サムライの十字架

 おれは何にもなくしちゃいないよ。
 
 お前がどんなに変わり果てても
 おれが知るお前は変わることなどない。
 
 おれはこの刀に見合う男として生き抜く。
 
 おれの魂はこの鋼の刃が如く一点の曇りもなく
 志を同じく戦ったあの頃のお前を映す。
 
 たとえお前が敵となり
 その刃をおれに向けようとも
 おれはおれの魂を以てお前に礼を尽くす。
 
 覚悟はできている。
 悲しみを背負うのはお前かおれか……
 完膚なきまで戦って生き残った方だ。

                   © 伊武トーマ


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