チンピラ話法

タバコのポイ捨てを注意すると、謝って拾う人もいれば、だまってしぶしぶ拾う人、拾った後悪態をつく人、反応は様々だが、酷い場合には完全に開き直ってしらばっくれる。そこで口から出る言葉は滑稽なほど類似している。自己中心的で無責任で反社会的な精神性で生きてきた結果、同じような話法を身につけてしまったわけであるが、反社会的な話法を考える上で、単純化された例として参考になると思うので、引用して説明する。


ごめん

開き直って謝らない場合もあるが、謝る場合もある。一度謝れば全て水に流されると思っている。反省しない。収拾しない。

権限あるの?

やたら権限にこだわる。警察など権限をもつ人だけが取り締まることができて、市民が注意することは権限がないので悪いと考える。警察に見つからなければ何をしてもいいと思っている。市民同士が注意しあうことは窮屈だと考えている。正義を嫌悪する。

知らねえよ!

話を聞かない。自分の利益にならないことは全て否認する。言葉を聞かず、責任を放棄することに心理的抵抗がない。

関係ねえよ!

社会に関心がない。社会に対して権利は行使するが、自発的に責任は果たさない。税金を納めて法律を守れば(捕まらなければ)、あとは何をしてもいいと考えている。社会のことは全ての人に関係があるはずで、程度の問題であるが、何のためらいもなく責任を放棄する。

触ったな!

攻撃的な上に被害意識が強い。自分の権利を不当に主張する結果、意識上の縄張りが広がりすぎて、被害意識に繋がる。「当たり判定」が異常に大きい。言いたいことだけ言って立ち去ろうとする。物理的接触は全て暴力とみなす。

暴行罪!盗撮罪!

被害意識が強い。自分を正当化したり、言い訳したり、ごまかしたりしてばかりいる結果、自分の身を守るための法律にやたら詳しくなる。自分の権利だけ主張する。自分が犯した法律(廃棄物処理法など)の存在は否認する。

お前が拾え!

無責任。責任転嫁する。非対称性を悪用して下から攻撃する。

何が悪いの?

話を逸らすために質問をする。そしてその回答を聞かない。とにかく相手に説明させる。説明を遮る。意味不明な主張をする。相手に反論させる。反論を遮る。言葉の権利だけ行使して責任を果たさない。言葉に責任を持たないことに心理的抵抗がない。

それはお前だろ!

自分への批判をそのまま相手に返す。自分への批判を否認しつつ、同時に、根拠なく相手を批判する。何も考えず即座に言い返す。頭が空っぽでないと口から出るはずがない言葉を言うことに心理的抵抗がない。

クズですよ

開き直る。社会への責任を果たさないことを宣言する。反社会的に生きてきたことを認めつつ、これまで逃げ続けてきたことを誇る。善意を嘲笑する。良心の呵責がない。

ぶっ殺すぞ!

脅す。威嚇する。表面上は勇ましいが最後には必ず逃げる。逃げ方は様々で、物理的に強引に逃げる場合もあれば、意味不明な言葉を永遠に吐き続ける場合もある。いずれにしても対話を破壊して放棄する。

仮に警察を呼んでも口論として扱われ、双方を引き離されて、別々に言い分を言って、形だけ注意されて逃げ切ることができる。チンピラはどれだけ暴言を言っても、大騒ぎすれば「手に負えない人」としてなだめられるだけであるが、まともな側の人がうっかり「殺す」「死ね」などと言ってしまった場合には強く注意される。

警察は、とにかく暴行や傷害だけは避けたいので、双方をなだめて、お互いの個人情報も分からせないようにして、強引に解散させる。つまり、大騒ぎして口論やつきまといの「被害者」として警察に行けば、その後逃げることができる。チンピラは警察に行けば逃げられることを知った上で、臆面なく反社会的な行動を繰り返す。

まとめ

言葉遣いはともかく、ここに書いたチンピラ話法もまた反社会的話法の一種であり、本質は同じである。

  • 否認する

  • (社会的)責任を放棄する

  • 逃げる

順序としては「逃げる」が最後であるが、反社会は行動原理として、常に逃げ道を確保している。逃げ切る確信があるため、ためらいなく嘘をつき、また、勇ましい言葉を吐く。

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