猫のこと…意思疎通の話

人間は言葉を喋る。
猫はニャーと鳴く。

これ多分、逆からしても同じ話で、猫からしたら、

猫は言葉を喋る。
人間はなんか鳴いている。

となるんじゃないか。

よく、

「猫と話せたらいいなと思いませんか?」

と言われる事がある。
何度も言ってるが、思わない。
話せたら、と思う時もあるが、基本的に思わない。

猫が病気の時とか、なんか不機嫌な時は、どうしたんだろう?と思い、話せたらと思う時もある。

人間同士はどうか。
物事を円滑に進めるには、会話の成立は不可欠だ。
そして会話をして仲良くなる事はある。
その一方、逆に、

「知りたくなかった」

というような事もある。
メリットデメリットを考えると、半々か、デメリットの方がやや大きいと思う。

言語は違えど、意思疎通が出来る人間同士の戦争が終わらないのを見れば、目にも明らかだ。

なぜ僕がここまで猫を好きかと言うと、喋れないから、というのが大きい。それは多分、

「わからないからこその、一方的な愛」

だろう。もし意思疎通が出来たら、まあまあぶつかり合っていると思う。

「なんで私と会う前に他の猫と会って来てるの!?」

「いやそれは別にいいじゃん!?自分、あなたを飼ってるわけじゃないんだから、そんな事で怒られてもさあ!?」

「もう!私知らない!」

「おい!待てよ!」

とか、

「ねえ、いつも会いに来てくれるけど、私の事飼う気はないの?」

「いや、うちペット飼えないし。ごめんな。」

「ふーん。まあ、別にいいんだけど。」

「なんだよその言い方?」

「いいのいいの」

「おいってば」

だの。

男女の痴話喧嘩みたいだが、まあこんな感じだろう。
僕が普段会いに行く猫たちもニャーニャー言ってるが、実際はこんな事を言ってるのではないか、と思う。

しかしわからないから、また会いに行ける。
実際言葉が通じてしまったら、もう会いに行かなくなってしまうかもしれない。

今は便利な世の中だ。でもちょっとぐらい不便な方が、相手の事を思ってあげられたりするんじゃないだろうか。

僕は猫が好きだから、猫になりたいとは思わない。
だから人間の僕が、人間をそんなに好きじゃない理由はここにあるんだと思う。


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