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愛車(マイカー)で韓国をドライブする方法

はじめに

愛車で韓国をドライブしてきました。出発前にはネットで先人たちの知恵を大いに参考にさせてもらったので、後に続く(かもしれない)人たちのために、私も自分の知見をここにまとめておきます。
あくまで2024年4月時点での私の経験に基づく情報ですので、間違った内容であったり、ルールや価格等の情報が変わっている可能性もあります。
鵜呑みにせず参考にしてください。

なお、出入国手続き以外の情報についてはレンタカーの利用者にも有用だと思います。

韓国をドライブすることの難しさについて

渡韓する前は「韓国の運転は荒い」という先入観を持っていましたが、行ってみると真逆の感想を持ちました。もちろん韓国ならではの運転ルールはあるし、外国だという意識をもって運転する必要はありますが、総じて運転しやすいと感じました
韓国の運転が荒い!という印象は一昔前の情報だと思いますよ。
(私の主な海外運転経験は、イタリアローマからボローニャへの横断と、アメリカロサンゼルスからラスベガス、グランドサークルの周遊です。)

さて、私が感じた韓国の道路の特徴を簡潔にまとめると以下の3点です。

  1. 自動車専用道が各所にあり、かつ制限速度は日本より高く平均速度も速い。

  2. 尋常ではない数のスピードカメラが各所に設置されているが、都市部では速度低下を狙うバンプの設置も多い。速く走れる道とゆっくり走るべき道のメリハリが効いている。

  3. 多車線道路が多く、都市部では特に車線変更に気をつかう。

平均速度が速いことは、日本の制限速度の低さにストレスを感じている人にとっては朗報ですw 
車線変更に気を使うのは日本の都市部でも同じですので、普段から都市部で運転している人にとってはそんなに苦では無いと思います。

この記事の前提

私の旅程は2024年4月末〜5月初旬で、車両は初代ロードスターです。
韓国には2013年に1泊2日の出張で行ったことがあるだけであり、韓国語は全く話せません。
また、ホテルの予約やグルメ情報などの一般的な韓国旅行に関する情報は記載しません。


出発前の準備

  1. 国際免許証の取得
    免許センターや警察署で取得可能。取得にあたって試験はない。なお、国外では日本の免許証も併せて携帯する必要がある。

  2. 登録証書の取得
    陸運局で即日発行された。
    登録事項証明書という似た名前の書類が他にもあり、かつこちらの登録証書は発行する人が少ないレアな書類である。窓口では「ピンク色の紙の登録証書」と伝えて間違えないよう留意されたし。

  3. フェリーの予約と必要書類の事前送付
    私は関釜フェリーを使ったのだが、通関のための書類などを事前にメールで送付する必要がある。詳細は下記ページ参照。
    http://www.kampuferry.co.jp/reserve/index.html#carbike_document

  4. 車内から不要な荷物を下ろす
    釜山港で通関手続きを行う際、車両から全ての荷物を下ろしてX線検査を行う。余計な詮索をされないためにも不要な荷物は下ろしておくことをお勧めする。私は旅行鞄に加え、工具と洗車用具のみを積んでおいた。

  5. 車両の整備
    韓国内で車両がトラブったら困るため、不安がある方はきちんとメンテナンスしておくべし。電装系のトラブルが一番困ると考え、リレー類は予備を用意した。(NAロードスターはこれが怖いので。。。)

  6. アプリの準備
    韓国で使えるナビアプリとしてNAVER MAPは必携。インストールすべし。使い方は後述。
    Google Mapをナビアプリとして考えるかもしれないが、韓国内では同アプリは自車位置の補足精度が悪すぎて使い物にならない。

  7. SIMカードの準備
    NAVER MAPを常時利用するためにも、データ制限なしかつ速度低下も発生しないSIMカードを用意するのが好ましい。データ制限なしと書いていても、一定の通信量を超過すると速度低下が発生するSIMも存在するため注意が必要。
    釜山港でも携帯電話会社のカウンターがあるが、現地でバタバタしないためにも出発前にeSIMを入手しておくと安心である。
    以下の商品を使ったが、現地で困ることは一切なく快適であった。
    【韓国eSIM】10日間(240時間) SKテレコム正規 高速データ無制限 受信専用番号(通話&SMS可能)付き お急ぎの方(LINE相談受付中) 有効期限 / 2024年9月30日 韓国esim 韓国sim (10日間)

  8. ドラレコ(オプション)
    必須ではないが、あれば事故の際に多少安心だし、なにより道中の記録を残せるのが嬉しい。

  9. 職務質問対策(オプション)
    見慣れないナンバープレートをつけた車両ということで止められたり、住人からの通報があったりで、警察官による職務質問を受ける可能性がある。その際に韓国語ができればよいが、そうでないなら韓国語で事情を説明した紙を用意しておくとよいでしょう。クリアファイルに通関の書類一式とこの紙を挟んでおくと、いざという時はこのファイルを提示するだけで済む。参考までに私が用意した紙をサンプルとして掲示する。

海外を走るということで国際ナンバープレートを考えるかもしれないが、韓国は日本のナンバープレートのままで走行可能であり、国際ナンバープレートは不要。

出国手続き(関釜フェリーの場合)

下関港にて

  1. フェリーターミナル1階の玄関前に駐車して2階の関釜フェリー受付へ

  2. 通関手数料、港湾施設使用料、国際観光旅客税を支払う。すべて現金。

  3. 関釜フェリーの乗船料を支払う。カードも利用可能。

  4. 係員の指示に従って車両を車両検査場に運ぶ。この後、乗船開始まで自由時間。下関駅前の商業施設でお茶でもして過ごす。

  5. 乗船開始時刻になったらターミナルに戻って入国審査

  6. 係員の指示に従って車両検査場に行き、車両を船積みする。

  7. 出航

釜山港にて

  1. 車両を船から下ろし、とりあえず駐車(AM8:30)

  2. 車はそこに置いたままにしておき、係員の誘導に従ってまずは入国審査

  3. 入国出来たら、ロビーで係員の案内を待つ。この後に現金で自賠責保険と通関手数料を現金で支払うことになるため、日本で両替していない人はこのタイミングで両替が必須。必要になる金額は後述。

  4. 係員の案内にしたがって事務所に行き、通関手数料と自賠責保険の支払いを行う。韓国ウォンによる現金支払い。

  5. 車両に戻って、車内の荷物をすべて下ろしてX線検査。

  6. 港湾のゲートを通過して港の外に出る。

  7. ドライブスタート(AM10:30)

自賠責保険への加入

釜山港にて自賠責保険に加入することになるが、この保険の内容は以下の通りであった。

保証内容(単位は全て韓国ウォン)
対人賠償:無制限
対物賠償:3億
人身傷害:死亡時 1億、入院費 3千、重度傷害時 1億
無保険車傷害:2億

レスキュー対応
牽引:10キロ
SOSコール:3回まで

愛車で韓国ドライブの2大問題

日本から運んだ愛車で韓国を運転する際の、最大の問題は駐車場と高速道路の料金所である。現地のレンタカーを利用する場合はこの章は読む必要はない。

駐車場
韓国の駐車場はナンバープレート読み取り式が普及しているようだが、当然のことながら日本のナンバープレートは読み取ってくれない。(読む場合もあるが稀なケースだと考えるべき。)
そのため、無料の駐車場を探すか、有人料金所がある駐車場を探す必要がある。無人のゲート式駐車場だと、出口でゲートが開かず困ったことになる。インターフォンでセンターと会話出来る場合もあるかもしれないが、ジェスチャーや翻訳アプリが使えない状態での意思疎通が困難を極めるのは明らかである。
幸いにして韓国は路駐車両がいたるところにあり、どうも路駐OKの場所が多いように見受けられる。その場合、下手に駐車場に車を入れて出られなくなるより、路駐も良い手段だと思う。
また、うまく機能するかどうかは分からないが、厚紙を使って自作のナンバープレートを用意しておき、駐車場の入退場時にはそれを車両前面に貼り付ける方法も考えられる。韓国のナンバープレートのフォーマットはWikiが参考になる。

高速道路の料金所
韓国の高速道路や有料道路ではHi-PassといういわゆるETCシステムがあるのだが、当然我々には使えないため現金レーンを選ぶ必要がある。現金を意味するハングル「현금」を記号として頭に入れておき、多数あるゲートから現金レーンを瞬時に見抜くのはなかなかの難易度だ。大抵は右端のゲートだが、中にはイレギュラーに真ん中のゲートが現金レーンということもある。ゲート上に掲げられている「현금(現金)」が掠れていて判読が難しいこともある。また、後述するNAVER MAPにはどのゲートがハイパスゲートなのかが示されるのだが、この情報も誤っている場合がある。
ということで、高速道路の料金所では毎回緊張することになる。特に都市部の高速道路は走行車両の数が多く車速も速い。そんな中で、車線も5レーン、6レーンとあるため心拍数があがる。
実は、滞在中に1度だけ間違ってHi-Passレーンに入ってしまったことがある。そのゲートはバーがなく入場時には止められることがなかったため、後続車両を堰き止めることはなかったのが幸いであった。出口では有人の現金レーンにて、誤ってHi-Passゲートから入場した旨を説明したところゲート脇の事務所に行くように指示され、そこで料金を支払うことができた。

なお、韓国は右側通行であるため料金所は助手席側に来るのだが、屋根を開けておけば料金の受け渡しがスムーズに行えるのはロードスター(オープンカー)で韓国を運転する利点の一つだと思う。

交通ルールと道路事情

  1. 在大韓民国日本国大使館による案内
    まずは以下のページを熟読すべし。
    韓国の交通マナー、交通規則の一例

  2. 右側通行
    右左折時に反対車線に入らないように注意が必要であるが、比較的すぐに慣れる。(帰国後は左側通行に慣れる必要がある。)

  3. 左折のルール
    大抵の交差点では信号が青でも左折してはいけない。信号機の目玉が四つあり、そのうちの一つに左向きの矢印が点灯した場合にのみ左折が可能。この際、反対車線は赤信号になっているため、直進車との接触のリスクなく左折が可能である。
    例外は「비보호(非保護)」交差点。この標識がある場合は、自己責任(といっても日本と同じルール)で左折が可能である。

  4. 右折のルール
    赤信号であっても、一旦停止した後に、歩行者や左からくる車両に気をつけながら右折が可能である。直進と右折が両方可能なレーンであれば、自分が直進したい場合はその場で停車していても後ろからクラクションを鳴らされることはない。
    ただし、右折専用レーンが設置されている交差点も多くあるため、その場合は注意が必要である。右折せずに止まっていると当然クラクションを鳴らされることになる。

  5. ラウンドアバウト
    日本では馴染みが薄いラウンドアバウトの設置箇所も多いが、通過するに特に難しいことはない。

  6. サンキューハザード
    韓国でもサンキューハザードはあるようだ。実際に体験した。ただし、日本のように車線変更時に入れてあげた程度のことでは出さず、よほどの時に限られる模様。

  7. 車線変更
    ウィンカーを出さずに車線変更する車両も多く見かけるが、日本でもそういう地域はあるし、取り立てて問題視するようなことではない。周囲に注意しながら運転するだけである。もちろん、ウィンカーを出す車両もある。

  8. スピードカメラ
    尋常ではない数のカメラが設置されているが、カメラの場所は後述するNAVAR MAPで事前に確認できるし、周りの車も車速を落とすので分かりやすい。カメラには通過する瞬間の速度を計測する定置式と2点間の平均速度を計測する区間式の2種類が存在する。区間式の場合は最初のカメラを過ぎた後も皆さんスピードを落として運転している。

  9. ガソリンスタンド
    セルフサービスも多いようで、実際私が立ち寄ったスタンドは全てセルフであった。基本的には日本のセルフ式と同じ操作感であるが、いかんせん画面は全てハングルで表示される。とはいえ、Papago(翻訳アプリ)やGoogleレンズの画像翻訳を使えば特に難しいことはない。日本のクレジットカード(私は三井住友Visaを使用)で何も問題なく決済ができた。
    ちなみに、プレミアム油種があるスタンドもあるようだが、私が立ち寄ったスタンドではディーゼルとガソリンの2種類しか選択肢がなかった。

ガソリンスタンド

NAVER MAPによるナビ操作

NAVER MAPは日本でのNAVITIMEやYahooカーナビのようなアプリになっており、運転時には心強いアプリである。このアプリの使いこなしが韓国内でのドライブの成否を分けると言っても過言では無い!と思う。
アプリは常にバージョンアップするはずなので、ここで説明する画面や機能は古くなっていくはずだが、2024年5月現在の機能として紹介しておく。

レーン案内

レーン案内を見ながら車線を選択することで、ゆとりをもって右左折レーンに移動出来る。また、次の次の右左折案内も確認することで、右左折後にどのレーンに入れば良いか検討がつく。これらの情報は不慣れな街を走る際に大変重宝する。

画面の説明

レーン案内には色分けによる案内という特徴的な機能もある。高速道路のジャンクションのような分岐が分かりづらい箇所には、ピンク、ブルー、グリーンの3色のラインが道路上に描かれており、このラインがNAVER MAPにも表示される。そのため、アプリ上で誘導路のラインの色を確認すれば、あとは道路に引かれたラインをたどって走るだけである。
これは大変便利なシステムで、日本でもぜひ導入してほしいと思う。

色による誘導
色による誘導
実際の道路の様子

スピードカメラ

定置式と区間計測式の2種類のカメラがある。定置式は日本のカメラと同じく通過する瞬間の速度を計測タイプ。区間計測タイプは始点と終点の2箇所のカメラで計測されるため、2台目のカメラを通過するまで皆さん速度を落として走行している。当該区間を走行中はアプリ内に自車の平均速度が表示されるのも便利である。

定置式カメラの表示
区間計測式

高速道路のゲート案内

高速道路のゲートではハイパス(ETC)レーンの案内も表示されるため、愛車で走る旅行者は、それ以外のゲートを「現金ゲート」だとみなして、そのゲートを目指して走ればよい。ただし、情報が誤っていることもあるため注意が必要である。

費用

持ち込む車両の排気量に応じて価格が変わる。パンスタークルーズのホームページに詳しい説明がある。

参考までに1.6リッターの私の車両の場合の費用を以下に記す。

余談

ナンバープレートを読んでくれる駐車場がある理由

韓国ではバスと乗用車でナンバープレートのフォーマットが異り、バスのナンバープレートは日本のナンバープレートと同じフォーマットなのだ。そのため、バスが来るような観光地の大型駐車場は日本のナンバープレートを読み取れるのではないか?というのが私の推測。実際、臨津閣の平和ゴンドラの駐車場や海東龍宮寺の駐車場では読み取りができた。ただし、その場合でも条件が2つある。1つ目は4桁すべての数字が揃ったナンバーであること。2つ目はナンバープレートが車両中央に設置されており、左右にオフセットしていないこと。これは、友人の車は読み取りができたにも関わらず、ナンバープレートを左にオフセットしている私の愛車は読み取りが出来なかったという経験に基づく考察である。

Appleの「探す」は使えない

荷物の管理にAirTagを使おうと考えていたが、残念ながら韓国はAirTagサポート対象外であり使えない。旅行の間中、私の荷物は常に下関に存在することになっていた。
同様に、「探す」アプリを使っての同行の友人のiPhoneの位置情報を共有することもできない。
このことはAppleのサポートページに記載されている。


おわりに

外国を愛車で走るというのは、レンタカーで走るのとは全く違った体験ができますよ。
私が出会った方々は皆さん気さくで良い人ばかりでしたし、ご飯も美味しくとても良い旅でした。
皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


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