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「キモ鶴」と、折り紙の「角度」のはなし。

前回は「3首鶴」「足付き鶴」、それからSNSに棲息する多数のキモ鶴たちをご紹介しました。
(5月20日)

写真とは対照的に、真面目な話をいたします。

今日は、「折り紙の角度」にフォーカスしてみましょう。

ベースとなる「折り鶴」の話とともに、キモ鶴について、もう少し掘り下げてみましょう。

❶「22.5°系」のはなし
❷中身はまったくの別物!
❸「偶数首」と「奇数首」

では、どうぞ。

♦︎♦︎♦︎

❶「22.5°系」のはなし
折り鶴は、きれいな「22.5°系」の形をしています。

90°→45°(半分)→22.5(半分)

という具合に、正方形のカドを細くしていく構造です。
(頭とシッポは、さらに半分の11.25°)

世の中の作品には、この「22.5°系」がとても多いです。

紙を広げた展開図が「手裏剣」の形なるのが大きな特徴。

複雑な作品の展開図にも、至るところに「折り鶴の手裏剣」が見られます。

22.5°系の作品は、難度が高くても、素直に進めていける場合が多いです。

逆に、変則的な角度が多いものは、とたんに難しくなるイメージがあります。

❷中身はまったくの別物!
折り鶴は、「22.5°系」の中でも、とりわけムダがありません。

頭+羽2枚+シッポ
4つのカドを、中心から均等に細くしていく、非常に分かりやすい構造です。

しかし、キモ鶴たちはどうでしょう。

まず「2首」。
頭2+羽2枚+シッポ
=必要なカドは5つ。
つまり、五角形を作る必要があります。

そして「3首」。
頭3+羽2枚+シッポ
=必要なカドは6つ。
こちらは、六角形を作ります。

首の本数以外を「完璧な折り鶴」に見せるために、内側にはびっしりと細工がされています。

首の個数(カドの数)によって構造はガラリと変わるので、それぞれの作品は完全に別物です。

❸「偶数首」と「奇数首」
先ほどの説明でカンのいい方はお気付きかもしれませんが、

「2首」は、「3首」よりも構造が複雑です。

前述のとおり、「2首」のカドは5つ。
正方形から五角形を作るために、変則的な角度がいくつも仕込まれています。

一方で「3首」は六角形。
両側のカドを折れば、
90°・135°・135°・90°・135°・135°
という六角形になります。

どれも「22.5°」の倍数。
22.5°系として、意外とサックリ折ることができます。
(ただし、それでも難度は高め)

ちなみに「4首」になると、7角形。
構造はめちゃくちゃ複雑になります。
作れません。
展開図を見たことがあるのですが、解読できる気がしません。

「5首」は、八角形。
4の倍数なので、意外とシンプルです。
ただし、紙がかなり厚くなるので、違った意味で難度が高くなります。

♦︎♦︎♦︎

というわけで、今日久しぶりに「理論派まさにぃ」でございました。

遊び心満点のキモ鶴ですが、その構造は折り紙の理論を結集させた「芸術品」だったんですね。

キモ鶴のキモさに圧倒されるだけでなく、こんな風にじっくり観察してみると、違った面白さがあります。

「我こそは!」という方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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