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Écriture No.4 三和音

西洋古典音楽で最も基本的な和音は三和音です。

三和音は考えている旋法のある音と、その音から3度と5度の音を同時に鳴らすことによって作られる和音のことで、具体的には次のような和音です。

主音の上に作られた三和音にI、上主音の上に作られたII、と名前を付けていきます。「Iの和音」は「いちのわおん」と発音すればよいのですが、これはのちのち誤解の元になるので「I度の和音」を「いちどのわおん」と発音して、「度」を付けた方が良いです。よく会話の中で「度」を省略してしまうことはありますが・・・本当にしばしば誤解がおきます。

左側が長調で、右側が短調です。

長調の方は特に難しいわけではないのですが、短調のほうはV度の和音のみ臨時記号がつくので注意が必要です。IIIとVIIに現れるSolの音は下主音なのですが、Vに現れるSolの音だけは導音となって半音上がるわけです。

導音は西洋音楽の和声理論で最も大切な音です。Vの和音にはよく注意することにしましょう。

三和音のそれぞれの構成音に次のように名前が付けられています。

基音は「きおん」と発音します。

三和音はそれぞれの音をオクターヴずらしたり、重ねたりすることによって、もっとダイナミックな和音にすることができます。

使われている音が、基音、第三音、第五音のみであって、しかもそれらが全部使われていれば三和音となります。

ところで、ここまでの和音の形は毎回基音がバス(=一番下の音)でしたが、基音以外をバスに持ってくることによって転回形を作ることができます。

第三音をバスにもってくれば第一転回形、第五音をバスにもってくれば第二転回形というわけです。ここでひとつとても大事なことを言います。

第二転回形は協和音ではない


第二転回形は不協和音です。

協和音とは、すべての音程の関係が協和音程であること、です。

しかし、第二転回はバスの音と基音が完全四度を作ります。

「バスと作る完全四度は協和音程ではない」という規則があるため、第二転回形は不協和音程を含むことになり、これは協和音ではなくなるのです。

なお、第一転回形は完全四度を含みますが、バスとつくるわけではないので協和音程です。なので、第一転回形は協和音になります。

協和音かどうかはとても大事ですが、第二転回形を協和音と考えてしまう人が多く、音楽理論を学ぶ上でも重大な間違いになってしまいますし、演奏の上でも第二転回形に不協和音としての緊張感を持たせることができなくなってしまうことがあり、非常に問題です。

「第二転回形は三和音ではない」くらい強く思っていてもいいかもしれません。

さて、いままでの三和音は、基音は何か?というところから出発した見方だったわけですが、バスの音が何か?というところから出発した見方をすることもできます。「フランス式数字付き」という和音の見方を紹介します。

今回はバスのDoの音の上に、どのような音程が乗っているか、というものを全て表したものになります。一番左の音は、Doの上に三度のMi、五度のSolが乗っているので、
5
3
と書いたわけです。

西洋音楽の理論では、第二転回形は協和音ではないため、三和音であることがわかってしまえば、
5   6
3 と 3 のどちらかであるかの区別がついてしまえばよいわけです。

そこで、通常、3は省略して、次のように書きます。

これからの記事では、「度数」「フランス式数字付き」の両方の見方にて和声論を見ていくことにします。

ところで、くれぐれも

第二転回形は協和音ではない


ことをお忘れなきよう、お願いいたします。

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