僕はよく、コントで女装をする。
いわゆる「ブスネタ」をよくやってはいるが、僕が女装をするのには別な理由がある。

それは、
「男女がいると、物語が始まる」
と僕が思っているからだ。

やはり恋愛モノが好きなのだろう。
恋愛が好きとも言える。

でも、僕が女役をやると一回はいじりを入れないと府に落ちないところがある。
だから僕が女役をやるネタの大体が、ブスネタと見られるのだろうと思う。

「だったら相方に女役やらせればいいんじゃないの？」

という声もあるだろう。
はっきり言って、それは出来ない。

コントの上で女役を出来る人は限られている。
その人の中に、女性の要素がないと出来ないからだ。

うちの相方には、まったく女性の要素がない。
たしかに顔は整っているが、いざそういう人が女装をしたからといって、女性らしく見えるわけではない。
そして不思議と、可愛くも見えないのだ。

所作や、表情や、喋り方や、その他もろもろいろいろあるが、とにかく自分の中に女性がない人に女役は出来ない。

じゃあ女性の要素とは何かと言われたら、すごく抽象的な表現になってしまうのだが、『柔らかさ』とか『丸み』とか『憂い』みたいなものだと思う。

それと一番大事なのは、『照れない』ということだ。

僕が今まで見た中で、この人女役上手いなぁと思ったのはただ一人、ハナコの岡部だけかもしれない。