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#88 「私の履歴書」と『自分史』


1.「私の履歴書」ー12月からは倍賞千恵子さん

 日本経済新聞の文化欄に毎日連載される「私の履歴書」ー本日(11月30日)で黒田東彦氏(前日本銀行総裁)の連載が終わり、2023年の最後(12人目)、12月は倍賞千恵子さんの「私の履歴書」が始まります。
 1956年3月から始まった同紙の連載は、倍賞さんが891人目になります。
松下幸之助氏が1956年8月と1976年の2回(それぞれ、61歳(松下電器社長時)と81歳(同相談役時))登場していますので、連載ベースでは892シリーズです。

2023年の「私の履歴書」登場人物

2.「私の履歴書」を『自分史』教材とした立花隆氏

 2008年から2011年の4年間、立教セカンドステージ大学で自分史講座(「現代史の中の自分史」)を担当した立花隆さんは、人生のファーストステージをしっかりと見つめ直すことの大切さと自分史の効用を説きました。
 その内容は著書「自分史の書き方」に詳しく書かれていますが、講座では、日経新聞の「私の履歴書」が教材でした。
 「私の履歴書」には必ず編集担当がつき、1行13文字X105行=1365字の30連載、1か月完結で約4万字です。政治・経済・芸術他、各分野の「トップランナーが語る半生」ですが、私も社会人になってから40年以上読み続けています。
 立教セカンドステージ大学の同講座の卒業生による「追悼 立花隆先生」には、エネルギッシュでユニークな講座の様子や立花ゼミで学んだ卒業生の様々な思いが綴られています。
 立花隆さんが「トップランナー」が語る「私の履歴書」を教材としながらも、「一般庶民」が語る「自分史」の意義を力説したことは、「自分史の父」と呼ばれる歴史学者色川大吉氏の言葉「庶民こそ自分の歴史を語るべきである」(1975年「ある昭和史」~自分史の試み)と通じるものがあります。

3.いつからでも書き始めて良い『自分史』

  最近、セカンドステージを考えるための企業のライフプラン研修や、自治体での自分史講座でお話させていただくことが増えて来ましたが、自分史を書き始めるのに、必ずしも年齢は関係ないと思います。
 30代、40代でも、これまでを振り返り、記憶を記録に残すことで、未来を生きる力を与えてくれるもの、それが「自分史」だと考えています。
 研修や講座では、「ライフラインチャート」を使ったワークを行いますが、転機となった出来事(点)と出来事(点)をつないでみると、生きて来た証として統合された一つの物語となります。
 最近の自分史講座では、40代から90代の方々の自分史作りに関わりながら、各人各様、生きてきた証としての「庶民」の自分史に触れ、改めて自分史の魅力を感じています。
 ”「今さら」を「今から」に変えることで人生は変わる”ー理論物理学者の佐治晴夫さんの言葉ですが、「自分史」は「今さら」を「今から」に変える大きな力となるものです。
 今後、より幅広い年齢層の方に自分史の魅力を知っていただけるよう、活動して行きたいと思います。




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