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書類送検

夢の話ほど、人に話してどうにもならない話はありません。

聞いた側も確かめようがないし、聞いたところで毒にも薬にもならないし、本当にどうにもならない。

ただ、昨晩見た夢は、人生で一番衝撃的で、一番リアルで、一番恐ろしかったので、ホッとした安堵とともに書き留めておこうと思います。

細かいところに至るまで完全に覚えてはいますが、非常に生々しい話なのでかなり割愛します。

仕事で沖縄に行き、そこで気の強そうな40代半ばの女性と出会った。ツンツンした空気の人だったが、少し話をすると意気投合し、そのまま僕の後輩記者数人とともに穴場的な安くておいしい寿司屋さんに行った。

カウンターだけの気楽なお店だが、出てくるもののクオリティーはすさまじく、あらゆる売れっ子芸人さんも行きつけにしているお店。

お酒も進み、なんとなく場も盛り上がり、その女性とも何とも言えぬアイコンタクトを重ね、さらに良い感じになっていく。

そして、その女性がトイレに立ったのをきっかけに僕もトイレに向かい、そこでいかがわしいことをする。ただ、それが関係者に見つかってトラブルに発展し、何かの流れで僕が書類送検される。

そして、それが大きく雑誌などにも載り、なぜか枚方の実家に身を潜めている僕のところに多くの記者が殺到し、敷地外からこれでもかと写真を撮ろうとしてくる。

番組、関係者、家族、いろいろなところに迷惑をかける。まず誰にどう電話をしたらいいのかも分からない。電話を持つ気にもならない。

こんな流れ、夢に決まっている。いつものように、ハッと気づいて夢から覚める。そう信じていたのに、一向に夢から覚めない。携帯電話を持ってYahoo!のトップページを見ると「中西正男、書類送検」という見出しが出ています。

「夢ではない」。それを感じた時の絶望感。取り返しのつかないことをしてしまった深い穴に落ち続ける感覚。

そんなことをとことん感じ、冷や汗でもない、ドキドキからの脂汗でもない、妙な汗が止まらず汗をぬぐおうとするが、どうも汗をぬぐう感覚がおかしい。あれ?これは…。

そんな中で目が覚めました。

夢だった。

本当に良かった。今回ほどそれを思った時はありませんでした。

夢占いで深層心理を読み解くとか、そんなことではなく、とにかくリアルな夢で怖かった。そして、夢で良かった。ただただ、それを感じた朝でした。

こわごわ、携帯を手にして、Yahoo!のトップページを見ました。

僕が書類送検された記事ではなく、タイトル画像のように拙連載の「はんにゃ」金田さんのインタビュー記事が載っていました。

良かった。

夢で良かったし、悪夢にうなされている間も、しっかりと原稿がアクセス数を稼ぎ、お金を稼いでくれていた。

カスタードクリームと生クリームのダブルシューのように、二つの旨味が口いっぱいに広がりました。

そうこうしているうちに、金田さんの原稿を押しのける形で、今度は拙連載の浜口順子さんのインタビュー記事がYahoo!トップに掲出されました。

夢でよかったし、悪夢の間もお金を生んでいたし、今もまた新たな原稿がお金を生んでいる。この嬉しさったら、ありゃしない。

この喜びのまま原稿料を握り締めて、沖縄に寿司でも食べに行こうかと思う47歳。

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