道が思いつかん。

ちょっ蔵広場。近所やん。田舎の駅に洒落たもん置いてんなーくらいの感じだったけど隈研吾の設計だったとは。散歩がてらちゃんと体験せねば。

ティファニー銀座店。ここで結婚指輪を購入したので思い入れがある。ハニカムをガラスで挟むだけでスワロフスキーみたいなキラキラになるんや!夢中で接写しまくってたら係員に怒られた。すみません。

カーボンファイバーで耐震工事。マジで!?ちょっとしたボールフェンスみたいな感じでできるん!?この手法はこれから流行りそうである。

楽しかったーごちそうさまでした。


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明太子正宗

製造業に身を置く人間です。製品設計開発やってます。エンジニアっつったらメカだろメカ

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